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7.食い合わせ

 翌日、雨はすっかり止み日差しが窓辺から注ぎ込んだ。ゴブ助は日課の採取をしに朝から出かけて行った。

 昼を少し過ぎたであろう時である。


「おっす。来たぜ~」


 扉が開かれガーランティスさんがその凶悪そうな顔を見せた。


(凶悪とか思ったけど、目はやさしそう。体格と傷と髭のせいでそう見えるだけかな)


「ん、いねぇな。留守か」



□ □ □ □ □


入場者 1


名前  ガーランティス

種族  ヒューマン


□ □ □ □ □



 ゴブ助が居ないのを確認したがそのまま入ってきた。今日はもう一人の美男子の方は来てないみたいだ。

 ガーランティスさんは食器棚や水瓶を調べたり、窓から外を覗いてみたりとしばらく色々観察した後、最終的に掘りごたつに座りのんびりくつろぎだした。


(な、何か出したりした方がいいかな?でも、ゴブ助の時は怪我とかあって切羽詰っててなし崩し的に受け入れちゃったけど、普通に目の前に突然食べ物とか出てきたり、食器棚から勝手にコップとかが浮いてきたりしたらびっくりするだろうし・・・・)


 私がどうしようかと思いながら結局何もできないでいたら、


「グギャ?」


 ゴブ助が帰ってきた。


「おお。邪魔してるぜ~」



□ □ □ □ □


入場者 2


名前  ゴブ助

種族  ゴブリン


名前  ガーランティス

種族  ヒューマン


□ □ □ □ □



「勝手に家ん中見させてもらったけど、昨日もらったあの甘くてうまいやつ、お前が作ってる用には思えねぇしそもそも料理道具もねぇからどうしてるのかな~と思ってな」


 帰ってくるなり話しかけられたゴブ助は少し考えた後、私のところに来ていつも通り籠から採ってきたものを台に置いた。


『《供物》を確認。GP変換処理をします』


「うお!なんだ?魔法か?!」


 台に置いたものがオレンジ色に光って消えていくのを見て驚く。その後ゴブ助は食器棚から木皿とフォークをとり掘りごたつに座る。


(晩御飯には少し早い気がするけど・・・・・ああ、何かを出せば代わりに食べ物をもらえる、てことにした方が説明しやすいのね。ゴブ助、賢い!)


『<スパゲティー(ナポリタン)>を使用します。18GP消費します。よろしいですか?』


 私は早速木皿に食べ物を出した。


「うお?!なんだそれ!すげぇうまそう!!何?台に何かおけば食べれるのか?!」


 ゴブ助はうなずく。ガーランティスは駆け寄るように私に近づき台の上に銀貨を2枚置いた。そして胸の前あたりで拳と拳を突き合わせてお辞儀をする。この世界か、彼流の礼の仕方だと思う。


『《供物》を確認。GP変換処理をします』

『<銀貨>X2      40GP』


 ガーランティスは銀貨が消えたのを確認すると、食器棚から木皿をとりゴブ助と対面する席に座る。


(スパゲティー・・・だけだとちょっともらいすぎかな?)


 私は少し考えた後、1つしかフォークがなかったのでスパゲティーと一緒に出し、それとは別に木のコップを出した。中身の内容は詳しくなかったのでお任せで。

 ゴブ助はいただきますをして、ガーランティスさんも先ほどの礼のポーズをした後食べ始める。


「うお!うめぇ!麺料理はいろいろあるけどこんな味付け初めてだ!!」


 ものすごい勢いで食べだす。そして途中で喉を詰まらせたのか、あわててコップの中身を口にした。


「!!!!!!!!」


 その瞬間、驚愕の顔をした。


「水かと思ったら酒じゃねぇか!!しかもなんだ!すげぇ上等な酒!!」


 そう、私が出したのはお酒。見た目からたぶんお酒は飲める人だろうと思ったけど正解だった。


「うお!!料理も!(モグモグ)酒も!(ゴクゴク)どっちもうめぇ!・・・(モグモグ)・・・(ゴクゴク)・・・・うん・・・どっちもとんでもなくうめぇけど・・・・なんか、この酒と料理、合わないな・・・・」


(ああ、やっぱりスパゲティーと日本酒は合わないんだね)


 飲んだこともなく知識もなかった上に、早く出そうと焦ってとっさに(日本酒!)と思い浮かんだのが失敗だった。


(ワインが良かったのかな?んー、どっちにしてもやっぱりわからない)


 選択に若干失敗があったもののある程度は満足してもらいながら食事は終了した。

 ゴブ助は食器を入り口まで持っていき置いた後、食器棚から自分のコップをとり水瓶から水を汲み1杯飲んだ後、水と食器棚に置いてある元掛け布団だった《布》<綿>をいくつかに裂いて手のひらサイズにしてある物を1枚取り再び入り口まで行き、食べ終わった食器を洗い流しその布で拭く。ゴブ助は人間のように賢く綺麗好きなのだ。ちなみに現在布団は新しく出した《布団》<羊毛>を使っている。


「おお!優秀なテイマーの亜人系モンスターでもそこまで気が回せて器用にこなせる奴はいねぇぞ!」


 と、ガーランティスさんは言いながらゴブ助のあとに続いて後片付けをした。

 その後酔いが回って気持ちよくなったのか横になったらそのまま眠り始めた。私はゴブ助と同じ《布団》<羊毛>を出しガーランティスさんに掛ける。ゴブ助も自分の布団のところに行き眠った。




 途中、ガーランティスさんのひどいいびきでゴブ助が何度か起きたがそれ以外は特に変わったことはなく翌朝を迎えた。


「しまった!!昨日のうちに帰るって言ってあったのに気が付いたら朝だ!やばい!怒られる!」


 ガーランティスさんは目覚めると同時に急いで身支度を整え、


「それじゃあ世話になったな!また来るぜ!」


 そう言って慌ただしく出て行った。


『<ガーランティス(ヒューマン)>が退場しました。150GP獲得』



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