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愛され不慣れな一途

作者: 鵜梶

「初めまして・・・・」



自分は目の前でそう告げる高嶺の花に眼を奪われた。


声が出なくなり無駄に心臓が強く波打つ、今までに無いくらいの身体の硬直に頭が付いて行かずただただ動揺を隠し切れず相手を見つめた。


今までに無い・・・・そうなのだ。


本当に今までに無いくらいに、身体が、瞳が、心臓が、ただただ強く、相手を見つめた。



「・・・・・何?」



流石に相手も気が付いたのか、自分に話し掛けてきた。


「えっ!?・・・・っいやぁ・・・別にっ、」


動揺を隠しもせず目線だけをどうにか反らした瞳を泳がせ、曖昧に言葉を濁らせる。自分でも理解出来ていないこの行動、感情、これらの全てを相手に説明するなど不可能に近い。

自分でさえも、訳がわからないのである。



(一体なんだ・・・・何なんだ、これは)



動悸が止まらない。


余りにもの苦しさに自分を疑う、息が出来なくなってしまう程の緊張感。周囲の音が遠くに聞こえて、まるで現実味がない。

相手に心配はかけまいと、どうにかして落ち着きを取り戻そうと自分は瞳を固く閉じて無心になる。


しかし、



「さっきから何してんの?」


「っ・・・・!」



しかし相手はそんなこと知らずか知ってか、自分に話し掛けてきて顔を覗いて小首を傾げている。

自分は驚きの余り慌てて飛び退き、距離を置いて相手に適当に言い訳を言ってしまう。


・・・・いや、言い訳なのかもわからない様な事を次々と口から飛び出して行ったに過ぎない。自分でもくだらない事を口から、さも語り師の様にスラスラと言ってのけた。ただし、相手には変な・・・・そう、まるで珍妙な生き物でも見たかのように眼を見開きそして



「変なの・・・・!」



呆れてなのか、はたまた面白くてなのか。

定かではないが今、自分に向けた軽い苦笑するかのような笑顔にまた己は硬直した。



・・・・綺麗なのだ。



今までに無い感情に困惑していたが、しかし事実なのだと理解した。

こんな事が本当にあり得るのだろうか・・・・。

いやしかし今の自分の言動、動悸が意味を表しているのではないのではないのか。


自分はこの感情を受け入れて良いのだろうか、はたまた受け入れずしてこのまま気付かないフリをするべきなのだろうか。


疑問に疑問が重なっていき、それと同時に自分の初めての感情が露わになっていく。



「・・・・しかし、良いものなのだろうか?」



ぼそりと、小さく吐いた言葉は相手には幸いにも聞こえいいなかったらしく違う所を見ていた。

そんな相手が視界に入り、自分の心臓がまた強く波を打った。



確定だ。



・・・・いや、確定したくなかった。


この感情は嘘を付くのが苦手らしく、まるで子供の様に自分に笑いかけてくる。

実に恐ろしく、しかし何処か居心地の良い感情に困惑してしまう。


が、


自分はこの感情を受け入れる資格がない。



「高嶺の花・・・・って奴なのかもしれない」



手が出せない、いや・・・・自分には勿体無さ過ぎる相手なのだ。だから自分が、この感情を受け入れて良いものなのだろうか。



「・・・・はぁー、」


「また変な事でも考えてるの?」



自分の感情に四苦八苦していると、また相手から話し掛けられた。だが、さっきよりかは落ち着いているからか淡々と話すことが出来た。


「いや、少し深い悩みが有りまして・・・・」


「それ少しじゃないじゃん・・・・まぁ、誰にでも悩みの一つや二つはあるから仕方がない。」



実は目の前にいるあなたへの悩みですとは言えず、自分は軽く笑い相手に相づちをして顔を背けた。




やはり長くは見ていられない、気が疲れてしまう。



「それじゃ、自分は戻りますね・・・・」



この場に長くは居ては、自分が可笑しくなってしまいそう・・・・いや、既に可笑しい発言はしているが。これ以上墓穴を掘らない為に、いそいそと退室を試みた。



「待って」



不意に呼び止められ、歩いていた脚を止める。



「・・・・また変な話とか、面白い話とか、色々してくれないかな?」


「っ、」




不意打ちだ。



その言葉が、その笑顔が、



あなたの存在が、全てが・・・・




「まぁ・・・・変なこと言ってるつもりはないんですけど、」




不意打ちなんだ。




この感情を受け入れたら、自分はどうするのか。


もしかしたら、なんて事はあるのだろうか。



「話くらいは、いくらでもしますよ。」





おそらく、この感情は嘘を付くのが苦手だ。


いつの間にか、自分は笑っているみたいに、





そうなのだ。


馬鹿みたいな話・・・・



初恋ってのも、高嶺の花って奴も、




好きと気付いたら、もう昔の自分には戻れない。




自分は相手が視界に入らなくなったのを確認して、近くにある木で出来た壁に肩を落とし、ため息混じりに小さく、しかし確実に自分の脳に響く声で呟いた。



「嘘だろ・・・・本当に・・・・」



またため息を一つし、確信した。



「愛おしいって・・・・こう言う事を言うのか?」




突拍子もなく始まった、



自分の初恋に、



予期せぬ出会いに、



ただただ自分は、受け入れ難さと、



心なしか、嬉しさが交じり合っている事に、




「恥ずかしっ・・・・」




恥ずかしさと、困惑、動揺、冷や汗しか出なかった。







初めまして、皆様。

鵜葉(うば)と申します。

初めての投稿作品なので、ありきたりな恋愛作品にしてみました。自分はどちらかと言えば、こう言った恋愛作品は苦手なのですが書いてみると、意外な発見があったりと楽しく書いていました。


今回のテーマは『初恋』

自分は初恋って言うのは、純粋に自分の気持ちが怖くなる程の緊張感。愛おしいさ、苦しさがあってこそなのではないかと思うのです。

そんな作品です。


まだまだ不慣れで、文章力も駄目駄目ですが皆様が楽しく読んでもらえたら幸いです。


では、またいつか。



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