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虚言の庭師  作者:
序章
1/7

プロローグ

 ちっぽけな同情など直ぐに乖離してしまうし、その軽さの分だけ私の心に膿が溜まる。外面だけ丁寧に工面してあったとしても、本当の人間は均されていない土壌なのだから汚いことに変わりはない。

 幼い頃の私は、そんな事を考えながらこの世界を生きてきた。小学生にしては大人びているし、他人からはきっと心底気味の悪い子供に思えたことだろう。

 あの頃の私は何事に関しても淡白で、他人には全く興味を示さない所謂自己中心的な人間だった。

 嘘つきで、虚言癖の酷い子供だった。

 今はそうでないかと問われたとしても、胸を張って違うとは答えられないのだろうが。しかし過去の自分よりは棘がなくなり、少しは丸くなったと思う。だからこうやって今は静かに専業主婦をやっていられるし、子供の世話だって抜かりない。

 自分が十数年でここまで変貌を遂げられたのは自分自身のお陰だと思っている。

 しかし自由を手に入れるまでに捨てなければいけない思いも数え切れないほどあった。それを全て焼却する決心が付いたのは、恐らく今の夫のお陰だ。

 過去を忘れて生きてゆくなど到底出来ないが、限りなく塩辛い水で薄められているとは思う。

 彼に出会わなければ私は死んだ人生を送る羽目になっただろう。怨恨の世界でしか存在を感じられなくなっただろう。

 それ以外の感情を私に与えてくれたのが、紛れもなく今隣で眠る彼だ。

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