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09 PVP戦


まいらの紅き瞳に映るのは自分が連れてきた、真眼で見通した『とある力を秘めた』少女ステラ。


そのステラが自分のギルメンと真っ向からPVP戦を開始する事になっていた──。


「ねー、なんでカプちゃんあんなにおこなのー?だんちょー」

無邪気なチビッ子リゼが空気も読まずにそうまいらに質問した。


「んーー、こんな事になるなんてねー。てっきりかぷちーのもステラのギルド入り喜んでくれると思ったんだけどなー」


「大丈夫よまいら、ほらのかぷちーのの顔をみてみなさい」

副団長のアオがそう言い放つ。


「んー? ふーんなるほどね。かぷちーのそういう事ね」


ニコッ。

かぷちーのが不敵な笑みを浮かべ戦闘準備に入る、彼女のその表情はどこかとても嬉しそうだった。


「それじゃ、よろしくね。ステラ」


──ジャキン!!

バサッ。


鉤爪を己の意思で最大まで尖らせ、背中に格納された大きな鳥の翼を広げかぷちーのは戦闘態勢に入る。


「は、はいっ!!よ、よろしくお願いします!! えーと」


「かぷちーの、カプでもチノでも何でもいいよ」


「はい、じゃあ間をとってカプチノさんで──……!!」


「カプチノさんって、んまあ。悪くないね。それじゃ行くよ!! フィールドリンク──!!」


「フィ、フィールドリンク──!!」


──ギュィイイン。


ステラとかぷちーのお互いに右耳に付いたデバイスのボタンを操作すると、フィールドと自分達の身体がリンクされ、2人だけの空間が展開される。


これがエンオンの1v1のPVPの形式である。

対決する空間を再設定し、このデバイスでリンクする事で元の地形のエフェクトなどにリンク者が干渉出来ない状態を作り出した。

簡単に説明すると、これによって地形破壊や他のプレイヤーに迷惑をかける事無くプレイヤー同士の本気のバトルをする事が出来るシステムである。


「地形はそのままで再設定しなくていいよね?ステラ」


「は、はいココで!!」


「私、この大広間に入り浸ってるから多少私の方が地形把握の観点で有利取っちゃうけどそこは大丈夫?」


「大丈夫です!! ──チャレンジャーとして頑張ます」

全ての条件を確認し、それに同意するステラ。

彼女はインベントリに閉まっていた杖をアイテム欄から取り出しそれを構え、戦闘態勢をとる。



「ふふ、言ってくれるわ、楽しませてね?じゃあ行くっスよ──はぁっ!!」


──バサッ、グオォオオオン。

──ズビュン!!


「来る!!」

歯を食いしばり向かってくるかぷちーのを迎え打とうとするステラ。


大きい怪鳥の様な鳥の翼をはためかせ、かぷちーのら風に乗り加速し、攻撃を開始する。

彼女の戦法は至ってシンプルだった、ステラが魔法の杖を取り出した瞬間、自慢の身体能力による接近戦が刺さると思った彼女は戦闘が始まった瞬間ステラの懐へと接近する。


かぷちーののステータスは【ストレングス(STR)】と【AGI(アジリティー)】に特化しており、その代わり【VIT(ヴァイタリティー)】や【HP(ヒットポイント)】が犠牲になっている仕様である、近距離専門のアタッカーのかぷちーのにとって対魔法使い戦は有利でしかなかった。


「まずいね、彼女──、まさかジョブが魔法使いだったとは。不利だねこの試合」


「え、ほんとだ!! それにカプたん本気じゃん!? きゃー〜、ステラたん逃げて!!」


「──……」


アオ、リゼがステラの安否を心配する中まいらは無言で彼女達の戦闘を見つめる。


『オラァアアア!!【▫鉄の牙(シルバ・スラッシュ)】』


距離をすかさず詰め、インファイトに持ち込んだ彼女は小動物のような可愛い顔から出るとは思えない声を上げながらかぷちーのは獣人(ウォービースト)自慢の鉤爪で攻撃を放つ。


──【▫聖なる盾(ホーリー・ガード)


ステラは戦闘になるととても冷静だった、インファイトをかぷちーのが仕掛けた瞬間、物理攻撃に対する対処スキルを事前にスロットに入れ、攻撃に反応しそれが発動される。


聖なる盾(ホーリー・ガード)それは物理特化防御魔法、ジャストガードした時に発動できるスキル、物理による攻撃を70%カットし無効にする魔法。


彼女の攻撃範囲を予測し、その攻撃をジャストガードすることに成功した。

かぷちーのの攻撃がヒットする瞬間、自分の左腕に光り輝く透明のバリアが展開されシールドになる。


──ガキン!!


1回の攻撃でそのシールドは粉々に粉砕されてしまうが、これによってかぷちーのによる渾身の攻撃を受け流すことに成功した。


「なっ、ボクの攻撃をガードするなんて!!」


「ふぃーー、近接にも対応出来るように準備しといて良かったです!!」


「ふーん、やるねステラ。でもこれならどう?はぁあ!!!」


翼を空へ伸ばし、間髪を入れずにものすごい勢いで上空に飛翔、ステラが小さく見えるそんな高い距離からかぷちーのは攻撃を開始する。

「くらえ──!!【▫漆黒の羽矢(ダークフェザーアロー)】」


「……流石、まいらさんのギルメン!! このPVPワクワクしてきます!! ならば私も──【▫聖なる星の矢(ホーリースターアロー)


ステラは光の加護を受け、光の弓を現出させるそしてそれに光の矢を装填しすぐ様上空へと発射する。


矢が機関銃のように幾つも分身しまるでマシンガンの様に連続で発射される。


すると──ステラの光の雨とかぷちーのの翼の連続攻撃がお互いに相殺、このスキルのぶつかり合いは互いに引き分けに終わる。


「ち、まだだ!!」

『漆黒の羽矢』のリキャスト時間は長く、このスキルは連続で発動出来なかった。


が、ステラの場合魔法使いである為、二撃目の『聖なる星の矢』を準備していた。


「こちらは発動準備完了してますよ!! カプチノさん!! ええい!!!」


ステラが掛け声を放つと、もう一度光の矢が装填されそれが雨の様になってかぷちーのを襲う。


「く、まずい。だが──ボクのAGI(アジリティー)を持ってすればこの矢のスピードでも回避出来る、今だ!!」


リキャストも回復せず、ほかの技でも回避できないと判断したかぷちーのは全力で逃げる事に集中した。


「はは!! ステラ、ボクのスピードに追いつけるわけが無いぞ!!」


余裕綽々でステラが光の矢を回避し続ける。が、──その逃げ回る背はステラによって捉えられることとなる。


「まだです!!【▫光の加護!!】」


──フィイン。


自分を発動対象に取りステラはサポート魔法光の加護を唱える。


光に包まれ、あらゆる能力が向上これによって既に発動されていた光の矢も『▫光の加護』の効能を帯び、速度が上昇これによって全ての矢が高速で逃げ回るかぷちーのを捉えることに成功する。


「──……何だこのスピードは!? これでは避けられない!!」


──ズババババババ!!!


「きゃぁあああああ!!!」


HP、耐久能力が薄いかぷちーのはこの連続攻撃によって全てのHPを失い、団長まいらが連れてきた謎の少女ステラに撃破されてしまうのであった──……。

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