76ステラのG稼ぎ④〜脳筋ふぁいたー!こいぬ〜
久しぶりです。
不定期ですが続きます。
「よぉし……、皆も集まった事だし……」
「それじゃあ行きましょう!! 皆さん」
「はぁい!!!」
ステージ入口のアイテム探索をコツコツと一人でやっていたミサキはその掛け声で真っ先にシュババとステラの隣へと近ずく。
「行こうか。こいぬ」
「はい!! アーテルさん!!」
「よぉし、それじゃあタンク周りのロールは今回もミサキさんに任せちゃいますね!! アーテルさんはアサシンだし、こいぬちゃんはえと」
「格闘家です!! Atは今のところこのくらいで……。」
「アタッカーだね!!」
「はい! 我ながら敵を目の前にしたら止まってられなくて……へへ。」
眉をぐっと曲げちょっと複雑な顔でニコッとするこいぬ。
「そこが子犬のいい所だよ。」
まるで親なのか、姉なのかといったくらいの庇護欲を見せ優しくこいぬへと微笑みかけるアーテル。
「そ、そですかね……。きょーも全力で頑張りますから……。み、見ててくださいね……? アーテルさん。」
その小さい指でつんつんと肯定の意見に対し動揺の仕草を見せるこいぬ、自信なさげな顔で上目遣いをして結果を出すと回答を返した。
「うん。きっちり見ているよ」
柔らかな口調でアーテルもそう返す。
そんな2人の会話が終わるとステラは口を開いた。
「こいぬちゃん、装備のスキルとかってどうなってるかな?」
「……へ? そ、装備ですか??」
「うん。そそ装備 そのグローブちょっと重くないかなって」
ステラが先程から目をやっていたこいぬのグローブ。名前は『漆黒のグローブ(鋼)』
──シュン。
「えと、今の装備はこんな感じでして……」
皆へ見える形でステータスをオープンして見せるこいぬ。
「おお! 中々の攻撃力」
「流石は格闘家」
「……ふぅむ。」
やはり漆黒のグローブの事が気になるのかミサキはコンフィングのステータス画面を凝視する。
「あの! 提案なんだけど、こいぬちゃん良かったら私の素材使う? 属性有利ってのもあって新しい装備今作っちゃってみてもいいかなーって!」
「へ! そんな。今会ったばかりで悪いですよ……!!」
「いいのいいの!! あなたのクランのリーダーアーテルさんにはたーーくさん!お世話になってるから!!!」
「……ふふ。良いじゃないか。こいぬ、貰っておきなよ。」
「あぅう……。」
少し臆病で人見知りなのかこいぬは顔を真っ赤にして固まってしまう。
「ふふっ。良いんだよ? こいぬちゃん。私格闘家のビルドは多分使わないから、素材余ってるの」
「それに……。」
「それに?」
「こいぬちゃんの折角のAGIがその漆黒のグローブで相殺されちゃってるの勿体ないなーってむず痒くて……! へへ。」
ぽりぽりと頬をかきながら、本音をぶっちゃけるステラ。
「な、なるほどです……! ……?」
なるほどと言ったは良いものの肝心な事に気づかず、一人困惑するこいぬ。
「いい機会じゃないか、こいぬ。こいぬはこうでも言われないと自分の意思を曲げないだろ?」
「うぅ……。」
「すまんな、ステラ。これがこの子の良いところであり悪い所なんだ」
「そんなそんな!! それに装備欄から何となくそれは察してましたし……。」
「ああ、そうなんだ。こいつは……。」
「超がつくほどの……。」
「『脳筋バカ!』──でしょ?」
「うっ、うう。みなまで言わないで下さいよ!! ミサキさーーん!!!」
「あはは、ミサキさん……相変わらず持ち前のノンデリカシーが……。」
「別に悪意は無いよー! そんなこいぬちゃんも……かっわいー!!!! このダンジョンが終わったら。ね、アーテル!! 持って帰っていーい?」
「……ダメです。」
ちょっとふざけたミサキを鬼様なの眼光で威圧するアーテルであった──……。
始まったばかりのダンジョン探索は続く。




