07ギルドメンバー
『やばい!!やばいやばい、やばいですー〜!!』
高速落下の恐怖により、ステラの叫び声がギルドハウスに響き渡る。
「ん?なんだこの声、団長帰ってきた?」
「えー、でもこの声。団長さんと違くないですぅ?」
──ピコピコ。
大広間にいた少女の獣耳が動き何やら音の主声を正確に拾い更に持ち前の嗅覚を使ってダブルチェック。
「それに、──スンスンこの感じの匂いは団長さんの物じゃないぽいなぁ。うーん、これはきっと部外者の匂いッスよ!!」
「えーー、団長じゃないのーじゃあだれなんだー。だんちょーが良かったなあリゼ早くだんちょーさんと遊びたいなー」
おっとりした口調で彼女はそう言う。
大広間で声の主は誰かと会議するのはギルド【龍の双翼】のメンバー。
今日集まっていたのは3人、一番最初に口を開いたのは副団長の『アオ』ツリ目で麗しく整った顔立ちでとても落ち着いる大人しめな出で立ちのドラグヒューマンの青髪ロングヘアーの少女である、
少しおバカなまいらの代わりにチームを纏めたりするしっかり者だ。
もふもふと特徴的な自慢の鳥耳をピコピコさせながら、聞き耳を立て声の主を団長ではないと否定したのはこのギルド唯一で唯一のウォービーストの少女『かぷちーの』であった、怪鳥のような大きな翼を持ちアイドルのような装いのワンピースを着たタレ目のチビッ子。Theムードメーカーでギルメンのだれからも慕われ誰とでも仲が良いらしい、彼女の独特の言い回しが面白くて人気とか。
そして最後に夕焼けのような鮮やかなオレンジ色の髪をした少女活発系少女──『リゼ』彼女も種族はドラグヒューマンである。
斜め上に向かって伸びる美しい翼と鋭い牙に髪から生えた2本のツノが彼女の特徴である、彼女のギルドでのポジションはすばり『癒し枠』だ。
さて、そんな3人が声の主を視界に捉えるべく上空の通路を見上げる、すると彼女たちの目に入ってきたのは1人の見知らぬ少女。しかもその子はすごい勢いでこちらへと近づいてくる。
しかも高速で──
「『あ、』」
これには一同唖然、部外者が立ち入れないこのギルドハウスになぞの高速で降ってくる1人の侵入者に目を奪われる。
『ふ、副団長…… 空から女の子がっ!!』
空から降ってくる謎の女の子にかぷちーのが真っ先に反応、彼女はこのセリフを言うのを待ちわびていた!!てか言う機会あったんだ!!よっしゃー、みたいな表情であった。──正確にどんなと問われると、今後このシュチュエーションは拝めないだろうと感謝を込め限界に達したオタクの感動しきった表情だっただろう、そして鼻息は荒い。
「空と言うより通路なんだけどね、変な」
「えー、面白いじゃんこの団長さんお手製の入口」
『あわわわわわ!! きゃーーー、誰かー!! 止めてくださいぃぃい』
◇
「なんなんだあの子……」
高速で落下してくるステラをアオはしかめっ面で睨む。
「わはー、おもしろーーい。かぷちーの!!かぷちーの!!なにあれー?すごく速いよ!!」
リゼは余程空から降ってくる女の子がツボに入ったのか、かぷちーのにベッタリとしがみつき上機嫌で絡み出す。
「ボクも知らないよ、リゼ痛っ、耳引っ張らないで……いくらなんでも興奮しすぎだよリゼ……はあ」
チビッ子ドラグヒューマンのリゼは目をキラキラさせながら天より降ってくるステラに関心を抱き大はしゃぎ。
「てか、どうするッスか? 副団長アレ」
今にも落下死しそうなステラを指さしかぷちーのはそう言う。
「んー、部外者だし私はどうなってもいいんだけど」
返ってきた答えは意外と冷たいのである。
「えー、かぷちーのー〜。捕まえてきてよアレ」
「ここがVRMMOの世界とは言え君達には優しさと言う物が無いのか……」
「じゃあ、行ってきなさいよかぷちーの」
「いってこい!! かぷちーの」
「あーあ、コイツらがどっかでミスって落下しそうになったら助けてやんね」
「大丈夫、私ゲーム上手いので」
「どっかでミスって落下するとしたら、かぷちーのだけでしょ」
「ほんとに助けてあげないっすよ?」
そんな事を言いながらとぼとぼとステラの落ちてきそうな落下地点へとかぷちーのは近ずき、彼女を完全にキャッチ出来そうなスキルをスマートに発動する。
スキル発動──【▫怪鳥の爪牙】
そう静か唱えるとかぷちーの爪鋭く尖り、まるで装甲のようなものに豹変し姿を変える。
更にそのまま両手を交差させたか思うと、一気に腕に貯めたその力を解放し、目にも止まらぬスピードで一気に両手を振りかぶり衝撃波を打ちはなったそして打ち出された2つの衝撃波がひとつとなって竜巻に変化、それがステラを包むベッドとなりステラは無事キャッチされる。
「はわっ、助かったー〜ありがとうございます!!」
ステラはかぷちーのの巻き起こした竜巻によって無事、着地する事に成功した。
「どっ? ボクの技、戦闘面だけじゃなくてこういう使い方も出来るんだよ? やっぱりボク器用だなー〜へへ」
「自惚れてるわね、ま。ご苦労様応用が効くいい技ねかぷちーの」
「うおーこれは素直にすごいねーカプ!!」
調子に乗るかぷちーのであったが、彼女のこの器用さを2人は認める。
「むふふ、素直に褒められるとてれちゃうなあ」
肯定されちょっと恥ずかしそうなかぷちーの、お調子者な彼女は意外にも結構な照れ屋なのかもしれない。
「はわあー〜死ぬかと思いましたぁー、あ。ご迷惑おかけしてすみません!! えーと、鳥っぽい人どうもありがとうございました!!」
3人へと必死にペコペコ謝るステラ。
「……鳥って、間違いじゃないけど。君そう言えば君、名前は?」
「す、ステラですよろしくお願いします」
「わはー!! おもしろ『落下ちゃん』と私も喋るーー!!」
変なあだ名を即興で付けモモンガのようにステラへ飛びつくリゼ彼女の対人距離感はバグっているのである。
「きゃっ、」
「ねね、すてらちゃん? すてらちゃんはどこから来たのー?」
「あ、いつもはイリスの森で遊んでます……」
「イリスー? へー!! あんななんにもないとこで遊んでるのー? きゃははやっぱりこの子おもしろーーいリゼ気に入っちゃう!!」
やはりステラに興味津々なリゼ。
「あなた達、初対面の子にフレンドリーなのはいい事だけれどこの子部外者よ? 先ずはどう言った経路で侵入してきたかの調査を……」
『その必要は無いよ──』
上空の通路を4人が見上げると4人とも見知った声と翼のはためきが聞こえてくるのであった。
みんな可愛い。
なるべく筆、加速させたいと思います。