61 メガミとコハク
「ステラちゃん……決まった? 持って帰るアイテム4つ!!」
「あっ、はい!!! 『光龍のコハク』と『ルミナス・キューブ』、『星屑のネックレス』それと『エメラルドドラゴンの角』の4つ貰いました!!! 皆さんは?」
「ひひひ〜ちゃーんと換金用のレアアイテムみっちり詰め込んだよ〜!!!」ミサキがそう言うと、アイテムボックスの中にぎっしりと詰められた輝く4つのレアアイテムがそこにはあった。
「ん、……。いつもみたいに金金、金ばっかじゃ、つまんないか……。私もステラちゃんを見習って、ちょいと冒険に出て見ますか!」
「おおっ!! ミサキさん!!!」
「よいしょーっと。じゃ、私も『氷龍のコハク』持って帰ろ〜っと。」
「良いじゃないですか!!! ふふっ。完全版楽しみになって来ましたね!」
「ほほう。では、わらわも一個持って帰ろうかの。」そういってララは『闇龍のコハク』をアイテムボックスに入れる。
「では。私も、……ギルドの誰かに。最後に余ったのは『炎龍のコハク』でしたか。ではこれを。」
──シュンッ。シュンシュン。
そう言って、ニ人はコハクをアイテムボックスへと収納する。
「よっしゃ!! そうと決まれば、こんな低級ダンジョン、シュパッと! クリアしちゃいましょう!!! 行くわよ!! ステラちゃん!!」
「はいっ!! やっちゃいましょう!!!」
──フォン!!
レアアイテムゾーンから次の階層への次元ゲートを開き、ボスステージへと駆け抜けるステラ率いるパーティメンバー。
『氷結のダンジョン』最終階層。
「ここが……最終階層。」
「ふふ、お出ましのようね!!」
──……ギャオォオオオルアア!!!!
氷と山が融合したかのような勇ましい龍、アイスヘッド・ドラゴンがパーティメンバーの前に降臨する。
その体長はENDLESS×ONLINEに居たボスモンスターとは比べ物にならないくらいの大きさでまるで本当に山に命が吹き込まれ、動き出しているかのようである。
「すごい……、凄い凄い!! 凄いです!!」
「こんなのって……」
──ぱちっ!!
「「ワクワクする!!!」」
二人は声を重ね、新しく始まったこの新しい世界、新しいモンスターを前に胸が高鳴り弾んでいた。
──ギュルアア!!
遠くに潜むモンスターの咆哮がこちらまで飛んでくる。その臨場感は恐怖さえ感じる程だ。
ビュオオン!!
「おー!! こりゃ、楽しくなって来たんじゃない? ステラちゃん」
「はい!! あのモンスターの力、全身でビリビリ感じます!!」
──ズピュン!!
「行くわよー!!! ステラちゃん!」
「はい! ステラ!! いっきます!!! ええい!!!」
──ズォン!!!
ステラが空を舞い、全速力でボスモンスターの不意をつき、攻撃を開始する。
ズォン!! ズォン!!!
魔法攻撃の連撃に次ぐ、連撃。その攻撃によってボスモンスターに先制ダメージが深く入り、その巨体がよろけ怒りの雄叫びをあげる。
グッ、グオオオン!!
──…グルルル、オォオア!!!
ボスモンスターの悲鳴が怒りの雄叫びへと変わり、その逆鱗はパーティ全員へと向けられる。
ボォン!!ボォン!! ズォオオオン!!!!
怒りに充ち満ちたその眼差しで、力を込めボスモンスターは氷のつぶてを四個ほど無からそれを作り出し、ミサイルのように射出。そのつぶてには氷属性が付与されており、直撃を食らったら状態『スタン』になってしまう為、絶対に当たる訳にはいかない。
「レグルスさん!!」
「任せな、リーダー!!! はぁああっ!!!ビッグ・ガードシールド!!!」
──ブォオオン。
ドォオオオン!!
放たれた全ての氷攻撃を黄金の巨大なシールドに受け止める。
「流石レグルスさん!!! 今のうちです!! ミサキさん!! ララさん!!」
「はーい!! ミサキも行っきまーーす!!!
ええーい!!! 」
「見ておれ、はぁああ!!!! 受け取れ!!! ミサキ!!」
ズドォオオン!!!
バッファー黒魔道士のララは相方のミサキを対象に物理攻撃上昇魔法を付与する。
「サンキュー! ララ ええいっ!!」
──グルルルルオオオオン!!!!
二人の連携によって産み出された凄まじい一撃後がボスモンスターに致命傷を与える。そしてその瞬間、ステラが最後の一撃を繰り出すべく、ボスモンスターの前まで物凄いスピードで近づく。
「これでっ──……終わりです!!! はああぁあっ!!!」
ヒュオーーン!!!
「魔法力充填!! 最大出力です!!!! ライト・エクス・テンペスト!!!!」
ズオオォオン!!!!
光を纏うステラの一撃必殺魔法がその巨体を貫き一瞬にして撃破し勝利を手にするのであった……──。




