06 ギルドハウス
白銀の翼を持つ少女まいらの自慢の飛行によってステラは彼女のスカイシップへと到着した。
「ここが、まいらさんの……ギルド」
ステラの目の前には1つの扉が、それは中へと続く入口だろう。
内装はどんな感じなのかな? と言う疑問がふとステラの頭によぎった。
「ちょっとまってねー、よいしょ」
──フィイイン。
鉄製の分厚い扉にまいらが手をかざし手のひらに魔力を込めた瞬間扉に付いた錠の宝石が反応し、それが青く輝き開く。
──ガチャ、キィイ……。
硬くロックされていた扉がまいらの魔力からギルドメンバーだと正確に認識し解錠され扉が開いた。
「よしっ、開いた、行こ!! ステラちゃん」
ぐいっ、まいらに強引に腕を掴まれ扉の中へと導かれる。
「わっ、ちょ……」
まいらに引っぱられギルドシップの中、即ち彼女らのギルドハウスへと足を踏み入れる。
──扉を開け、入った瞬間。
たちまち──……落下。
『きぃやああああああああ!!!!』
「わはは!!わははー!!!」
何が起こったか分からず、涙を流しこれでもかと叫び声を上げるステラそれと対照的にまるでこの落下を楽しむかのようにきゃっきゃと喜びながら笑っていた。
「ちょちょちょ、まいらさん!? なんなんですかこれは!!! 意味がわかんないです!! なんで私達落下してるんですか!?」
「だいじょぶー、だいじょぶー〜」
「これが大丈夫って言える状態ですか!? 普通にこのまま落下したら私、死んじゃいますよこれ!!」
「あ、そっかステラちゃんには『翼』ないからこの落下ギミックはヤバいのか……楽しいのに。んじゃ、ほいっ!!」
──パチン、
ブォオッ!!
周りに付いていた装飾のランプが全て青白く点灯しそれがまるで意志を持ったかのように動き出す、その光達がステラを優しく包み込み重力を支配する。
──フィイイン。
【▫状態︰『浮遊』効果(受ける重力の軽減)】
耳につけたデバイスから音声通知と今のスキル発動状態を表す画面が投影される。
「わっ、凄い……これならちゃんと着地出来そうです」
落下しそのままゲームオーバーと言う未来を思い描いていたステラはまいらの呼び掛けによって現れた光のお陰で浮遊する事に成功し、ほっと胸を出を撫で下ろした。
「って!! まいらさんこんな安全な装置があるなら最初から使って下さいよ!! 敵と戦ってないのに落下死してリスポーンするとこだったじゃないですか!!」
「あーごめんね、ステラちゃんうちのギルメン『ドラグヒューマン族』の人ばっかりだからつい無重力魔法起動するの忘れちゃって」
舌チロをしながら、まいらはステラへと謝った。
が、あー、この人ちゃんと謝ってないなとステラは呆れ顔。
「てかなんですか!この謎の落下通路!! 船内までエディット出来る新機能がついたからって意味わかんない建築しないでくださいよ!!」
「えー、入る度に落下するギミックうちのギルメンには好評だったのになあ、これ楽しくない?」
「いや、ぜっんぜっん全く!! 楽しくないですよ!!!」
「ぶー、まあいいやまた作り直そーっと次はどんなのにしようかなあ、むふふ」
「はあ、絶対ろくな建築する気ないなこの人……」
そんなやり取りをしていると、2人の視界にギルドハウス1階の大広場が見えてくる。
「お、そろそろ着くわ。よっしゃー、先行ってるねー」
──ビュン。
「え、あ……ちょっと!! 待って下さいよまいらさん」
浮遊状態のステラは飛行速度が遅く、まいらに置いてかれてしまった。
「はあ、なんで置いてかれちゃうんだ私……こうなったら!! ええい、追いついてやらぁ!!」
──シュバッ!!
手を上空へ向けかざし加速のためにMPを消費し魔法を発動する。
『聖なる矢の星!!』
──スッ。
光がどこからともなく現れ、1本光の矢を構築する。
それをステラは掴み左手に現出した弓にそれを装填し上空へと発射する、射出した矢が光の加護によって何本にも増加し銃弾のように連射される。
「きゃっ、や、やばいですぅ〜ー重力の軽減状態が付いてるけど流石に勢い着きすぎちゃった!? うわわっ、きゃあああ!!!」
発射した光の矢の衝撃で勢いよくステラ自身も弾丸のようなスピードで自身が吹き飛ばされてしまう。
「ん? わっ!! ──何かと思ったらステラちゃんか、え?なんであんなヤバいスピードで落下してるの?」
『きゃあああああああ、誰か止めて下さいぃいい』
──ステラの弾丸のような落下は続く、続く。
つづきます。