048 勝利
「……!! ああああ!!! つまんないつまんないつまんない!!! なんで私だけ私だけ!! うああ!!!!」
ミサキが光の槍のようなものを現出させ、全力でこちらへ突進攻撃を仕掛けてくる。
「──負けられないよ……。あなたが、あなたが。どんな想いをもって戦っていても。私は負けられない──。みんなで作りあげたこのギルドだもん。」
「ギルドの仲間なんて──!! 強大な力の前では無力なんだ!!! それを分かれ!!!!! ステラぁ!!!!!」
涙を流し、我を忘れ突進する事を止めないミサキ。
──ビュン!!
「私は、私自身と皆さんを信じます!!」
希望の瞳と自身の言葉でそれを訴える、ステラ。この気持ちこそ今の彼女の心の底から溢れる、全力の気持ち。まいらとの出会い、そしてクランメンバーとの出会い、人との繋がりが弱気で引っ込み思案な彼女を変えたその瞬間である……──そう、これはゲームだ。
たかが娯楽しかし、それをも上回る感情が溢れていた。
ステラの『成長』それを誰もが認めていた──……そう、敵であるミサキでさえも。
この試合が全てを分かつ。
このスキルが、全てを分かつ。
ここに居ない、クランメンバーの声が聞こえる気がする……。
「「いけぇえええええ!!!! ステラ!!!」」
「ステラ──!!」
ステラの目の色が変わり、ミサキを迎え撃つ覚悟を決める。
『皆さん!!!』
『女神の涙』
「──これは、新スキル!?」
───フィオオオオオオオン。
「あなたを撃つと、そう決めたから。……──もう皆に。手は出はさせません!!!」
「ステラぁああああ!!!!」
女神というジョブに似つかわしくないその形相でステラを睨み、槍による一撃を振りかざす──が。
──ガキン!!!
「手、手は……──出させないと言いました!!!」
「くっ、くぅ………。ああ!!!ステラ!!!!ステラ、ステラステラー!!!!」
ミューズ・ドロップの効果、それは自分のHPを犠牲に全てのパラメーターを防御に回す、スキルである。
──そう、このスキルの狙いは。
「まいらさん!!! 最後の力で──ミサキさんを!!!」
「……私の出番って訳ね……。そうね、悪いけどミサキ。今はもう、私も1人じゃない。──1人を極め続けた貴女と私の勝敗の分け目は───!!!」
「これよ!!! あああああ!!!」
『これで最後…!!全身全霊の鬼神爪!!』
目が高速のテールランプの様に赤黒く光り、バチバチと雷鳴をあげる。まいらのその姿はまさに鬼そのもの。
その刃が、正しくミサキを捕らえ強烈な一撃を加えた。一撃、そして二撃。三撃と斬撃の連撃はつづく。多段ヒットしたそれはミサキの身体を宙に上げ、そこから一気に畳み掛ける。
「かぷ、ありがとう。……──いまこそ。あなたに貰ったこれを使う時!!」
「はぁああ!!!!」
──ジャキン!!!
素早くコンフィング画面を開き、武器パレットを表示、そこからイベント開始時、かぷちーのから貰った、オーガ専用装備である双剣を装備し、ステラから貰ったバフと自分自身の全身全霊の力を全て込め、最後の一撃を喰らわせる。
「はぁああああああ!!!!! これで、最後だぁああ!!!!!」
……ズギュン!!!
闇を切り裂く、最後の一撃が決まる。
「ああああああああああああ!!!!!!!」
バツの字に切り抜かれる、ミサキ。HPゲージが赤からゼロへ。遂に、遂にこの戦いに終止符が打たれたその瞬間である。
ピーーー!!!
ギルドリーダー!! 撃破!!!!
『game set!!』
……勝者─────────────────!!




