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「私は妖桜に会って来ますので」
「そうか、気を付けてな」
「はい」
そういえばこの子も私が産まれた年に庭に植えた桜の木を素材として利用していたとか…まあ、昔の主の語ったホラ話の一つかもしれませんがね。
「あ、言うの忘れてましたが、こっちに来てからはあなたの声が少しだけ聞こえた気がしますよ」
『本当なの?ご主人様?』
前言撤回しましょう。はっきり会話可能な形で聞こえてしまいますね。
「この扉にはパスワードが必要であると」
『さっきのおじさんがいい筋肉とか言ってたよ』
「いい筋肉……11929ですかね?」
あ、開きましたね。それでは進みましょう。