表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボイタチさんとフェムネコさん  作者: 中の人
番外編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/171

【B視点】お部屋探し

・sideB


 あたし絡みの事件的なやつから、数日経った日のこと。

 宣言通り、あたしは新たな物件をスマホで探していた。


 犯人特定されたんだから今のアパートでもえーやんとよぎったけど、設備が。

 うん、設備がねえ。大家さんはいい人なんだけど。


 帰ってきて狭くてくつろぎづらい部屋が迎えてきたら、毎日の幸福度がすり減ってくじゃん?

 まさかここまでコンセントが少なくて、配置の自由度が低いから好きで選んだ家具に圧迫感を覚えるとは思わなかったし。


 あと、コンロ一つってのも料理しづらいからコンビニ食推進物件なのかよと突っ込みを入れてしまった。

 セキュリティの面で見ても、カメラないし安心とは全く言えない。


 今は内装DIY可の物件とかも増えたけどさ。まるごとリフォームまではしなくても、寝具とかは妥協しないほうがいいと思うよ。

 あたしはこの高級羽根枕があるから、今まで耐えてこれたようなもんだ。


 QOLのためにも、やっぱりあたしは住み替えを決意した。

 あと、あいつと物理的に距離を縮めたかった。

 てか、大半の理由はそれだ。



「今の住まいに不満とかある?」

 あいつにそれとなく聞いてみた。

 不動産屋よりも、実際にそこに住んでる人の意見を聞くほうが参考になるからね。

 なのですぐ下見も出来て心強いアドバイザーがいる家に、あたしは今日も訪れていた。


「設備関連で言うなら、契約アンペアが小さい。冬場とかは電化製品を使う場合、いちいちエアコンを切らないとブレーカーが落ちそうで不便ではある」

「あー、わかるかも。実家居たときすらエアコンとドライヤー使ってたら頻繁に落ちたもの」


「それと、防犯面か。特に若くて綺麗な女性の場合は」

 あたしの場合はそれ関係でトラブルがあったばっかなので、あいつは語尾を強めて言った。だから十分に気をつけろ、というニュアンスだ。


 つか、君も若い女性なんだから自覚しようね?

 どのタイプの人間でも絶対安全ってのはないぞ。


「自転車も危ないんだっけ」

「倒して犯行に及んだ事例がある。車でぶつけさせて介抱した人もグルだった、とかが」

「あったねえ、そんな事件。だとすると原付が無難かなあ」


 ちょっと値段は張るけど、用心深く考えて損することはない。

 今までは走って帰ってたけど、いつもいつも体調がいいわけじゃないしね。


「あとは実際に夜回ってみるのもいいか。ここがそうだが、周囲が公団だから夜間は暗いし静かだ。車道からも距離がある」


 閑静な住居、ってのはメリットもデメリットもあるんだよね。

 いくら駅近くても沿線通りはうるさいだろうし。

 あいつが言ったように夜が暗くて静かなとこだと、犯罪率は当然跳ね上がる。


「りょ。なるべくコンビニとかの灯りがあって、2階以上で、できれば監視カメラ付のオートロック物件って感じかな」


 あとはカーテンは地味なものにしろとは良く聞くね。女物だとわざわざ女の一人暮らしでーすってアピるようなもんだ。

 補助鍵や覗き見防止のドアスコーププロテクターは、あとから付ける感じで。


 とりあえず、条件を絞って安い順から検索。

 1件目、家賃5万。駅まで徒歩15分。築25年。コンロ一つ。パス。

 2件目、家賃5万ちょっと。駅まで徒歩10分。築18年。現在空き室は1階のみ。パス。

 で、3件目が家賃はそれなりにするけど、1Kで良さそうな物件かなあ……


「エアコン付、二口ガスコンロ、都市ガス、フローリング、築3年、駅まで徒歩2分、TVインターホン、オートロック、室内洗濯置、南西向き、初期費用は家賃ひと月分、現在2階と3階が選択可能……ふむ」


 6万ちょっとの家賃を除けばいいんじゃないか、とあいつが頷いた。

「都心じゃなくてもこんなするんだ?」

「それでも、大学生の割合としては8万円くらいまでの物件もそれなりにいる。用心するに越したことはない」

「みんなそれくらいの相場なんだねー」


 ついでに住所をグー○ルマップに割り当てて、あいつに見せてみた。

 この辺りを見たことはあるかと。

「ああ、東口の大通りか。最初の角を曲がったところだな……」

「大通りの側なら夜でも賑やかそうだし、街灯がある条件もクリアしてるってこと?」

「そうなる」


 職場とあいつの家までの距離も、徒歩だと10分以内、自転車や原付だと5分以内だ。

 大学までは数駅離れることになるけど、駅がすぐ近くにあるのは心強い。

 うん、いいんじゃないですかね。


「じゃ、即決ー」

 あたしは内見の予約をポチった。こんだけ条件良かったら、掲載からすぐ埋まっちゃいそうだからね。

 オプションや仲介手数料については、見積書を見せてもらってから交渉すればいい。


 もちろん、親に事前に話は通してある。被害のことも包み隠さず。

 心配かけちゃったのは申し訳ないけど、住み替えには同意してくれた。多少お金かかってもいいからいいとこにしなさいと。

 だから安さだけで選ぶなと叱られたりもしたけど、おっしゃる通りなので何も言えない。

 このご恩は就職時にきっちり返すからね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ