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ボイタチさんとフェムネコさん  作者: 中の人
高校時代編

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【B視点】路線提示

「で、次は目元ね。ここ超重要。なにせ一番盛れるポイントだから」

「ここも、すごいな。二重って作れるのか」

「結構みんなやってると思うよ? 目頭切開も珍しくないし」


 それだけ、おめめぱっちりに仕上げられるかってのは重要な要素だ。

 よく見ると体のバランスとか背景荒くね? って絵でも顔のパーツさえ整ってれば売れちゃうもの。

 眼力って七難隠す。まあ絵だと色彩センスが一番大事だけど。


「まずは目元の油分をしっかり取る。パウダーとかでね。で、アイラインをリキッドで細く描く。横に長さ出すと顔の余白ちょい埋まるからさ。このとき線はキレイに引けなくても大丈夫。ぼかしてカバーするんで」


 二次元の絵って、やたらアイラインは長いし黒線部分の幅もある。きりっと強調してると眼力が引き立つからかね。


 少なくとも、目が小さくてアイラインが一本線の美形キャラって見たことない。

 それくらい、目元は美を描写するにおいて重要なパーツなのだ。


 そこ参考にベースの線引いたら、黒より若干薄めのブラウンシャドウをグラデ意識してぼかす。


 で、つけま押し込んで二重を作る。

 今回は薄化粧風だから、まつ毛はそんな長くないタイプを。

 そしたらインラインとアイシャドウで二重をくっきりさせる。


 そんで、目を大きく見せるのに一番効果的なのがカラコン。


 これとつけまの組み合わせマジ有能だと思う。

 黒目の割合が増えるだけで印象がらっと変わるんだからすごいよね。


 眉はもさついてたから、ちょっと剃って描いた。

 角度はそんなつけないで、眉尻もすっとはらうように入れて。

 ここも整えるだけでだいぶ違うよ。細かいとこの気遣いの集合体がメイクってこと。


「次に髪の毛ね。今回はイメチェン優先で試しにウィッグつけたけど、髪がキレイってだけで印象変わるから。どこから直すか迷ったら、まずは美髪を目指してみるのがいいかな」


 ぶっちゃけ、ストレートな前髪と自分に合った髪型で大抵の骨格はカバーできる。髪型補正めっちゃ大事よ。

 絵もね。最近のやつは作画カロリーめちゃくちゃ上がってるけど、その一つの要因が髪の毛。描き込みが細かくなったってこと。

 ここだけでみんな何色も使ってるし、ツヤを引き出せれば華やかさも段違い。

 SNSではバズるかバズらないかが髪にかかってるほど。

 絵の世界でも髪は女の命なのだ。


「君の場合はひどいくせ毛とかじゃないから、とにかくダメージケアを。頭部の浮き毛は痛んでるってことだから。ワックスとかでコーティングするのがいいかな。で、普段から保湿力の高いシャンプーやトリートメント使うこと。あと紫外線は肌だけじゃなく髪の天敵だから、日焼け止めスプレーで対策もいいよ」

「いろいろ揃える必要があるんだな」

「まずはヘアオイルからにしてみる? 洗ったあとにそれつけて乾かすとこから」

「そうしてみる。ありがとう」


 うん、素直っていいね。教えがいもある。

 いろいろ辛い思いしてきたんだろうけど、性格までは歪んでいないようでほっとした。


「じゃ、次は服だね」

「ああ、その、予算は、」

「大丈夫大丈夫、ブランドショップとか行かんから。誰でも知ってるあの洋服店だよ」


 お店の名前を出すと、さすがに店名は知ってたのかあいつは頷いた。


 最後に一曲ずつ歌って、あたしたちはカラオケボックスを後にした。

 カラオケというかパウダールームでのご利用だったけど。



「いらっしゃいませー」


 店内は女性客が大半を占めてたけど、子供や男性客もちらほら見かける。


 安いからってネットではだせーとかバカにされがちだけど、全国チェーンが展開されてるってことは品質も確かってことだよ。

 意外と、庶民の味方のお店って侮れない。


「で、何が着たい?」

 あたしが尋ねると、あいつは考える仕草をした。

 首を傾けて、脳内の引き出しを探っている。


「分からない。大きく外さないならそれでいい」

 うん、まあ、そう言いそうな気配はしてたよ。

「少なくとも……スカートとかは多分似合わない。着たいとも、あまり」


 面長で背が高いから、いかにも女の子したファッションとは相性悪いって先入観があんのかな?

 ロンスカは高い人に似合うんだけどね。


「前に服はおさがりばっかだって言ってたけど、そこも関係する?」

「そう、かもしれない。どうせ似合わないなら、お金をかけないほうが親の負担を減らせると。何が着たいだなんて考えたこともなかった」


 ふーむ。おしゃれと縁遠かった人が相手だからなー。

 あんまりあたしの主観で決めすぎるのもよくないんだけど、ここは方向性を示してあげたほうがいいかもね。


「じゃ、さ」

 あたしは軽いアンケートみたいなものを取ることにした。

「かわいい系は着たいってより抵抗あるんだよね?」

「そう、なるな」

「ん。では言い方を変えるよ」

「……?」

 きっと、この路線がうまくハマってくれることを信じて。


「あんた、かっこいいって言われたら嬉しい?」

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