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6 二つの暗号の謎

 茜はそこまで語った時、喉が乾いてきたのを感じて、目の前の珈琲を一口飲んだ。

 喫茶店は夢のように美しい。だが、なによりも美しいのは恋している相手と面と向かって座っているこの状況だ。茜は、夢なら覚めないでほしいと思った。


「それで奥さんと稲葉さんによる犯行を証明することはできたのかな?」

 と祐介は尋ねる。

「ええ。なかなか手こずりましたけど、どうにか重要な証拠を掴むことができました。それは、こういうわけなんです。わたしは稲葉さんが宿泊しているという「サグカレーの部屋」に侵入して、片っ端から証拠を探しました。そして、黒いマフラーを見つけたんです。そこに風間さんの名前が記されていることに気づきました。つまり、稲葉さんの部屋にあった黒いマフラーが、実は風間さんのものだったんです。このマフラーについて、優子さんに尋ねたところ、これは昨年、優子さんが父である風間さんにプレゼントしたもので、風間さんは、奥さんとの最期の旅行にもつけていったらしく、実際に旅行中の写真にもその姿が映っています。そしてそれは、風間さんが事故死して以来、行方知らずになっていたんです。それをなぜ、稲葉さんが所持していたのでしょうか。実は、この黒いマフラーは一見するとどこにでもある一般的な外見のもので、稲葉さんも似たようなマフラーを持っていたそうなんです。そして、二つのマフラーはすり替わったのです。いつ二人のマフラーがすり替わったのか。そのタイミングは、風間さんが旅行中にマフラーをつけていたことから、事故が起きた旅行中だということが分かります。つまり二人は旅行中に会っていたんです。このことがきっかけで、警察も稲葉さんについてさらに捜査をするようになり、奥さんと稲葉さんの犯行はその後、証明されることになったんです!」

「お手柄だね。さすがだよ」


 茜は、祐介に褒められるとドキリとして全身が熱くなる。興奮してきて、椅子の上で軽く二回跳んだ。

「そ、そんな、わたしなんて!」

「まあまあ、落ち着いて。それでカレーレシピは見つかったのかな?」

「はい。やっぱりインドカレー屋敷の中に隠してありました。そして、その場所は、この二つの暗号が示していたんです。さあ、羽黒さん。あなたならきっと解けると思うのですけど……」

 そう言って茜は、ついに羽黒祐介に挑戦する。




 神様のみぞ知る

 梵天堂の魔のカレーレシピ

 今 世に名前 とどめたり

 サリーが月夜よりも綺麗

 あのカレー 窯 海潜り 真理




 c8.d1.c6.d6.g5.e8.d8.c5.

 e3.f3.d5.f1.b3.a1.a6.a8.

 e2.g4.h7.a5.h2.d3.h1.c1.

 b1.e5.f8.b5.h5.g1.d2.e1.

 f2.c2.f5.a4.c3.d4.h8.c4.

 g8.a1.h4.b8.a3.b4.a7.e4.

 g3.b7.c7.d7.e7.f7.g7.b6.

 g2.h3.e6.f6.g6.h6.b2.f4.




「なるほどね……」

 祐介は、二枚の紙に記されているものを見比べる。

「64文字だね」

 と祐介は言うと、にこりと笑った。茜はそれを見て、ゾクリと背筋が凍るほどかっこいいと思った。恋する乙女の挑戦は、果たして上手くゆくのだろうか。そして暗号には何が記されているのだろうか……?

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