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第三話 目標の設定

 目標の設定


 エスト世界に来て二日目の朝が来た。

 森の合間から注がれる太陽の光と朝を知らせる小鳥たちの声で目が覚めた。

 流石に森の広場でテントもなくベニヤ板とレジャーシートにマントでは、良く寝たと言う気分にはなれないようだ。


 眠気の残る体のまま、昨晩にチャージしたポイントでミネラルウォーターと世界樹の実を三つ出し、それを朝食とする。

 昨日に世界樹の実を食べた感想として、一食に三個ほど食べられるように感じた。

 世界樹の実を食べ終えてから、タイソーのハンドタオルを購入して、残ったミネラルウォーターで顔を洗い、すっきりさせる。

 タイソーだけではなくホームセンターなどにも、これからお世話になるのだろうな。

 どんな商品があるのか時間があるときに眺めておいた方が良いのかもしれない。


 顔を洗う以外に今できることもないので、早速作業にかかる。

 今日のポイントに余裕があれば歯磨きや洗剤なども購入しておきたいところだ。

 一応美少女の体なので日焼け止めや肌ケアグッズなども考えておいた方が良いのだろうか……。


 さて、魔力は十分回復しているようなので、土魔法を使ってみることにする。

 最初に何を作るのかと言うのなら、トイレだ!


 まずは、北の目印となる岩の近くに行く。

 魔法は、イメージで組み上げるようなので、穴を掘ると念じると直系三〇センチメートル程で深さは一メートルほどの穴が出来た。

 最低限のトイレの機能として必要な穴はこんなところか。

 さらに、土の壁を作ってみる。

 二メートル程の壁が完成したが魔力を注いでいる間は、それなりに堅いが魔力の注ぎを止めるとあまり強度は高くないようだ。

 だが、壁は壁なので、このまま三方を囲ってトイレが完成した。

 屋根がないし扉がない?

 出入口は石の方向を向いているので、一応外からは見えないようにしているし、雨がいつ降るのかわからないが、まともな屋根が完成する前に雨が降ってきたならレジャーシートかベニヤ板を屋根代わりにするつもりだ。


 次は仮の家作りだ。

 土の壁を二メートル程で作り出し、それをコの字に立てて行く。

 もう一枚壁を立てて屋根のない家が完成した。

 ベニヤ板とレジャーシートの寝床を中に運び一応の風よけは出来た。

 屋根はベニヤ板を並べるつもりなので、今日は一日、ポイント集めとなる。

 そうして日が暮れるまでにベニヤ板の屋根が完成して、人間らしい生活ができる環境がかろうじて整った。

 ちなみに扉は、ベニヤ板を引き戸代わりに立てかけるだけとなっている。


 一応十七歳の美少女の姿をしているが、サバイバルな生活には恥じらいなど邪魔な感覚に思えてしまうので、辛うじて家と言えなくもない物ができたところで、このまま本格的に真面な家の建築を始めることにする。



 それからエスト世界に来て二週間が経ち、こじんまりとしたログハウスが完成した。

 二週間でこじんまりとしているとはいえ、ログハウスが重機も使わず建てられるのかと言えば難しいのかもしれない。

 だが、ここは魔法のある世界、いろいろと工夫をしたら何とかなってしまったのだ。


 まずは風魔法で木材を伐採していったのだが、威力があまり出ないようで〇距離から何度も放ち伐採していく。

 そうして伐採した木々を結界内に運び込む。

 この時に、道化師の心と言うギフトにある重力魔法と空間魔法を使えるようにしておき、重い木々でも重力魔法で軽くして運び込むことが出来た。

 運び込んだ木々たちを乾燥させるために水魔法で水分を散らしていった。

 乾燥された木々を再び風魔法で加工していき、ログハウスに適した木材に加工していく。

 さらに細かい加工には大工道具を異世界市場で購入して、それらを使うことになった。

 そうして、ログハウスの部品となった木材たちを重力魔法で運び出し、空間魔法で空中に停めたりしながら、作業を進めて行ったわけだ。

 ちなみに、板材などの加工は難しいので、必要に応じて異世界市場から板材や金属部品も購入している。

 そうして完成したログハウスは、我ながら良く出来ていると思う出来栄えとなっている。


 家具は、丸太の上にベニヤを固定して、その上に布団を載せただけのベッドと枝を組み合わせて作った棚を用意した。

 食器やテーブルなどは、ある程度使える物を作ろうとすると大変なので、地球の品を用意している。


 さらに、トイレ用の小屋も改めて作り直し、一応汲み取り式のトイレとなり、最初に作った土の仮家とトイレは、そのまま土の中に返している。


 さて、家も完成したし、本格的にこの世界と関わって行くつもりだが、しばらくの間は人との交流をするつもりはない。

 理由としては、どうやら俺は、あまり強くないようだ。

 木材調達のために結界から外に出た時、やたらと硬いイノシシや、角の生えたウサギやクマがいた。

 軽く魔法を当ててみたが、イノシシは硬いし、ウサギは素早い、クマはとにかく凶暴だ。

 おそらく俺が出合ったこれらの獣たちは、魔物と呼ばれる存在なのだと思う。

 ファンタジー世界の定番の様なスライムやゴブリンにオークなどもいるのかもしれないのだから、非常に危険な状態なのだと思えた。

 それに木々の伐採の時、〇距離から風魔法を当てなければ伐採できなかったのも問題だ。


 そこで考えた結果、世界樹の実に注目した。

 どうやらいろいろと調べた結果、世界樹の実は、一つで魔力を一〇〇ポイント分増加してくれるようだ。

 特に一日何個食べたとしても問題はないようだが、小さいとは言ってもリンゴはリンゴだ。

 一食三個の一日九個程を食べるのが限界に感じる。

 とりあえず一年程度、この森で生活をしながら魔力を増加させ、魔法や武術の修行をしようと思う。

 同時に大き目のログハウスも建てて、畑を作り、ついでに森の散策もしてみるつもりだ。

 エストナから聞いた話によると、この世界は地球と同じで一年が約三六五日で二四時間に換算できるらしい。


 そういうわけで、強くなるのを目標に設定して修行の開始となった。


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