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第一話あるいはプロローグ エストナ

ご覧に来ていただけた方々、ありがとうございます。

作者は、視覚障害者一級ですので、大量の誤字脱字がどうしても出てしまいます。

ですので誤字報告機能の活用を歓迎しております。

また脳内変換もおすすめしております。こんな物語ですが、どうぞよろしくお願いします。


 エストナ


 今、おれは、金髪碧眼の絶世の美女と言っても過言でもない存在と真っ白な空間で対面している。


「私は、エストナと申します。望月勇樹さんですね?」

「は、はい。望月勇樹で合っています」


 エストナと名乗る美女は、何枚も薄い布を巻いたような姿でまさに女神といった服装をしている。

 正直なところ、めちゃくちゃ緊張している。


「三八歳で独身、両親はすでに他界しており、身内は兄一家だけのようですね」

「兄一家とは、それなりに仲良くやっています」

「そうですか。ですが、残念なお話をしなければなりません。勇樹さんは、交通事故に巻き込まれて死亡してしまいました」

「ああ、何となくそうかなって思っていました」


 ここへ来る直前の記憶は、仕事帰りに交差点の横断歩道で信号が変わるのを待っていた俺にトラックが突っ込んできたところで途切れている。

 おそらく、あのままトラックに追突され、即死でもしたのだろう。


「現在の勇樹さんは魂のみの存在となっており、ここは狭間の空間となります。勇樹さんの魂は記憶を持ったままの異世界転生の素質があるようで、私が管理する世界、エストでの転生のお勧めに参りました」

「え、異世界転生?」

「地球の特に日本の方なら詳しい方もいるようなんですが、勇樹さんは如何でしょう?」

「えっと、異世界転生を題材にした物語はいくつか知っています。記憶を持ったまま異世界で生まれ変わっていろいろと無茶をするとかそんなお話ですよね?」

「その異世界転生で合っています」

「自分に異世界転生の素質があるんですか?」

「記憶を保持したままの転生には、それ相応の負荷に耐えられる魂でなければなりません。勇樹さんの魂は、その負荷に耐えられる魂ということになるのです」

「珍しい魂ということなのでしょうか?」

「そうですね。確かに珍しい魂ではありますが、過去にもそれなりの人数が確認されておりまして、悪質な性格の方以外には、可能な限り声を掛けさせていただいております」

「転生者がそれなりにいるってことなのでしょうか?」

「そうなります。基本的にエストは、文明の発展が停滞しておりましてそれを打破するために転生者を招いているのです」

「転生後は、文明の停滞の打破を目的に行動するのですか?」

「具体的に何かをしてほしいという指示はいたしません。その方が安全に知識や技術が広がるようなんですよね。過去に積極的に文明の進歩を推し進めようとした方々もいたのですが、殆どの方が天寿を全うすることなく亡くなっています」

「もしかして狂人や異端扱いされて迫害されたのですか?」

「その通りですね。記憶を持ったまま転生したのですから無理をせずに天寿を全うして頂きたいです」

「なるほど……。そのエストと言う世界は、どんな世界なのでしょう?」


 それからエストの情報を聞くことになった。

 基本は剣と魔法のファンタジーな世界をイメージしたら良いようだが、日本の良くある異世界転生物語のようにゲーム的なステータスやレベルなどはなく、能力の向上は単純に鍛えることで伸びるそうだ。

 代わりにギフトと言う能力があり、詳しく聞くと、レベルアップなどがないスキルと思って良いようだった。

 異世界からの転生者である俺の様な存在には、文明の停滞の打破と言う使命が一応あるので、凡庸なギフトを三つ貰うか、汎用性の高いギフトを二つ貰うか強力なギフトを一つ貰うかを選べるとの説明だった。

 エストの民のすべてがギフトを貰えるそうで、複数持ちも希だがいるらしく俺の様な転生者が紛れても珍しく思われる程度なのだそうだ。

 ちなみにギフトが何だろうと魔法は使えるし、極端に困ることはないとのことだ。

 さらに、転生とは言っているが、ある程度俺の希望を反映してくれた新しい体を用意してくれるそうで、好きな年齢から新たな人生をスタートさせてくれるとも説明を受けた。


「……エストに来ていただけますか?」

「ギフト次第にします。新しい世界で生きて行くのも良いとは思うのですが、一度きりの人生が終わったことを認めて大人しくこのままいなくなるのも良いとも思えてしまうんです」


 正直なところ、社会人としての生活に疲れ切ってしまった俺がいる。

 俺が勤めていた会社は、ブラックと言うほどではなかったが、ホワイトと言うほどでもなかった。

 それに、地球には記憶は無くなるが輪廻転生のようなシステムがあるようで、次の俺の人生に期待しても良い気もする。

 人生は一度だけ、一度で十分だと思っている俺の気持ちは案外強いらしい。


 だが、ギフトと言う能力は気になる。

 それ次第で、新たな人生を異世界で過ごしてみるのも悪くはないかもしれない。


「わかりました。凡庸なギフトを三つにしますか? 汎用性の高いギフトを二つにしますか? それとも、強力なギフトを一つにしますか?」

「まずは、全てのギフトを見せてもらって良いでしょうか?」

「これでギフトは、確認できますので、気が済むまでどうぞ。使い方は地球のタブレットと同じです」


 タブレットを渡され、操作していく。

 確かに地球でよくあるタブレットと同じ操作で問題はないらしい。


 そうして凡庸なギフトから見ていくと、魔法や武術、技術、生活などカテゴリーが分かれており、まずは魔法から見て行く。

 風魔法、水魔法、土魔法、火魔法などと言ったゲームや小説などで見る魔法から重力魔法などもあった。

 詳細を見るとこのギフトがないと使えないわけではないが、使いやすくなるそうだ。

 さらに、魔力の増加を示すギフトや魔力量の回復速度を上げるギフトもあった。

 武術では、剣術や槍術、弓術などがあり、俊敏性を上げるギフトや筋力を上げるギフトがあった。

 ステータスはないそうだが、こういうギフトはあるのか。

 技術には、錬金術や従魔術などから鍛治や紡織、経営や耕作などもあった。

 生活には料理や清掃などからマナーなんてギフトもある。

 目立つギフトだけでもそれなりの数があり、ギフトの数は膨大なようだ。


 次に汎用性の高いギフトを見せてもらった。

 こちらも数が膨大だが、カテゴリーには心とその他の二つがあった。

 心には、戦士の心、魔導師の心、騎士の心、神官の心などから、村人の心や町人の心などがある。

 心のギフトの詳細を見て行くと、凡庸なギフトの詰め合わせの様なギフトのようで、騎士の心なら剣術、槍術、騎乗などのギフトの複合になるようだ。

 村人の心は、農耕や伐採、採取などが複合されていた。

 その他の方には、植物の知識や魔物の知識などがある。

 鑑定系のギフトは見当たらない。

 強力なギフトの方にある可能性もあるが、基本的にステータスやレベルのないエストでは、鑑定の意味があまりないのかもしれない。

 その代わりに知識系のギフトがあるのだろう。

 建築の知識や造船の知識などもあり、知識系のギフトも面白そうだな。

 最後となる強力なギフトを見て行く。

 こちらも心とその他に分かれていて心から見て行く。

 心系のギフトには、聖騎士の心や賢者の心、勇者の心に魔王の心などがあった。

 数は多くはないが、強力なのは何となくわかる。

 その他には、万物の知識や異界渡り、不老があった。

 万物の知識は、知識系の複合したギフトのようで、ここにギフトの知識もあるようだ。

 異界渡りは、確認している世界を行き来することができるギフトのようだな。

 不老は文字通りのようだ。

 うーん、万物の知識があれば、鑑定と同じような効果を得られるのだろうが直接個人の能力まで見られるわけではないので却下だな。

 異界渡りは、地球とエストを行き来できるのだろうが、体が変わるのに地球に未練を残しても辛いだけだな。

 幾つか眺めていると気になるギフトを見つけた。

 異世界市場と言うギフトだ。

 詳細を眺めると、自らの魔力や品をポイントに変えて、そのポイントで異世界の物品を購入できるらしい。

 魔法や武術は努力でどうにかなるようだし、異世界市場と言うのだから、最低でも地球の武器は買えるのだろう。

 どこかにある俺の知らない世界の品も買えるのかもしれない。


 これに決めるか!


「ギフトを決めました。異世界市場をお願いします」

「ギフトを決めて頂けたということは、転生をする決意もして頂けたのですね?」

「はい、よろしくお願いします!」


 そうして、新たな俺の体の打ち合わせやイスト世界での生活の方法などを話し合い、俺は新天地エストの大地に降り立つことになった。


異世界転生はトラック転生だと思うんだ。

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