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目の保養は大好物ですが、恋愛対象ではありませんっ!  作者: 深月みなも
王立学院、一年生のお話
19/26

これから暮らす寮ですか?part①



**************************



行きに来た道を記憶を頼りに戻り、校舎を出た二人は寮を目指して歩く。

隣に歩くジルもその頃には笑いも治まり、すっかりいつも通りに戻っている。

なんで笑ってたのか聞いてみたけど、気にしないでと誤魔化されてしまったので、結局アリエラがその答えを知ることは叶わなかったが。


校舎を出た二人は、学院を背にして右手にある道へと進んでいた。

こちらを抜けた先が寮がある区画なのだ。

つまり今歩いている道が、これから五年間学院へと通う通学路になるわけである。


これから毎日通ることになる学院から寮までの道には、丁寧に手入れされた薔薇が植えられており、薔薇独特の芳醇な香りが辺りに漂っていて、それだけでこの道を通るのが好きになりそうだ。

時折長椅子が設置されているので、薔薇を見ながら休むのもいい。


道沿いに進んでいくと、今まで真っ直ぐに伸びていた道が半円状にカーブしだし、そのカーブの左側には芝生の先に大きな池が見えてきた。

はっきり見える所まで歩いてきたアリエラは、歩道から見ても綺麗な色をしている池の水は自然なものなのか、何かしらの魔法が掛かっているのか…どちらかは分からないけれど、キラキラと光を反射させた透き通る水は心惹かれる美しさに見惚れた。


そしてカーブを抜けきると、漸くそれらしい建物の一部が見えてきた。


…といっても、かなり遠目にだが。


なぜなら寮らしき建物よりもだいぶ手前に、重厚感のある門があり、そこから伸びる広範囲に張り巡らされた塀と柵、その内側にある森林とも言える樹木の更に奥。

そこに小さくレンガ造りの大きな建物の一部がちらりと覗いているのが分かる程度しか見えないのだ。それぐらい、寮まではまだ離れていた。


門がはっきりと認識出来るところまで辿り着くと、そこには学院の制服とは全く違う真っ白な制服を着込み、腰に剣を帯刀した何人かの大人がいた。

確か、学院に入る前に馬車を誘導していた人達も良く似た制服を着ていた気がする。

武器の個人的な持ち込みが禁止されているこの学院でそれが許されており、共通の制服を着込むことで自身の立場を示すということは、この学院での警備か何かを担当している人達なのだろう。

その人達が、アリエラ達と同じ制服を着込んだ生徒の対応をしていた。

あそこでどこの寮に行けばいいのか確認するのだろう。


「あれからだいぶ時間が経っているから混雑はしてなさそうだ」


ジルが言うように、門前でやり取りをしている生徒はまだ多くいたが、それでも式に参加していた人数を考えると、その数は何十分の一程しかいない。

皆が待機室を出てからだいぶ時間が経っているので、大半の生徒はもう自分の寮と部屋を確認してとっくに部屋で休んでいる頃合だろう。

生徒会室への呼び出しは色々と問題もあったけれど、暫く会えなくなる姉と話すこともでき、ここでの混雑も回避出来たのであればある意味良かったのかもしれない。

アリエラ達も自分達の寮と部屋を確認する必要がある為そこに向かい、先に来ていた生徒達の後ろへと並んだ。


「流石に寮はジルとはバラバラになってしまうわよね」

「まぁ、そうなったらそうなったで仕方ない。別に寮の行き来は自由なんだし」


四つに分かれている寮では、余程運が良くないとジルと同じ寮になるのは難しいだろう。

初めからジルと同じ寮になれる確率は低いだろうと覚悟していたつもりだが、今日の式で新入生の多さを思い出すと一縷の望みすらないのでは…とアリエラは落ち込んだ。

対してジルは随分とさっぱりとしている。

寂しいとか、ちょっとくらい言ってくれてもいいのに!とアリエラは不貞腐れながらも、なかなか落ち込む気持ちは浮上しそうになかった。


「お次の方、どうぞ」


気落ちするアリエラ、そしていつもと変わりないジルが係の人から呼ばれた。

前の生徒の対応がいつの間にか終わっていて、私達の番になっていたらしい。


「お名前を宜しいでしょうか?」

「一年のジゼル・ブロウンドです」

「同じく一年のアリエラ・ディーベルトです」


係の人に名前を告げると、手に持った書類に目を通しはじめる。多分そこに生徒の名前と宛てがわれた寮が書かれているのだろう。

指でなぞるようにしながら、目線と指が書類の上を滑っていく様子を見ながら静かに待っていると、二人の名前と寮の確認が取れたのか係の人が顔を上げた。

あまり期待も出来ず、相変わらずじめじめとした気分でキノコすら生やしそうに落ち込んで係の人の言葉を待っていると。


「ジゼル・ブロウンドは第三寮の509、アリエラ・ディーベルトは…あぁ、同じく第三寮ですね。部屋は315です。」

「そうですか……って、えぇっ!?」

「!?」


そのアリエラの耳に届いたのは、そんな奇跡が起きるはずがないと諦めていた言葉であり、この上なくアリエラにとって都合のいい言葉だった。

あまりにも予想外すぎて、驚きでちょっと声が大きくなってしまい、アリエラの声に係の人がビクッとしていた。

ジルも流石にアリエラと同じ寮だった事に驚いたのか、係の人に『間違いないですか?』と確認している。


「え、ええ……合っています。何か不都合でもあるのでしょうか?」


ちらりと最後の方は私を見てきたので、先程驚きすぎて発狂したせいだろう。不服と捉えられてしまったのかもしれない。

不都合どころか、好都合です!と思いながら、ぶんぶんと首を横に振ったアリエラ。

まさかこの広い寮でジルと同じ寮になるとは…何たる奇跡!今日程神に感謝した日はないっ!……いや、他にも多々あったけども。


(兎に角、ありがとう!神様!)


アリエラは神に向けて手を合わせる。


「すみません。不服などではなく…彼女とは知り合いなのですが、この広い寮では離れてしまうと思っていたので、同じ寮という事に驚いただけなんです」

「そうでしたか」

「あ、それと…先に寮に向かった友達の所に行きたいのですが、どこの寮になったかだけ教えて頂けませんか?それさえ教えて頂ければその寮で部屋は確認するので」

「はい、所属の寮だけでしたら構いませんよ。その方のお名前は?」

「ありがとうございます。友人の名はマリベル・ヴァレトリーと、アドルフ・ヴァレトリーです」


神に感謝を告げているアリエラの代わりに、ジルが係の人に否定をしてくれた。

ついでに後で聞いて回れば良いやと、楽観的に考えていたアリエラとは違い、ジルは効率良くマリベルの元へ行けるように係の人に事前に確認している。アドルフの寮も聞いたのは、マリベルが部屋にいなかった場合の対策だろう。

やはり出来る子は違うな。


「マリベル・ヴァレトリーは第一寮、アドルフ・ヴァレトリーは第二寮ですね」

「教えて下さりありがとうございました」

「いえ。建物は時計回りに左から第一、正面に並ぶ二つが第二・第三、右が第四になりますので。寮の入口に入りましたら、中にいる責任者から鍵を受け取りましたら指定された部屋へどうぞ」


係の人が手の先で正面奥に見えている寮を指しながら四つの寮のどこが私達の寮かと、中に入ってからのことを教えてくれる。

礼を述べてから二人が門をくぐり抜けて敷地内へ足を踏み入れると、寮まで伸びる道の左右に広がった緑に囲まれている道を歩きながらジルが興味深そうに辺りを見ていた。それはアリエラも同じであり、歩きながら辺りを見渡して思ったのは、とにかく敷地内への手のかけようが凄いということ。

門に辿り着くまでの道もだが、門の内側の寮区画もまた綺麗に手入れされていた。

学院の敷地内にこれだけ広大な寮を設けること自体が凄いことなのに、その中に森林のように広大に広がる樹木に舗装された道。

そのどれもこの歴史ある王立学院と共に年月を重ねているにも関わらず、木々が道に出過ぎないよう整えられていたり、道も綻びがないように都度で手入れや手直しをしている様で、平でひび割れもない。

その一本道を歩きながら、正面に見えているのは係の人の話を聞く限りは第二と第三の寮だろうか?横並びに二つ、所々木々で見切れながらも正面にレンガ造りの大きな建物が見える。


漸く寮が見渡せる所まで来た二人は更に驚きに目を見開いた。

正面に二棟、左右一棟ずつ並ぶ寮。

遠近法でも大きく見えていた寮が、想像よりも更に大きかったことに驚きすぎて瞬きを忘れてしまう。

大きすぎるが故に見上げた寮は、今日初めて中に入った学院の校舎とはまた雰囲気の違う建物で、石造りの全体的に灰色の校舎とは違い、赤茶のレンガをふんだんに使った建物は温かみがある。

レンガで覆われた外壁をなぞる様に上へと視線を上げていくと、首が痛くなる高さまで視線は上がり、視線を上げていく途中見えたのは三階からは一定の間隔ではめ込まれている窓。

恐らくそこより下は共有スペースか何かで、三階からが個人スペースなのだろう。所々の窓から換気のためか、開けた窓から顔を出している生徒がいた。


そして、一番上まで上った視線の先には大きな鐘が備え付けられていた。

寮の最上部に鐘楼に取り付けられた青銅の鐘がアーチ状に組まれた所から覗いている。

寮に何故鐘が付いているのか、用途はいまいち分からないが、それと同じ造りの寮が四棟も並んでいた。


「本当に、凄いわね…」

「あぁ…話では聞いていたけど、本当に凄い。流石王立学位の寮」


朝ジルが学院で言っていた、寮も凄いみたいという言葉通りで、こちらの建物もその一言しか出てこなかった。


驚きと期待で高鳴る胸を抑えながら、アリエラはジルと共に指定された第三寮へと足を踏み入れた。

中へ入ると、入ってすぐの所に即席で置かれたのだろう。雰囲気の合わないデザインの机と椅子が置かれており、そこに一人の女性がいた。女性は手に持った本を読み込んでいる。


「…あら?ようこそ、第三寮へ」


二人が入ってきたのに気付いた女性が、本を読む手を止めて優しく笑いかけてくれた。


「こちらで鍵を渡すから、いらっしゃいアリエラ・ディーベルト、ジゼル・ブロウンド」


驚くことに、まだ名乗っていないのに女性から自分達の名前が出てきた。

手招きされて、アリエラは驚きながらもそちらへ向かうと、女性は可笑しそうにくすくすと笑う。


「なんで名前を知っているのか不思議?」

「へっ!?どうして…」


考えていた事が分かるのか。その疑問すら彼女にはバレているようで。


「貴女わかりやすいもの。というか、普通名乗っていないのに当てられたら驚くものね。でも貴女達の名前がわかった理由は簡単なのよ?」

「俺達が最後なんですね」

「……君は感がいいのね?ちょっとつまらない反応だけど、その通りよ。はい、これが貴女達の鍵。個人部屋は三階からになるわ。部屋へ行くにはそこの階段を右左どちらでも構わないから登れば行けるわ。どちらを昇っても部屋まで近いか遠いかの違いがあるだけで辿り着ける構造だから。全ての寮は同じ造りで、一・二階は共有スペースになっていて、何がどこにあるかや寮の規則なんかはこの本に書いてあるから、後でちゃんと読んでおいでね」


アリエラに悪戯が成功した子の様に答えを教えてくれようとしたが、それをジルが先に答えてしまった。

ジルに先にネタばらしをされてしまいちょっと不貞腐れた女性は、寮について軽く説明をしてくれ、最後に鍵と小ぶりな本を手渡された。

受け取った本の中を軽く覗いてみたが、中にはびっしりと文字の羅列が。

なかなかに読み応えがありそうだ…と早々にアリエラは本を閉じた。


「アリエラ、後でちゃんと読むんだよ?」

「うん……あとで、あとでね……」


ジルがアリエラの反応に、読む気がなくなったのではと察して事前に釘を打ってきたので、それにギクリとしながらもアリエラはまるで出された宿題を忘れたいがため現実逃避するように定番台詞を呟いた。

正直、一日で読みきれる自信はない。


物語や自分の気になる分野についてはいくらでも本を読み込めるのだが、こういう規則ばかりが書き連ねてある本や、説明書的なものはいつもはじめは意気込んでみても結局途中で飽きるか寝てしまい、そのままどこかに放ってしまう、というのがアリエラの常だ。

なので、こちらもそうなる可能性が非常に高い。

分かっているなら頑張ればいい?いやいや、頑張っても突然襲ってくるあの眠気には逆らえませんって。

などと、一体誰に向けてか分からない説明をアリエラは脳内で一人繰り広げる。


真面目なジルは読み込むだろうから、自分でも試しに読んではみるけれど、最悪の場合はジルに大事なところだけでも聞こう……と、既に他人任せな事を頭の隅で考えているのは今は内緒にしておこう。


「私はこの寮の寮長を務めているから、困った事があったらいつでも相談して。それじゃあ、これから五年間、学院生活を楽しんでね」


私達は実は寮長だった女性に笑顔で手を振られ、それに対して会釈を返すと、部屋へ向かうべく玄関ホールの両端にある階段の右側にとりあえず向かった。

先程寮長が部屋への道のりが近いか遠いかの違いがあるだけで、結局は辿り着くのでどちらでも構わないと教えてくれたが、そもそもその部屋がどちらの方が近いか本日初めてここに足を踏み入れた二人には分からないのでその場から近い方を選んだ次第だ。


右の階段に向かいながらも見渡せば、やはり広い玄関ホールの左右に伸びる大きな階段は迫力がある。

その階段を上っていくと二階フロアに出た。

二階の廊下には割と人が沢山いて、すれ違う人の中には手に持った本を開きながら、行く先々の部屋を覗き込んだりしている。

わくわくした様子を隠せず浮足立っている。きっと共有スペースを見に来た新入生だろう。

その気持ちはとてもよくわかる。

私もマリベル達との約束がなければ同じようにジルを引き連れて寮内を散策して回ったに違いない。

誰かが中を覗こうと扉を開ければ、中からも沢山の声が漏れてくるから、中にも大勢の人が居るようだ。

うんうんと頷きながら、アリエラはその生徒や数ある扉の前を通り過ぎていく。


沢山の扉を見送ると再び階段が現れたので、アリエラの部屋がある三階へと上がった。

そして三階にたどり着くと、ジルはそのまま自分の部屋を先に確認してくると、アリエラには自分が行くまで部屋で待っているように言い残し、その場で解散になってしまった。


アリエラは寮長から言われた部屋番号のプレートを探しながら一人、三階の廊下を練り歩く。

そして漸く見つけた『315』のプレート。その扉の鍵穴に受け取った鍵を差し込むとガチャリと重たい金属音が鳴って開いたことを知らせてくれた。


扉を開けて中へ足を踏み入れれば、屋敷の部屋よりは勿論遥かに手狭ではあるものの、そこは落ち着きのある日当たりのいい部屋だった。

元々部屋に設置されているベッドとワードロープ、そして勉強机と椅子。さらには小ぶりなテーブルと椅子が二脚あり、ティータイムや来客にも対応できそうだ。それら全て品があり、備え付けにしては上等の物だった。流石、王立学院だ。


更に、部屋の中には既にヴィーが整えてくれたのだろう。

アリエラが愛用している慣れ親しんだものや、今回の寮暮らしのために新たにそろえた小ぶりな家具や物が品よく並べられていた。

勉強机の上には、いつの間に用意したのだろう。掌に収まるほど小さな花束と綺麗な柄の封筒が置かれていた。封を切って中から便箋を取り出すと、そこには。


『親愛なる、アリエラお嬢様へ


私がお嬢様のために整えたお部屋は気に入っていただけたでしょうか?お嬢様が学院を卒業なさるまで常にお傍にいることが叶わない代わりに、せめてお嬢様がゆっくりと心身ともに休めるよう整えてみました。

お嬢様のお気に入りの小物はドレッサーの一番上の引き出し、ほかによく使いそうな物はここにどこにあるか書いておくので、後で場所を確認しておいてくださいね。

それと、私がいないからってお寝坊や身だしなみ・スキンケアを怠ってはいけませんからね?次ご帰省なされた時にちゃんとチェックしますから!

私も使用人の皆もお屋敷でお嬢様のお帰りを心よりお待ちしております。

それでは、お体にお気をつけて。


追伸

この花は屋敷の皆さんと話して、リックさんに用意してもらったんですよ。

使用人の皆からお嬢様に向けての花なので、お時間があるときにその意味も調べてみてくださいね。


ヴィーより』


と書かれていた。

この部屋に入れたのは今のところヴィーだけなので当たりまえだが、差出人はやはりヴィーだった。その内容はなんとも心配性なヴィーらしい内容だ。

手紙に書かれていた追伸を読み終えると、アリエラは手紙と共に置かれていた花束を再び手に取った。

それはまだアリエラがアリエラになる前の日本でいう『アリッサム』という花に似ている気がするが、見るのは好きでも花に詳しくはないアリエラには一体何の花で、どんな意味を持つのかまでは分かりそうもなかった。

『アリッサム』の名を知っていたのだって、母が花が好きで実家に沢山植えていた花の一つで、母から聞いた花の名前をたまたま覚えていただけという理由だ。

広く知られている朝顔や向日葵などは知っていても、それすら細かな品種の違いなど言及されてしまえば分からないの一言しか出てこないので、知っていると言っていいかも微妙な程の知識しかない。


そして、それに付随する『花言葉』や『名前の由来』なんて知識は壊滅的にない。

つまりは…ヴィーからのささやかな宿題は、アリエラにとって難題に等しかった。


「ヴィー…プレゼントは嬉しいけど、それを問題にしなくてもいいんじゃないかしら……」


出来れば答えも書いておいて欲しかった、とアリエラは困り顔を見せたものの、やはりその顔にはどこか嬉しさが滲んでいた。


使用人たちからのサプライズにほっこりし、日当たりのいい窓から見える美しい学院の景色を眺めていると、足元の方から誰かの声のようなものが聞こえてくる。

ん?と思ったが、すぐにその声の原因に思い当たったアリエラ。


(そうだった。下の階は共有スペースだったわね)


下の階が共有スペースということもあり、時折賑やかな声が下から漏れ出てきているのだろう。

意外と声が響くのねと驚きはしたものの、聞こえるものだと思っていれば別段アリエラは気にならないし、なんだったら三階なら玄関ホールまでが近いからラッキーと思っていたが、神経質な人にとっては三階は外れくじなのかもしれない。

運悪くそういったタイプの人が三階になっていないといいのだが、と他人事のように考えながらアリエラはジルが来るのを窓からの景色を楽しみながら静かに待った。




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