新しいお仕事
その後2日は、宿で朝食を食べ、ギルドで雑用をまとめてこなし、夕方には宿に戻り夕食を食べる生活をしていたのだが、3日目にそれは起こった…
「もう雑用依頼がないだと?」
「はい、カイヤさんが雑用だけでなく、その根本的な原因まで解決していくために、あらたに出される低ランク依頼が激減しているんです。これ以上はケガをした冒険者の仕事を奪うことになるのでやめてください…」
まさか仕事がなくなるとは…
くっ…俺はこれから何をして生活していけばよいのだ!?
「いや、魔物倒してくださいよ。雑用させるためにあなたを冒険者に引き込んだわけじゃないんですよ。」
「魔物討伐とは言うが、俺はGランクだぞ。ランクに見合わないではないか。」
「そんなこと気にされてたんですか!?冒険者は自己責任の世界ですから、別にGランクがCランクの討伐依頼を受けても文句は言いませんよ。もちろんケガをしても補償はありませんし、死んでも責任持ちませんけど。」
「まるで悪徳商会の様なセリフだな。」
「適正ランクを調べて公開しているだけこちらの頑張りを認めてもらいたいものですね。ちなみにカイヤさんにはこのあたりの魔物討伐をお願いしたいのですが。」
そういうとリリーは3枚の依頼書を持ってきた。
キングボストロールの討伐(Bランク)・・・最低金貨1枚~
インペリアルスライムの討伐(Bランク)・・・最低金貨1枚~
リビングアーマーの討伐(B+ランク)・・・最低金貨2枚~
「報酬の最低とはどういう意味だ?」
「素材がどれだけ残っているかですね。この前のドラゴンみたいに状態が良ければ使用できる素材が多いため、報酬が上乗せされる感じです。」
素材を生かす討伐か…確かに剣でずたずたに切り裂いてしまえば皮ははぎ取れないし、毒を使えば肉は食えなくなるな。
「それでこいつらをこの前みたいに凍らせてくればいいのか?」
「できることなら。この3体は魔術耐性があまり高くないのでカイヤさんにうってつけかと。それに攻撃魔法は火魔法がよく使われるんですが、素材が大体燃え尽きてしまうので、この魔物たちの素材はなかなか手に入らないんです。」
「よしいいだろう。これも生活のためだ、受けてやる。」
「ありがとうございます。ただし、荒野地域までは行かないように気を付けてください。ある地点から草木が急になくなります。そこから先は空間の魔力量が多く、魔物の強さもSランク相当になります。そこから先に進んめるのは勇者様だけなんです。」
「忠告感謝する。だが問題ない。強さとは何か、ここ数日冒険者を観察しわかったのだ。」
そういうと俺は体中に魔力を巡らせる。
「冒険者にあり俺の足りないもの…それはっ!!!」
魔力を筋繊維1本1本に巡らせ拡張させていく。イメージするのは最強の自分!
「き・ん・に・く・だ!!!!」
膨張した筋肉により服ははじけ、ボタンは飛び、リリーのおでこにぶつかる。
ふっ、決まったぜ…リリーも感動で震えている……なぜ冷めた目をしているんだ?
「行く前に、着替えだけしてくださいね。あと今後話しかけないでください。」
おかしい…羨望の眼差しが多い中なぜリリーの好感度がさがっているんだ…?
人間という種族を理解するのは、まだまだ時間がかかることを俺は理解したのだった。
毎話筋肉というワードを入れたい病気にかかってしまいました。結果主人公がどんどん馬鹿になっていきます。