まだ街には入れません
ぼーっと待っていると、門の奥からハゲた大男が現れた。
「おいおい、なんだこのバカでかいドラゴンは。しかも氷結魔法でドラゴンを凍結ってどんな魔力量だよ。後なんでこいつは全裸なんだ?」
「そこのドラゴンに燃やされてしまってな。」
「そ、そうか…ごほん!俺はこの街のギルドマスターをしているガイスという。そうとうな実力者と見受けられるが、俺の記憶にあんたのような冒険者はいないな。あんたはどこの誰なんだ?」
なるほど、強い冒険者だと思って冒険者のギルドマスターを呼んだというわけか。しかし名前か…勇者がカナコとか言っていたな。カナコ、カナコ…カナオ……違うな、カイナ…でいいか。
「俺の名前はカイナという。人の街に来たのは初めてだから知らなくて当然だな」
「人の街に来たのが初めて?お前それまでどうやって暮らしてたんだ?」
そろそろ考えるのが面倒になってきたな。
「まぁいろいろあったんだ。この街に来て冒険者になろうと思ったんだが、中に入ることはできるか?」
「あぁ、そうだな。このまま話しててもしょうがないか。これだけの実力者が冒険者になってくれるなら断る理由もない。ちょっと待ってろ。」
そういうとおっさんは門番の男と何やら話し出した。
「話はついたぞ。まずはこのクリスタルに手をかざしてくれ。これは手をかざした人間の過去の行いを読み取る魔法が入っている。ロスティア共和国法に反した行いをしていた場合赤く光る仕様だ。問題なければ青く光る」
ふむ、魔力反応をみるに人の記憶を探る洗脳魔法の一種か。恐らくは問題ないが、念のため魔法陣に干渉して青く光らせておくか。
「よし、こうだな」
ピカアアァァァ!!!
まぶし!
「なんだこの光は!お前一体何者なんだ…」
「ふっ、俺の清い心に反応してしまったのかもしれないな…」
ふぅ、なんとかごまかせたか…?有耶無耶にするためにも早く先に進まねば。
「青く光ったのであれば問題なかろう。さぁさっさと冒険者登録させてくれ。このまままっすぐ進めばいいのか?」
「おい!待て!このまま行くのはまずい!大変なことになるぞ!」
「何がまずいのだ。お前のいうチェックは通ったのだ、これ以上何をするというのだ。」
「いやお前、全裸で街中歩いたら犯罪だぞ。」
そういやまだ服着てなかった。