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スケルトンドラゴン

 和樹は一度引属性の魔術で盾部隊を後方に退かせた。


「一度退け! 体勢を立て直すんだ!」


 和樹が無数の魔族の前に立ちはだかると、そこにコモナとエリシスがやってきた。

 2人に目で合図を出して和樹がうなずいた瞬間、攻撃を開始した。


 和樹は以前の黒炎の杖で作った槍で魔族達に攻撃していく。

 魔族の中には和樹の槍でも切れない硬い装甲の者もいたが黒炎は燃え移り、体を燃やして倒していく。

 コモナも強化された魔族以上のパワーで接近戦を圧倒する。

 エリシスも数多の刃に風属性を付与してさらに切れ味を増して、魔族を切り刻んでいく。

 しかし、強化されている魔族達は3人が抑えているがその他の魔族はその両サイドから流れ、兵達との戦闘は続いた。

 国家騎士団長も戦闘に混ざり、後方に流れた魔族は兵達に任せて和樹は目の前の強化された魔族との戦闘に集中した。


「コモナ、エリシス。この魔族に俺たちの攻撃は効果的のようだが、魔族の攻撃も強力だ。一撃も食らわないように気をつけろ」


「わかった」


「わかりました」


 強化された魔族も3人を他の魔族の殲滅に行かせないように必死に抵抗してくる。

 大きな魔族達の力は以前和樹が実験室で見せたようなパワーがあり、一度の攻撃の破壊力が凄まじくトイドの訓練が無かったらすぐにこの数と強さで倒されていただろう。



 すると和樹達に影がかかり上を見上げた瞬間、大きな骨で出来た手が降ってきた。

 和樹がその攻撃を魔力障壁で受け止め、蹴りで骨で出来た手を跳ねのけた。

 そこにはとてつもなく大きな骨で出来たドラゴンがいた。

 コモナのドラゴンとは違い、この骨のドラゴンには翼があった。


「お前らは他の奴らを狙え。こいつら3人は私が相手をする」


 骨の4本足で立つドラゴンの背中には一体の魔族が乗っていた。

 体はそこまで大きくはないが目や髪がなく薄気味悪い魔族が現れた。


 先ほどまで戦っていた魔族達は両サイドに散らばり他の所に向かった。


「コモナ。エリシス。別れてさっきの魔族達を止めてくれ! こいつは俺が相手する」


「わかった」


「わかりました」


 2人が分かれて移動しようとしたところに、高い炎の柱ができた。


「行かせませんよ」


 不気味に笑う魔族だが、和樹もすぐに対抗した。

 水属性の魔術を地中から大量に噴き出し炎を打ち消した。


「今だ! 行け!」


 その隙に2人は魔族を追いかけた。


「2人には逃げられてしまいましたが一番厄介なあなたを足止めできるのであればよしとしましょう。魔族の幹部の1人の私とこの精霊のスケルトンドラゴンとあなた、どちらが強いか試してみましょう」


 確かに三つ目の魔族に近いほどの異様な魔力を和樹は感じた。


「あなたも不死の体だそうですね。私も近い体をしていまして、他の強化された魔族の倍近い治癒力を持っています。頭や心臓を吹き飛ばした程度で死ぬと思わないでくださいね。そしてこの私の精霊である強力な力を持つスケルトンドラゴンと融合することで……」


 魔族はスケルトンドラゴンの中に溶け込んでいく。

 そしてスケルトンドラゴンが大きく鋭い牙を生やした口で喋り始めた。


「あなたを越える無敵の存在になる!」


 スケルトンドラゴンは腕を振り上げ、和樹に向けて振り下ろした。

 和樹はその攻撃をジャンプして避けたが、振り下ろしただけで地面は大きく陥没した。

 和樹はこの攻撃力を見て他の兵に被害が出ないように、引属性でとてつもなく大きなスケルトンドラゴンを無理矢理その場から魔族が向かってくる方向に吹き飛ばした。

 そして、首筋に右手を当てザキに血を吸わせた。


 黒魔術で身体強化した体でスケルトンドラゴンの頭部を殴り打ち砕いた。

 しかし、砕かれたはずの骨が元の形に戻っていく。


「甘いですね」


 周りに居る魔族達も攻撃に参加してくる。

 今の和樹には容易く倒せるが、問題はこのスケルトンドラゴン。

攻撃しても元に戻っていく。

 黒魔術の心臓を使った魔術を使えば倒せるかもしれないが、また三つ目の魔族が出てきて今度はその黒魔術を使わずにあとあと使われたら厄介でむやみに使えない。


 和樹は黒炎の槍でスケルトンドラゴンを攻撃して灰に変えられるか試した。

 しかし、灰になるスピードより再生が速く逆に黒炎を纏ったスケルトンドラゴンになってしまい厄介になった。

 和樹は黒炎の魔術を解いた。


「さて。攻撃の効かないこの状況をどうしますか? クックック。あなたの魔力が尽きるのを待って痛めつけるのも面白いかもしれませんね」


 和樹は必死に考える。

 しかし、考えながらもスケルトンドラゴンの攻撃は続き、和樹はむやみに魔術を使い魔力を減らすことを避けて近接戦闘のみで戦いを続ける。

 スケルトンドラゴンの攻撃事態も強力だが和樹の黒魔術で身体強化された体では防ぐのも避ける者容易かったがどうすれば倒せるかがまだ思いつかない。

 そして、時間はかかったが解決策を思いついた。


 スケルトンドラゴンから一度距離を取り、胸に手を突き刺した。

 ザキも言わなくても心臓を食べた。


 和樹は黒魔術を使った強大な魔術を使おうとしている。


「和樹! どうする気だ? またあの攻撃使ったらあいつが出てくるかもしれないぞ」


「わかっている。だからこうする!」


 一度距離を取った和樹だが瞬時にスケルトンドラゴンの下に潜り込んだ。

 するとゼロ距離で魔術を発動させた。


「食らえ! 絶対零度の超低温の氷属性の魔術を!」


 スケルトンドラゴンに触れた和樹の手から一気に全身を青白く変色させ冷気を漂わせた。

 和樹が軽くたたくと粉々に粉砕した。


「さすが和樹様! 魔術を放つのではなくゼロ距離で発動させる魔術なら闇魔術にも対抗できますね」


「すぐにみんなの元に戻るぞ」


 


 三つ目の魔族は遠くから和樹の戦いを見ていた。


「あの攻撃はまずいな。仕方がない。今回は撤退しよう。笛を鳴らして全軍を撤退させよ」



 魔族が向かってくる荒野の方から角笛の音が響いた。

 魔族達はその音を聞くと戦いをやめて、荒野の方に退いていった。


 和樹は鋭い視線を感じ振り返ると遠くから三つ目の魔族がこちらを睨んでいるのが見えた。

 すぐに三つ目の魔族は後ろを向き荒野の方に魔族を引き連れ退いていった。




 3人は合流できた。


「和樹無事だったのね。コモナと先に和樹のこと待っていたのよ」


「遠くからでも見えたよ! 和樹あの大きなドラゴン倒しちゃったね! 本当にすごいよ」


「2人とも無事でよかった。一度王都に帰ろう」



 和樹達は兵を引き連れ転移魔術で王都に帰還した。


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