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荒野の戦い

「エルファルト王国に大量の魔族が進行中との情報が入った。直ちに対策を立てる必要がある。戦えない女、子供は国から隣国に移動させ、兵や魔術師、戦える者を集めよ!」


 国王の発言ですぐに動き出す者も出始めた。


「今回の魔族は今までの魔族とは桁違いに強いということも戦う者に伝えよ。できれば魔族が王都に到着する前に倒したい。軍をすぐに編成して深遠の谷方面に向かわせよ」


「深遠の谷の手前にある荒野になら俺がすぐに向かわせられる。もちろん俺も行く」


「そうか。和樹よろしく頼む」


「私も行く」


「お父様、私も行ってよろしいですか?」


「……わかった。和樹。エリシスを頼む」


「わかった」


「わしは念のため王都に留まる」



 国王はすぐに国に居る戦える者の半分を送ることになり、そしてその間に続々と隣国から戦える者を王都に集結させて、戦いに備え先行部隊として和樹達3人も同行することになった。


 王城の外の広場に先行部隊の兵達が集められた。

 和樹達3人は先頭に立ち、今までにない巨大な転移魔術を展開した。

 兵達が驚く中、和樹が先行して次に2人が転移魔術の中に入った。


「皆の者! 和樹殿に続けー!」


 軍の指揮官の合図とともに兵達が進み始めた。



 和樹は先に転移魔術から出ると近くに魔族がいないか確認するために空に高く飛んだ。

 すると魔族は黒い帯のように大群で転移魔術を出て3時の方向にすでに進んでいた。

 魔族も巨大な転移魔術に気が付き一部魔族がこちらに向かってきている。

 大きな魔術を使いたいところだが三つ目の魔族の闇属性魔術のことを考えると使えなかった。

 和樹が着地する頃には全兵隊転移魔術から出ていた。


「すでにあちらから一部魔族がやってきている。相手の中に闇属性を使う魔族がいるので大きな魔術は控え、接近戦で戦うか小規模な魔術で戦うのがいい」


 和樹は指揮官にそう伝えると、先に魔族の方に向かっていった。

 2人も急いで着いていく。


「全軍、近接戦闘を主体に大規模魔術を控え各個撃破して進め! 突撃!」


 オーと言う声が和樹達の後ろから聞こえながらさらに進むと魔族が目に入った。


「ザキ! ウェルマ! 行くぞ!」


 ウェルマは杖に変わり、和樹はまた首筋を切った。

 その血をネックレスのザキが吸収して和樹は身体強化された状態でウェルマの杖の先に黒炎で作った槍で魔族たちを次々と切り刻んでいく。

 治癒力も高まった魔族も切り口から燃え続ける和樹の攻撃には対処できなかった。

 コモナもグレスを武器化させて身にまとい、鋭い爪とその破壊力で治癒が間に合う前に魔族を粉砕していく。

 エリシスはセレヌとの融合で数多の刃を生み出し、敵を切り刻んでいく。


 軍が到着するとすぐに魔族は討伐された。

 さらに魔族の本部隊に近づき、魔族も先ほど以上の数で押し寄せてきた。

 こちらの軍は魔族の数に押され始め、進行が遅くなってきた。

 何体倒しても魔族が押し寄せてくる。

 味方の兵達も疲れが見えてきた。

 和樹は指揮官のもとに向かった。


「兵達も疲労が見えてきている。俺が増援を求めて一度王都に戻るか、兵全員を王都に戻して体勢を立て直すか……」


「……一度撤退しよう。魔族の数も少しは削っただろう。すでに王都には隣国からの増援が到着する頃合いかもしれない」


「わかった」


 和樹は転移魔術を展開させた。


「一時撤退! 笛を鳴らせ!」


 兵の1人が角笛を鳴らした。


 和樹は転移魔術の前に立ち、兵に紛れて王都に入ろうとする魔族を倒していった。

 徐々に和樹も抑えきれなくなったときにコモナとエリシスもやってきて3人で転移魔術を死守した。

 こちらに向かってきていた兵をすべて送り届けた。


「コモナとエリシスも引け。俺は倒れている兵を引属性の魔術で転移魔術を使って王都に送る。それが終わり次第、俺も戻る」


「わかった」


「気を付けてね」


 2人が転移魔術を通るのを見届けると一度転移魔術を解いた。

 そして和樹は空に飛び立ち、上空から人間をイメージして倒れている兵士だけを上空に引っ張り出した。

 そのまま和樹とともに、転移魔術の中に入り脱出に成功した。



 転移後、和樹も含め医療魔術師がけが人を手当てし始めた。


 エルファルト王国には女、子供はほとんどが隣国に移動を済ませて、兵が集結しつつあった。



 和樹は休憩する間もなく、作戦会議に顔を出した。


「隣国からの兵が集結しつつある今、次の戦場は草原地帯。魔族もあの荒野を抜けるにはまだ時間がかかるだろう。明朝、兵の8割を投入し草原地帯で魔族の進行を阻止する。森林地帯に入ると戦いづらくなるので、草原地帯を突破された場合エルファルト王国で籠城戦することになる。できればそれは避けたい。それでは皆頼む」


 皆が解散する中5人は残った。


「三つ目の魔族がいるせいで大きな魔術を使って一気に魔族を殲滅できない……」


「闇魔術は使える者が少ない稀な魔術。対策は接近戦闘しかないという理不尽な魔術じゃ。さらにその三つ目の魔族は黒魔術で身体強化までできると来た。正直手ごわい。おそらく太刀打ちできるのはわしか和樹くらいじゃろう。草原地帯ではおそらく先の戦闘以上の激しい戦いになる。もしその者が出てきたら和樹が全力で止めよ」


「わかった」


「コモナと姫もおそらく他にも強い魔族はいるじゃろうから気を付けるのじゃぞ」


「わかった」


「わかりました」


 コモナとエリシスは明日の戦いに備えて早めに就寝した。

 和樹は王城の一室で寝る前にまた考え込んだ。

 あの三つ目の魔族をどう止めるか。

 どうやれば倒せるかを考えイメージして眠りについた。


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