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卒業

「精霊魔術にはいろいろ戦闘方法があってな、例えば2人で協力して戦う。前衛後衛に分かれて戦ったり、精霊から力を付与してもらい召喚者が単独で戦ったりする。次に精霊を武器に変えて戦う。次に融合して精霊の力を付与した体で戦ったりする。3人はまず自分の戦闘スタイルをようく見つめなおしどの戦闘方法があっているか考えてみるといい」



 3人は各々の精霊と話を始めた。


「ウェルマはどれがいいと思う?」


「私は和樹様の性質を見えるのですが、私を最大限に生かせるのは武器だと思います。協力に関しては和樹様の前衛に立ち相手からの攻撃を防ぐこともできるかもしれませんが、圧倒的な魔術の前に私にも被害が出て、攻撃しにくくなると思います。融合に関しては痛覚も共有されるので不死の体である和樹様は痛みに慣れているようですが黒魔術などを使用時、私が耐えられるか難しいです。その点、私の武器化は増幅系の杖に変化します。魔術はより強力に、接近時はそのまま武器としても使用できます」


「なるほど。ウェルマには色々見えるんだな。きっと俺の過去も……」


「はい。申し訳ありません。しかし、だからこそその心にひかれて参りました」


「わかった。武器化で行こう」


「わかりました」


 するとウェルマは真っ白な先端にはクリスタルが付いた神々しい杖に変わった。

 和樹は杖を握りしめ、その軽さとみなぎる力を感じた。



 3人とも決まったようでトイドのもとに戻った。


「和樹は武器化させて杖にしたか。コモナは手と足にドラゴンの硬く鋭い爪の武器をはめたか。エリシスはその漂う剣と甲冑を見る限り融合じゃな。……よし準備は整った。それでは最終訓練でもあり卒業試験でもある、わしとの最後の戦闘訓練じゃ。3人がかりでわしを倒せたら卒業とみなす。今回はわしも精霊を呼び出すとしよう。紹介しよう。ビャクガじゃ」


 下輝き光の中から白い虎のような精霊が出てきた。

 ビャクガはすぐにトイドの全身に身にまとい融合した。

 まるでコモナの武器を全身にまとっているかのように白い毛皮を手足、胴体に付けすでに以前から見ている筋肉で体を大きくした状態の姿であった。



「それでは3人ともかかってまいれ!」


 和樹はイメージしてコモナとエリシスの脳に直接語り掛けるような魔術を使い連携を取ろうとした。


『2人とも聞こえるな! まずは俺が魔術でトイドの動きを見る。おそらく今のトイドは本気に近い。気を抜くな!』


『わかった』


『わかりました』


 和樹はトイドの下から大きな氷塊を出現させトイドごと凍らせた。


『おそらく、トイドは俺を先につぶしに来る。エリシスは俺を守りつつ反撃。コモナは反撃メインで俺が援護する』


 エリシスは和樹の前に立ち構え風を漂わせた。


トイドはドーンと氷を打ち砕くとすぐさま和樹の背後に回り込んだ。


「そう来ると思いました!」


 和樹の背後に回られて剣をふるえないエリシスは漂わせていた剣でトイド目掛けて攻撃した。

 トイドはとっさの判断で避けた。

 そこをすかさず和樹の引術でコモナの方に投げ飛ばした。


「何!」


 コモナはグレスの武器化で拳を覆った強固でさらにパワーが増した力でトイドに殴りかかった。


 トイドは壁に吹き飛ばされ、打ち付けられた。

 和樹はすかさず魔力障壁でトイドを囲い、その中に毒属性の麻痺毒の煙を充満させた。

 そして魔力障壁を解き、風属性の竜巻で煙を上空に飛ばした。


「これはまいったのう。体が痺れおる。じゃが……」


 トイドの顔つきが変わったと同時にとてつもない威圧感がその場に広がった。


「まずい!」


 和樹はとっさに重魔術でトイドにとてつもない重力をかけ押し付けながら動きを止めに入った。

 トイドは膝をつくが、その状態で地面を一殴りして訓練場全体の床を崩壊させた。

 その影響で3人は上に大きくジャンプして和樹が作り出した魔力障壁で空中に足場を作って皆着地した。

 和樹の重魔術は解けた。

 上空にいる3人に対してトイドは右手に力を溜め始めた。


「これは!」


 トイドは右手の力を解き放ち3人目掛けて衝撃波と力の塊のようなものがものすごい勢いでこちらに押し寄せてきた。

 和樹は3人の前に闇魔術の障壁を展開した。

 トイドの力を吸収していく。

 そしてそのトイドの力にウェルマの武器でさらに増幅させ、とてつもなく巨大な雷をトイドに解き放った。

 トイドはその攻撃範囲と速さに避けるのをあきらめ、多重魔力障壁と全力の防御で攻撃を受け止めようとした。

 しかし、魔力障壁をいともたやすく壊していき、雷は受け止めきれず電流が体中を走りトイドは体が黒く焦げ、ところどころ火傷した状態で倒れ込んだ。


 3人はトイドに駆け寄った。

 和樹は光魔法でトイドを治療した。


 トイドはゆっくりと目を覚まし寝たまま喋りだした。


「お主らは卒業じゃ。コモナの攻撃はわしや和樹に匹敵するほどになり、精霊により防御力とスピードも手に入れた。姫は剣術の幅が広がり素晴らしい技を習得した。そして特に和樹はわしを越えるほどの力を手に入れた。3人とも卒業じゃ」


 和樹が手を差し伸べてトイドは立ち上がった。


「あとは己のイメージで自分を磨き鍛えるといい。訓練は終了じゃ。今日は訓練終了の知らせを兼ねて城で休むとしよう。姫。大丈夫か?」


「父にさきに話をしておきます。和樹。転移魔術お願い」


 3人はわずか1ヵ月程度で訓練を無事終了した。


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