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黒魔術の恐ろしさ

 和樹はふと目が覚めた。

 階段を上がり、外を見るがまだ薄暗かった。

 まだ誰も起きていないようであった。

 誰よりも早く目が覚めたというのに眠気を感じずに1人で朝の自己練習を始めることにした。


 攻撃魔術を使う練習をすると3人が目を覚ましてしまうことを考え、またイメージをすることにした。

 外に出て草原の柔らかな草の上に座り込んだ。


「こんな暗いうちから何を考えこんでいるの?」


 ザキは起きていたようだった。

 今回はネックレスのまま話しかけてきた。


「自分に何ができて何ができないのか考えている」


「難しいことを考えているのね」


「そういえば黒魔術の対価は悪魔自身が感じ取った物を要求すると言っていたが、具体的には何を感じ取るんだ?」


「多少の力関係に関しては悪魔の好みによるものがある。例えば私は食べることが好き。だから体や精神的な物が対価になる。けど強力な力の要求は悪魔の好みではなく発動者の一番失いたくないものが対価になる場合がほとんど。自分の命が第一な人には己の命を要求し、その逆もある」


「ザキは精神的な物も食えるんだな」


「体は美味しいく味覚で感じるけど精神的な物はその者が味わってきた気持ちを味わうというのかな。例えば幸せを感じる心を食べたら発動者は幸せの記憶や今後幸せを感じなくなる場合もある。逆に私は発動者が味わってきた幸せを味わうことができる。私的には肉体を食べるほうが好きなんだけど、普通の人は肉体食べたら死んじゃうんだけどね」


「俺はまだ身体強化しかしていないが、心臓を食わせたら国1つを一撃で破壊できると言っていたがそれをもし精神的な物に変えたらどうなる?」


「もっとすごいことになる。和樹の場合、肉体的な価値より精神的なほうが価値は高い。大体の人は逆だけどね」


「例えば何ができる?」


「んー和樹の場合は精神的な物はさっき話した失いたくない物の対価に近いほどの価値が出てくる。和樹の心は原石が磨かれ宝石のように輝くように価値あるものに見える。例えば死んだ直後の者を再生とかできるかもしれないわね。自分の命と引き換えに友や恋人を蘇らせようとする人はいるわ」


「そんなことができるのか? けど原石が磨かれ宝石か。確かにそうかもしれない。俺はこの世界に来るまで心は汚れ曇っていた。しかし、この世界に来てコモナと出会うことで清らかな心が持てた気がして爽やかに感じる」


「想像してみなさい。もしその心が奪われるとしたら」


「それは……」


「そう。その反応こそ本来の黒魔術を使う者の反応。大体の人は追い詰められ自分のことを捨てる決断をして禁忌と知って覚悟を決めて黒魔術を使う。追い詰められもせずにただ弱い黒魔術を使う者もいるが最初は軽い対価だからいいやと思い使う。しかし、弱い黒魔術でもその力は他よりも強い。その強さを味わってしまい黒魔術を使い続け軽い対価も数を重ねるごとに失うものが減り、より重い対価になってその者を破滅に追い込む。和樹も黒魔術に頼りすぎて力に溺れないといいわね」


「そうだな……」



 話をしている間に日が昇り始め明るくなってきていた。

 トイドの家からも物音がしてコモナが顔を出した。


「あれ? もう和樹起きているの?」


「目が覚めてな」


「そっか。朝食作るから待っていてね」


「ありがとう」


 コモナは家に戻り料理を始めた。


「和樹。考えてみるといい。例えば魔王を倒す対価がコモナの命だったらと……」


 ザキの囁きに和樹はぞっとした。


「そ、それはもしコモナをどうとも思わないようになれば対価は変わったりするのか?」


「そういった対価は心の一番奥に眠る心を見抜く。表向きだけの気持ちじゃ変わらないよ。それとも思わないようにするだけで変わるような仲なのか?」


「くっ……」


「クックック。考え悩め! 私は和樹のそういったところを見るのも好きだぞ!」


 するとそこにトイドが現れた。


「和樹どうした?」


「……」


 和樹は黙って心の中で悩みもがいていた。


「私が黒魔術の恐ろしさを教えてやったところだ」


ザキが和樹の代わりに何があったか説明した。


「なるほどな…… 何となく見当がつく。和樹よ。それでいいのじゃ。黒魔術は恐れなくてはならない。肝心なのは意思の強さじゃ。そして黒魔術は自己犠牲の先に何を成し遂げたいかじゃ。わしから言うのもおかしな話じゃが黒魔術を使わなくてもいいよになるほど己が強くなればいいのじゃ。わしはお主の可能性は無限大だと思っている」


 和樹は立ち上がった。


「そうだな。もっと強くなって見せる」


「その意気じゃ! 朝食を食べたら新たな訓練に入るぞ!」


「わかった」


 さっきまでとは見違える姿勢で和樹は家に戻っていく。

 トイドはその後姿を見て微笑みながら着いていく。


「朝食出来ましたよ」


 すでにコモナとエリシスは椅子に座っていた。


「それでは頂こう。食べ終わったらすぐにまた訓練始めるぞ。和樹。また転移魔術を頼むな」


「わかった」


 すぐに朝食を済ませ、和樹の転移魔術で訓練所に向かった。


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