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訓練の成果

 和樹はまず掌から自分が思い浮かぶ属性を球体にして出現させ始めた。

 炎、雷、氷、風、水、土、森。

 そこから、イメージを強くして球体を徐々に大きくしていった。

 それに慣れると、すぐに大きな球体が作れるようにイメージして出現できるように練習した。


 エリシスはまずは風で何ができるか、剣技とどう組み合わせるか考えた。

 エリシスはふと和樹を見た。

 和樹は自分の周りに色々な属性を漂わせていた。

 その光景を見て思いついた。

 エリシスは鞘に入った状態の剣を握りしめ、構えた。

 目を閉じイメージをした。

 風を自分の周囲に漂わせ、その風に干渉してきた物体に風を自分の体に付与し、神速の剣技を与えるイメージを作り出しだした。

 最初は剣の届く範囲から徐々に範囲を広げ、剣が届かない範囲には風で剣の刃を作りだした。


「ほっほっほ。他の2人はなかなか面白いことになっておる。さてコモナはどうじゃ? 精神エネルギーの部分転換は体に馴染んできたか?」


「なんとなくわかってきました。あとは威力ですね」


「正直、威力に関しても申し分ない。わしや和樹の防御力が異常なだけじゃ。この世界じゃなかなかの威力じゃぞ」


「そうなんだ」


 コモナは手をギュッと握りしめ成長を感じていた。


「さて、もう少し手合わせと行こうか」


「はい!」



 その頃、和樹はさらに属性を増やしていっていた。

 光、闇、毒、重、引。

 光属性では主に他者を回復できるようにイメージした。

 闇属性は他者の攻撃を吸収し、イメージしだいではその攻撃を増幅して相手に返すイメージをした。

 毒属性は相手に状態異常を与える魔術。

 しかし場合によっては見方にも被害がある可能性があるのでなるべくピンポイントで攻撃できるようにイメージをした。

 重属性は重力を操り自分を含め他者の重力を操る魔術。

 自分には重力をなくし飛行魔術に近いイメージをし、相手には重力をかけ動きを拘束できるようにイメージをした。

 引属は相手を自らの力で動かせるようにイメージをした。


 和樹の頭の中は考え悩むことを活かして、いくつもの魔術をイメージした。

 それを繰り返し行い、体に馴染ませ素早く発動できるように訓練中であった。



 エリシスは先ほど思いついた技を完成に近づけつつあった。

 しかし、弱点にも気が付いた。

 風を発生させることのできる、自分の周囲は感知できるが地中に潜っている敵は感知できないことに気が付いた。

 今のエリシスには感知魔術を使うことができなかったので、耳を頼りに精神を研ぎ澄ませわずか地中の音にも気を向けるように精神集中する訓練に入った。



 コモナはトイドとの戦闘を通して、さらに動きに磨きがかかってきた。

 あの筋肉で体を大きくした状態で、まだまだ力は劣るものの以前とは見違えるほどの動きで手合わせができるようになっていた。



 外が暗くなり始めるころには3人とも座り込んでいた。


「今日はここまでじゃ。皆よくここまで頑張った。今日もまたうちに来るとよい。和樹、転移魔術は使えるか?」



「正直きついが、ザキに手伝ってもらえば使えると思う。ザキ。少しの精神エネルギー頼めるか?」


 ネックレスになっていたザキが元の姿に戻った。

 眠そうに眼をこする。


「あまりにも暇すぎていて寝ていたわ。んー身体強化以下の対価で十分そうね。対価は…… フフッ」


 ザキは和樹に急接近し、唇と唇を重ね合わせザキは自分の舌を和樹の口に入れた。


「何しているの!」


 エリシスは今の出来事に顔を赤くしながら怒り始めた。


「そんなー……」


 コモナはその光景にがっかりしているような素振りをした。


「今回の対価は軽すぎて唾液だったんだもの。仕方ないじゃない。フフッ」

 

 和樹はあまりにも急な出来事でどう反応したらいいか戸惑っていた。


「まー3人とも落ち着け。とりあえず和樹は転移魔術を頼む」


 1人だけ冷静なトイドであった。


「わかった……」


 和樹は転移魔術を出し、トイドの家まで向かった。


 

 昨日同様に和樹は2人の後にあの滝で体を洗うことになった。

 川に浸かり落ち着くと和樹はザキに話しかけた。


「ザキ。起きているか?」


 ネックレスの状態から元に戻った。


「何か用か?」


「今日はなかなか相手できなくて悪かったな」


「そんなの相手できなくて当り前じゃない。黒魔術なんてそう簡単に使える代物じゃないんだから。まー和樹の場合は別だからいくらでも使えるだろうけど、目標が魔王じゃ仕方ないわよ」


「物分かりがいいんだな。食べるの好きなんだよな? 俺の腕を食っていいぞ」


「何の力が欲しいの?」


「別に力とかそういうのじゃない。ただこれから俺はザキに頼ることが増えてくると思う。感謝を先にしておこうかなと思ってな」


 すると和樹は自ら風の斬撃を出現させて左腕を切り落とした。

 以前の和樹なら痛みは感じなかった。

 しかし、精神的に回復した和樹は痛みは感じるが実験の時の影響でこういった痛みに慣れていた。

 川は赤く染まり、すぐに和樹の流れ出した血から腕の形に変わり復活した。


「なら遠慮なくいただくわよ!」


 ザキは和樹の腕を噛み千切り、美味しそうに食べる。

 こんな光景を他の人に見せるわけにはいかなかった。


 トイドの家に戻ると昨日同様、ご飯が出来上がっていた。


「和樹も来た事じゃから、食べるとしよう」


 食事が始まってすぐにトイドが話し始めた。


「食べながら聞いてくれ」


 3人は何事かとトイドを見た。


「お主たちは強くなった。自覚があるじゃろう。この短期間によくここまで強くなった」


「トイド様。他の方でもこんな短期間に強くなれるものなのですか?」


「姫、いい質問じゃ。

 普通は強くなれない。

 前にも言ったが3人とも元々素質があったのじゃよ。

 和樹は身体能力。

 コモナは運動神経。

 姫は剣技。

 そしてこれは言ってなかったが魔力適性の時の珠のことを覚えているか? 

 あれはな、普通の人はなかなか珠は光り輝かないのじゃ。

 色が変わる程度や少し浮く程度。

 だから3人は魔力値も高い。

 そこにわしとの実戦経験を通してさらに早く成長できたというわけじゃ。

 魔力値が低ければそれだけすぐ疲れてしまい訓練がなかなか進まないし、強い魔術も使えない。

 そして、実戦経験もそこまで強くないものとしてもあまり良い訓練にはならぬ」


「なるほど。さすがトイド様です」


「3人の力じゃ」


「明日からも同じ訓練か?」


「和樹。明日からはまた違う訓練を始める。もうそろそろ訓練も終わるかもしれないな。まー楽しみにしておれ。今は食べてゆっくり休め」


 3人は力が付いたことを実感しつつ、明日の訓練でさらに強くなれるのではないかと心が高ぶらせてその日は就寝した。

 

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