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「ようやく効果がなくなったようじゃな。和樹。大丈夫か?」


 和樹は膝をつき息を荒げていた。

 コモナとエリシスも同様に疲れ果てていた。


「軽く意識はあったが体が勝手に動いて制御できなかった」


「それより和樹、何か不思議な体をしているわね? この空間は治癒力を高める効果があるみたいだけど、それにしても和樹の自己再生能力は異常よ」


「俺はどんな傷もすぐに元に戻り死にたくても死ねない不死者なんだ」


「なにそれ? そんな理不尽なまでの能力持っているなら黒魔術なんていらないじゃない」


「駄目だ。確かに死ねないことを生かして長年の鍛錬で強くなることはできると思う。けどすぐにでも力が欲しいんだ」


「ふーん。ますます気に入ったわ。つまり色々な部分食べても死ねないから食べたい放題って事ね」


 和樹は苦笑いをする一方、ザキは不気味な笑みを浮かべていた。


「2人とも大丈夫か?」


「私はこの建物の効果のおかげで時間経過とともに回復してきました。コモナは大丈夫?」


「私も大丈夫」


 2人ともボロボロの体で立ち上がった。

 床は崩れ、壁は無数の大きく陥没している。

 和樹はその光景を見て、いかに自分が暴れたかを思い知った。


「今日はこの辺で終了しよう。建物は魔法ですぐにでも治るから明日もちゃんと修行はできる。それとザキ。何かに変化か姿を隠すことは可能か? さすがに悪魔の姿で街中を歩かせるわけにはいかなくての」


「めんどくさいわね。まーいいわ」


 するとザキは一瞬黒く光り、輝きが収まると和樹の首にネックレスとして姿を変えた。


「これでいいでしょ」


「うむ。では今日は解散じゃ」


「トイド待ってくれ。俺はもう少し修行したい。付き合ってもらえないか?」


 トイドは笑みを浮かべた。


「いいじゃろう。コモナと姫は先に帰ってなさい」


「私も付き合います! エリシスもやりましょう?」


 先ほどまで疲れ切っていたコモナだったが、やる気に満ちていた。


「しょうがないわね」


 2人は戦闘姿勢を取った。


 ネックレスに変わっていたザキが元の姿に戻った。


「まだやるの? 私は食べられるから構わないけど」


「和樹。肝心なのは意志の強さじゃ。気をしっかり持て」


 和樹は無言でザキに腕を差し出した。


「不死身とわかった以上、遠慮なく血をいただくわよ」


 ザキは和樹の腕に噛み付き先ほどまでとは比べ物にならないほど血をごくごくと飲み込んだ。

 和樹はクラっと立ち眩み、体が揺らいだ。

 すぐに和樹の目つきが変わった。


「結構血を飲んだからさっきとは持続時間が違うわよ? 和樹が制御できなかったら誰か死んじゃうかもね」


 今回は3人が先に動いた。

 コモナが足場の大きな瓦礫を持ち上げ和樹に投げつけた。

 和樹は右腕の軽いパンチで打ち砕いた。

 エリシスは隙のある和樹の右側から風を纏った剣で連撃を食らわせた。

 しかし、攻撃は見えないバリアに阻まれてしまった。


「魔力障壁じゃ。いったん下がれ」


 3人は一度集まった。


「まったく魔力障壁まで使えるとは敵にするとここまで厄介な奴になるとはな。コモナ、姫。殺す気で掛かれと言ったが和樹はわしでも倒せるか微妙じゃ。攻撃を与えつつうまくかわすのじゃ。一瞬でも気を抜くな」


「わかりました」


「わかった」


 ザキは攻撃が及ばない高い位置で宙に浮かび、面白そうに見物している。

 和樹の攻撃はどれも強力で防ぐのではなく避けるしかない中、床や壁はさらに崩壊していく。

 コモナが和樹の攻撃後、大きく距離を取るように回避をしたが度重なる戦闘の攻撃で足場が着地と同時に少し床が壊れコモナは体勢をくずした。

 和樹はすかさずコモナに瞬間移動のごとく瞬時に接近し右手を振り上げた。

 大きく回避した影響で救援に向かえないトイドとエリシス。

 とっさに危機的状況でコモナは叫んだ。


「和樹!」


 すると和樹の動きがピクリと止まった。


「……コモナ。大丈夫か?」


「意識を取り戻したの?」


「そうみたいだ。コモナの声が心に響いて目が覚めた感じだ」


 和樹は戦闘態勢をやめて、コモナに手を差し伸べた。

 コモナはその手を取りゆっくりと立ち上がった。


「2人とも大丈夫?」

「肝を冷やしたぞ」


 遅れてトイドとエリシスがこちらに歩み寄ってきた。


「まさかここまで早く制御できちゃうなんてつまらないわね」


 ザキが上から腕を組みながらゆっくりと降りてくる。


「正直、意識を保つだけで精いっぱいでまだこの状態で戦闘は難しいかもしれない」


「わしもまさかすぐにこの段階まで来れるとは思わなかったぞ。ここまで来たらあとは心の問題じゃ。気をしっかり持て。本当に和樹ならマナの遺志を継げるかもしれないな……」


「お祖母ちゃん遺志?」


 トイドは思わず口が滑ってしまい戸惑った。


「……いずれわかる。とりあえず今日はここまでじゃ。身体的にも緊迫した戦闘の連続で精神的にも疲れているじゃろう。今日はわしの家で休むといい。疲れに効く風呂があるのじゃ」


 トイドの提案に3人とも同意し、ザキはペンダントに戻りトイドの家に向かった。


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