神に近い男、幼稚園に通う
剣と魔法の世界に転生しただけあって、町の人たちが皆、剣を腰に下げている。彼らは、老若男女問わず、戦闘が大好きです。
でも、幼稚園生同士の喧嘩で掌から炎とか雷を出すのは流石に物騒だと俺は思いましたよ、はい。
ジェネレーションギャップと言えば良いのでしょうか。周りが若すぎて眩しすぎます。目が~って言いたくなります。彼らは拳で語ると言うのが大好きだそうです。まあ、俺は暴力反対だけどね。
「きえええええええ」
「あたたたたたたた」
「うおおおおおおお」
俺はどうして、こんなところにいるのだろうな。
「きしゃあああああ」
「ぼぼぼぼぼぼぼぼ」
この世界では休み時間は喧嘩し、先生の見ている前では敵を倒す魔法の訓練をし、園児同士は四六時中殴りあっています。
どうやら、この世界の教育として、まずは戦いかたを教わり、少しだけ大きくなったら実戦で戦う訓練をし、さらに大きくなれば魔物と戦い、どんどん弱い戦士は脱落する。
そして、小中高と経て最後に大学まで残れた人が言葉を学ぶことができる。純粋な肉体のつよさの最強の人が文明を発達させられるのだ。町民の大半は言葉を喋られない。弱いからだ。そして、強い人の敷いたレールの上を走るだけだ。
俺はこの世界にガッカリした。
俺は異世界で美少女とイチャイチャするのを期待していたのだ。こんな変人たちとの生活ではない。ここは立っているだけで疲れてしまう。嫌になる。
「とおおおおあおおおおお」
「うるさい、黙れ」
「あ、あ、あ、あ」
そして、俺の加護がチート過ぎた。俺の言葉には誰も逆らえない。私の言霊に皆、この幼稚園にいる程度の人びとは囚われてしまう。死ねと言えば死ぬし、黙れと言えば黙る。正直言って、何も面白味がない。
だから、今日も神と会話をする。
「他の転生した奴等だったり、誰でも良いから話せる相手の居場所を教えて欲しい。」
もう、神様に対してもタメ口でいいや。
「私も分からん。今日もお前と会話しているだけだし。」
おい、何かしろや
「このままだと俺が退屈で死ぬ。」
「それでは、先ずは殴りあって強い子を幼稚園の中で探してみてくれ。」
「何でだ?そんなことして意味でもあるのか。奴等は獣だぞ。」
「今はそうでも、お前が言葉を教えてやれば良い。それに、その子が大学まで行けば話し相手が出来るではないか。」
なるほど、そういうことか
「友達を今から育成できるというわけか。」
「この世界は弱肉強食。強い奴がルールだ。お前が喧嘩して勝てばお前がルールとなる。」
いや、待てよ、友達以上に欲しいものが俺にはあったはずだ
「同性じゃなくてもいいんだよな。」
「美少女の幼馴染は男のロマン。そして、この世界では勝者はすべてを手にすることができるのです。」
神できる
「ふふふふふ、つまりは今から美少女を育成すれば」
「そなた好みの女の子ができるというわけだ。」
「お主も悪よの~」
「いえいえ、ロリコン爺の海堂殿ほどではございません。」
地味に神の言ったことが心に刺さる。まあ、いい。
「海堂くん、まずは幼稚園で一番になりなさい。転生者を探しに行くのはそれからでも遅くはない。」
神が某バスケ漫画から台詞をパクりやがった。まあ、いい。
「俺は世界一の幼稚園生になる。」