リョースアールヴとの合流
最近の寒暖差の激しさのせいか、風邪をひいてしまいました。
そのため、更新頻度が下がるかと思いますが、ご容赦ください
作戦は予定通り決行される。
アカギを隊長として進む部隊。龍人族15名と道案内のリョースアールヴ数名。
明けきらぬ夜陰に紛れて進む。
エルフも夜目が効くため、夜陰に紛れて進むことがどれだけ有効かはわからない。
なるべくなら、遭遇することなく行きたい。
案内役のリョースアールヴの足が止まる。
「どうしました?」
小声でアカギが尋ねる。
リョースアールヴは何も答えず、ただ視線のみを動かす。その先に、エルフが何人かいる。巡回だろうか。
息を殺してやり過ごす。
リョースアールヴ本隊との合流、これはなかなかに難しいようだ。ならば、とアカギは思案する。合流の最大の目的はなにか?それは援軍到来を教え、士気を上げること。ということは、全員が合流する必要はないということ。
ミカサとヒサメを呼び、策を提案する。
一部の者に別行動をさせ、騒ぎを起こす。当然、その者たちは見つかるだろうが、なるべく騒ぎを拡大し、敵を引きつけ、その隙に合流させる。一種の陽動作戦だ。
ミカサ、ヒサメのふたりもそれを了承する。
ミカサ班が陽動を担当。ただし、龍人族であることを隠すため、現段階での龍化は禁止。
それを決定すると、ミカサ班はこの場から離れていく。
そして30分くらいした頃、その騒ぎが起こる。
ミカサたちはエルフの部隊を発見すると、夜襲を仕掛ける。火球の魔法を使い、派手に攻撃する。当てる必要はない。騒ぎを起こし、拡大する。また、デタラメに魔法を放ち、敵は多数であると誤認させる。
「どれだけ釣られてくれるかな?」
ふてぶてしくミカサは呟く。
「さあ、引くぞ!」
ミカサの言葉に、龍人族は踵を返して逃げる。が、ただ逃げるだけではない。追いつけそうな距離を保ちながら、相手が諦めようとすれば、すかさず反転して攻撃をし、引きずり回す。
ただの陽動で済ますつもりはない。少しでも多くの敵を引きずり回し、疲れさせる。そうすれば、翌朝より始まるであろう本戦を、少しでも有利にできるかもしれない。
3時間ほどエルフたちを引きずり回すと、ミカサたちは一旦攻撃をやめ、遊軍として待機する。
ミカサがエルフを引きつけている間に、アカギたちはリョースアールヴ本隊と合流を果たしていた。
リョースアールヴ本隊のいる地。集落、いや里とでもいうべきだろうか。負傷者でいっぱいになっており、血の匂いが充満している。
想像以上の惨状だ。リュウヤに念話にて報告をいれる。
「龍人族の方々ですね。救援ありがとうございます。」
出迎えた者も、傷だらけだ。
よくもこの状況で戦っていられたものだと感心する。
「族長のもとにご案内します。」
族長のもとへ行く間も、出会う者のほとんどが怪我をしている。そして、他に目につくのが非戦闘員の多さだ。
少なく見ても、全体の半数は非戦闘員。元々の比率はもっと低かったかもしれないが、いかに油断していたかがわかる。エルフの奇襲が成功をおさめた、そういう見方もあるだろうが。
本陣にあたる場所だろう。それなりに立派な建物に案内される。だがその中も、怪我人ばかりが並べられ、壮絶な状況である。
「こんな場所ですまない、龍人族の方。」
声をかけてきたのは族長だった。
「援軍、感謝します。」
そう言ってアカギの手を握る。
「リュウヤ陛下より救援を命ぜられたアカギと申します。」
「この地のリョースアールヴの族長、ルーディです。」
ふたりは簡単に挨拶をすると、すぐに実務的な協議に入る。
その中で、龍人族の援軍が15名と少ないことに懸念を示したようだが、"力の解放"を認められていることを知ると、懸念は払拭されたようである。
協議を終えると、夜が明けるまでのわずかな時間を、休息にあてることにした。




