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龍帝記  作者: 久万聖
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行幸の準備

オスマル帝国使節団及び、セルヴィ王国のシニシャ率いる案内役が帰国すると、龍帝国ではトライア山脈に隔てられた北方の領土への行幸の最終調整が始まる。


リュウヤとサクヤ、アナスタシアは当然として、五大神の聖女と新たな龍の巫女となったリュウネも参加する。


秘書官であるミーティアとイルマタル、ファーロウ、


アデライードは、自身が北方に出向いて産業の様子を見たかったようだが、彼女が出てしまうと内政が滞ってしまう。

補佐役となっているアルテミシアだけでは、まだ不安が残るのだ。


そのため、アデライードとアルテミシアの代わりになる者としてキュテリアと、アデライードの腹心マルスラン・ミショーが同行する。


両者の役割ははっきりと分担されており、キュテリアは行幸の運営と管理、マルスランは北方各地の産業と地理の調査である。


リュウヤの近臣としてスティールとその部下たち。


サクヤにはもちろんトモエとシズカが付き従う。


タカオら龍人族は、オスマル帝国戦後の軍の再編により、近衛から離れて遊撃のポジションに置かれて、周辺国への睨みを効かせる立場となっている。

そのため、その隊長格となっているタカオは同行を許されず、代わりにヒサメとアカギの二人が同行する。

また、新たに近衛隊長となったのは、鬼人(オーガ)の鬼姫モミジ。


このモミジの近衛隊長就任は一時的なものであって、恒久的なものではない。

今回の行幸のみの措置である。

なにせ、モミジはエストレイシアに次ぐ軍のNo.2であるため、近衛隊に貼り付けておけないのだ。


モミジ指揮下の近衛隊200名が、これに加えられる。


その他には、翼人族からデリアとエイレーネの双子姉妹。


また、執事長アスランも、侍女長キュウビとともに同行する。

そして侍女たちはというと、リュウヤとサクヤ、アナスタシア付きの侍女は全員同行することになる。


アナスタシア付きとなると、当然ながらナスチャも参加である。


さらに、獣人族も獅人族のカイオンを中心にして、羊人族、猫人族、兎人族、狼人族、虎人族の各種族がそれぞれ10〜20人ずつ同行を申し出ている。


両アールヴやエルフたちは積極的に参加するものはごく少数だが、立場的に参加しなければならない者たちもおり、その人数は合わせて百人ほどになる。


また、ドワーフのトルイも、北方に築く城と街の建設予定地の選定のために参加する。

それに関連して、軍からもエストレイシアの腹心の者が数名、参加することになる。


さらに、五大神の聖女の随員も、ビオラを除くと各50名ほどが参加することになる。


ビオラは、随員となる者がいないことからリュウヤの側にいることも、あわせて決められる。


この決定に対して、皆の意に反してユーリャは文句をつけることなく、


「仕方ないよね。」


の一言で済ませていた。


ガロアで同室になった一夜から何か心境の変化があったようである。


また、公使として滞在しているルーシー公国のナジェージダ公女とプシェヴォルスク王国のエミリア王女も、それぞれ同行することを申し出ており、同行することになっている。


「いったい、どれだけ膨れ上がるんだ?」


というリュウヤの心配をよそに、同行者が決められていく。


さらに、問題になる人物がひとり。


「バトゥは、行くとか言いださないだろうな?」


リュウヤの問いかけに、ミーティアがそっと一枚の書類を差し出す。


それを読んだリュウヤは思いっきり脱力していた。


「アイツは、玉座の重みを理解しているのか?」


自分のことを棚の奥に放り投げ、リュウヤはボヤいていた。


随行するのはおよそ千人。


出発は七日後と定まり、それぞれ準備に取り掛かっていた。

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