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龍帝記  作者: 久万聖
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使節団出発

その夜、リュウヤはアルテミシアたち翼人族を呼んだ。


無論、夜伽のためなどではなく、すでに進められている謀略の説明である。


その内容を聞いて、翼人族10名は一様に驚きを隠せずにいた。


なにせ、自分たちがこの地にいることをわざわざオスマル帝国に、それとなく流しているという。

それでは、なぜ少人数で目立たぬように来たのか、その意味が薄れてしまう。


カシアなどは特に憤っている。


「オスマル帝国に、先に手を出させるおつもりですね?」


さすがにアルテミシアは理解が早い。


そして、これも自分たちには族長を説得するための材料になる。


無論、龍王国(シヴァ)にとってもなんらかの目的があるのだろうが。


アルテミシアとしては、まず目の前の問題として確認しなければならないことがある。


それは、オスマル帝国の動きの予測と、そしてなによりも自分たちの身の安全である。


そのアルテミシアの疑問に対して、


「飛竜騎士団が、国境に集まっているそうだ。その数は5騎。

現在、確認されている全騎だな。

雪祭りが終わった後、帰国していく者たちから聴取して、情報の裏付けを取るのだろうな。」


それから動くとして、2〜3日後といったところだろう。


その説明に、アルテミシアは首肯する。


「君たちの身の安全であるが、君たちは私の客人である。」


それだけである。


「陛下の御心、理解いたしました。」


アルテミシアはそう返事をする。

それに対し、カシアはいまいち理解できていないような素振りを見せる。


「カシア、陛下は私たちをオスマル帝国に引き渡すことはもちろん、指一本触れさせないと、そう仰っているのよ。」


キュテリアが小声でカシアに教える。


客を引き渡したり、危害を加えられるなどというのは、招待した主人(あるじ)としてあるまじきこと。

だから、絶対に守ると言外に言っているのだ。


そう説明され、カシアはようやく理解する。


「それから、君たちに同行する者たちの準備も整っている。

君たちの準備が整い次第、送り出す手はずとなっている。」


メンバーはすでに宣告した通り、フェミリンスを代表として補佐役にミーティア。さらにミーティアが連れて行くのが、エルフのイルマタルと夢魔族のファーロウ。


そして護衛役である龍人族シズカ、トモエ、ヒサメ、カスミ、トウウ、シズクの6名。


国境までは陸路を使い、そこから先は龍人族のひとりが龍化して空路でアララト山脈まで行く。


問題は、どのタイミングで行くかになる。


「オスマル帝国の飛竜騎士団が来る前に王宮を出て、彼らが王宮に到着する頃に国境を出るのが理想的だと思います。」


アルテミシアがそう口にする。


たしかにそのタイミングならば、接触は避けられる。


「ならば、明朝に出発でよいのかな?」


「はい。それでお願いいたします。」


「わかった。こちら側の者たちには、私の方から知らせる。

貴女方は、すぐに準備を進めてくれ。」


「はい。わかりました、陛下。」


こうして、翼人族と龍王国の使節団は、日が昇る前に岩山の王宮を出発したのである。

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