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龍帝記  作者: 久万聖
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アデライードの仕事とアルテア

アデライードの一日は忙しい。


雪が積もり、インフラ整備などの事業が停止していても、忙しさは変わらない。


なぜか?


雪祭りの実行責任者となったこともある。


だが、それ以上に大きいのは、王宮内の女性に出会いの場を作ろうと企画されたモノのせいである。


招待状を送った者たちが来る前に行わなければならず、スケジュールがタイトになってしまっている。


参加する女性は、人間換算で15歳から20歳まで。男性も同じく人間換算で15歳から25歳までとなっている。


立食パーティ形式で行われ、酒類の提供は禁止。


ここまではいい。


問題なのは、開催場所と参加する者たちをどう選定するのか、だ。


「こんなの企画したのは誰だ!!」


アデライードのスタッフの叫び。


「陛下よ。」


別スタッフの冷静な言葉。


「種族間交流と、出会いの場の提供が目的なんですって。」


そう言われると、文句に言っている者も黙ってしまう。


種族間の相互理解の促進は必要だし、何よりも出会いがないのは王宮勤めの女性共通の悩みでもある。


パドヴァでの王宮勤めの経験がある者は、


「貴族の息子とかが口説いてきたりするものだけど、ここはそれがないものね。」


と零す。


この国では、国王であるリュウヤが貴族制度を導入する意思に欠けるため、そのような出会いの形はない。


むしろ、上司であるアデライード自身がそういう形の出会いを否定している。


「そんな頭の足りない男に引っかからないようにしなさい。」


とは、アデライードの口癖である。


「リュウヤ陛下のように、女が働くことに理解示す相手を見つけなさい。」


とも言う。


「あんなレアキャラそうそういませんよ。」


と言いたいところだが、それを口にすることは出来ない。


「そういえば、なんでこんなことを企画することを考えついたんだろ?」


「アルテアって娘よ。」


「ああ、陛下付きの侍女の。」


「そう。デートしてみたいって、言ってたそうよ。」


「えぇーっ!それが原因なの?!」


大きな声があがる。


「そこ、うるさい!!」


そしてすかさず注意の言葉。


こういったやりとりがありながらも、仕事をきっちりと進ませられる、アデライードのスタッフは有能揃いだった。








☆ ☆ ☆







懇親会と銘打たれた、リュウヤの感覚で言うところの合コンは、雪像製作開始の7日前に行われる。


招待客が来る、ギリギリ前としてこの日が選ばれたのだが、もうひとつの理由がある。


それは、この前日がアルテアの15歳の誕生日だったためである。


アルテアを参加させるのが前提だったため、このようなことになったのだが、当の本人はというと、


「なんで私が参加することになっているのですか?

参加申し込みなんて、してませんよ?」


本来なら雲の上の存在であったレティシアとアデリーナ、彼女たち付きの侍女たちに、強引に着替えさせられながら、訳がわからないといった声をあげる。


「お前、デートしてみたいって言ってたろ?

それを王様(おーさま)に言ったら、今回のことを企画してくれたんだよ。」


とはナスチャの言葉。


そんなこと言ったかな?と記憶を辿ってみる。


「王様とユーリャのデートの時だよ。忘れたのか?」


そんなこと、言った・・・・・・・・・、ような気がする。


でも、あれってただの呟きだったと思うのだけど、それがこんな大事(おおごと)になるの?


「王様も気にしてたんだぜ。アルテアに出会いがないこと。」


考えてみれば、自分の呟きを知ればそう思うかも知れない、あの陛下なら。


「できましたわよ。」


侍女たちの言葉に、姿見の鏡を見る。


どこかのお姫様のように見えてしまうが、コーディネートをしたのが、本物のお姫様であるレティシアだということを考えれば、当然かもしれない。


「さあ、楽しんでらっしゃい、アルテア。」


「レティシア様は行かれないのですか?」


「ええ、私は別にやることがありますから。」


アルテアはアデリーナに視線を移すが、


「私もね、陛下の剣の装飾を作らないといけないのよ。」


そう返される。


そして、アルテアは侍女たちにてをひかれて、会場へと向かわされたのだった。



短めだなぁ

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