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龍帝記  作者: 久万聖
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湖港の視察

ワールドカップの熱戦にかまけて、更新が滞ってしまっています。

雪も積もりはじめ、積雪が幼児の背丈ほどになった頃。


西方の湖に造成した港の様子を確認するべく、リュウヤらは湖畔に来ていた。


「今日はクリスティーネは来ていないのですね。」


最近、リュウヤについて回っていた王女がいないことに、サクヤが気づいた。


「クリスなら、医師団のところに行っている。」


より正確に言うならば、エルフの薬師たちのところだ。

アウクスティについて、薬学・薬草学を学んでいるという。

アウクスティによれば、クリスティーネは"乾いた砂が水を吸い込むように"、急速に知識と技術を吸収しているのだそうだ。


「近い将来、優秀な薬師が生まれそうですね。」


「そうだな。その時は、専属の薬師として雇うとしようか。」


そんな冗談も出てくる。


だが、彼女がやりたいことが見つかったのなら、それはとても喜ばしいこと。


パドヴァの王女レティシアが、子供たちの教師になることを決めたように。

彫刻家として歩もうとしているアデリーナもいる。

そこに、新たにクリスティーネの名が加わる。


サクヤはリュウヤがとても喜んでいることを、その表情から知る。


リュウヤ自身はフェミニストでもなんでもないが、それでもあちらの世界で40年以上過ごしていただけに、この世界の女性の地位の低さ(特に人間族)は気にかかる。

彼女たちの姿を見て、後に続く者たちが現れることを望んでいる。


そして、リュウヤは彼女たちを猶子(ゆうし)とすることを考えている。

この猶子とは、一言で言えば「相続権の無い」養子であり、豊臣秀吉が関白になる前に近衛前久(このえさきひさ)と結んだものが知られる。


これは、自分の影響下に置くことで、彼女たちの出身国からの干渉を防ぎ、やりたいことを自由にやらせたいという想いもある。


無論、それはクリスティーネやレティシア、アデリーナだけでなく、パドヴァの王族・貴族の子弟たち、マクシミリアンやエレオノーラもその対象に含まれる。


ただアナスタシアは輿入れという形で来ており、それはリュウヤの側室となることを意味しており、猶子とする対象には含まれてはいない。


港の責任者であるドワーフのカイドゥと、その補佐役であるエルフのトラスニークがリュウヤを迎える。


港湾施設はまだ建設途上だが、全長50メートルクラスの川船が10隻あまり停泊できるだけの規模の、(はしけ)はすでに出来上がっている。


後は積荷の上げ下ろしをするための設備と、荷物を保管する倉庫の建設である。


そして、湖面の凍結対策も考えなければならない。


「湖面の凍結ですが、まだ冬が始まったばかりでもあり、想定されたような事態にはなっておりません。」


カイドゥの言葉にリュウヤは頷く。


「ならば、凍結の調査は継続しなければならないな。」


凍結した場合の氷の厚さと、それを壊した時の影響。

また、氷を割るとしてかかる費用と人手の問題もある。


「それならば、いっそのこと冬用に凍結しない川港を作るというのも、考えるべきではありませんか?」


アデライードの言葉だ。


不凍港から氷雪の上をソリで運ぶ、アデライードはそう提案する。


それならば、川港を中心にした方が良かったのではないか、そう思いもするが、湖港は湖港で夏場などは重要になる。

また、冬場においても物資の貯蔵地としての役割を担うことにもなるだろう。


「どちらにせよ、来るのが少しばかり早かったな。」


リュウヤはそう結論づける。


「アデライード、お前のことだ。すでに不凍港たる川港の候補地は選定しているのだろう?」


「はい、陛下。」


さも当然とばかりの笑みを浮かべるアデライード。


「冬の間に、候補地の絞り込みと物資の輸送ルートの策定。費用についても見積もりを出しておきます。」


リュウヤが指示しようとしたことを、先に言われてしまう。


このあたり、リュウヤのように「打てば響く」と捉えるよりも、「女のクセに生意気な」と捉える者の方が、この世界では多いのだろう。


「では、戻るとしよう。」


カイドゥらに引き続き調査を委ね、岩山の王宮へと戻ることにする。


「そうそう、彼らに酒を差し入れておいてくれ。身体の中から暖まれるように。」


そうミーティアに指示を出す。


それを聞いたサクヤは、


「それでは、夕食は温かいものを出すように、料理長にお伝えしますね。」


と口にして、周囲を和ませる。


「それは有難いな。アデライード、ミーティア。ふたりもどうだ?」


リュウヤの誘いに対し、


「遠慮させていただきます。」


「たまには、おふたりだけで食事をされてはいかがでしょうか?」


との返事。


「そうか。それならば、ふたりの気遣いを有り難く受け取るとしよう。」


リュウヤがそうふたりに答え、その傍らには頰を赤らめたサクヤが俯いていた。

グループリーグが終わるまでは、こんな感じに・・・・、


ならないように、務めます(汗っ

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