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龍帝記  作者: 久万聖
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コーディネート

謹慎明けの日の午前中。


岩山の王宮に作られたバルコニーより、国民への顔見せと「雪まつり」を行うことの発表を行う。


細かなことは、印刷された文書を各地に送って周知する。


昨年通りなら、豪雪に埋もれてしまい、娯楽が少ないので受け入れられるだろう。

また、屋台などを出店すれば、貴重な現金収入も得られることにもなるに違いない。


顔見せが終わると、執務室に行く前に私室に一度戻り、アスランに招待状を一通渡す。


「これはいったい?」


不思議そうな顔を見せるアスランに、


「面白そうなことをするならなぜ呼ばない、そう怒り出す知り合いがいるんじゃないのか?」


リュウヤがそう言う。


「なるほど。確かにそう言うであろう知り合いがおりますが、よろしいので?」


「後から小言を言われるよりはマシだろう。」


たしかにそうですねと、アスランはその招待状を受け取る。













午前中の執務は、謹慎期間中に書類仕事はあらかた完了しており、面会希望者相手との会談が主となっている。


その最後の会談相手ににギイとアイニッキの息子、ダグがいた。


冬に向けての打ち合わせが主たる内容だが、その終わりに近づいてきた時、リュウヤが話を振る。


「お前たちは雪像制作には参加しないのか?」


「いや、俺たちは・・・」


「参加資格に規定はない。」


その資格が無い、そう言おうとしたのだが、言い終わらないうちにリュウヤが言葉を被せる。


「雪像を設置するのは、王宮周辺だけとは限らんぞ?

国全体としての祭りだ。各村や街道にも設置させるからな。」


「わかりました。村の者たちと相談して決めます。」


「そうするといい。」


それが午前の執務の締めくくりの言葉となった。











午後。


昼食はユーリャの希望で外で摂ることになったのだが、これはこれで困りものなのである。


服装については、侍女アルテアとリゼッタがコーディネートする。


これは、人間族(ヒューマン)以外の者に任せると、すぐに正体が暴露(ばれ)るだろうという衣装しか選ばないのだ。

特に酷いのが夢魔族で、メッサリーナとドルシッラに任せようとしたら、露出狂でも着ないんじゃないかと思うような服装にしようとしてくる。

そのため、コーディネートから夢魔族は弾かれることになっている。


当初は天狗(てんこう)族にしてもらおうかと考えていたのだが、アルテアとリゼッタが、


「天狗族で本当に大丈夫だと思いますか?」


と言われ、考え直すことにした。

完全に身分を隠匿するなら天狗族だろうが、そこまでする必要を感じなかったこともある。


そうやってできたのが、パドヴァの若者風の出で立ちのリュウヤだった。


「若作りしすぎじゃないか?」


と言ってみたが、


「陛下はまだまだお若いですよ。」


と返される。


見た目は確かに20代後半くらいだが、中身は40代半ばなんだよなぁ、と思うものの、口に出せない。


こういうことは、自己評価よりも他人の評価の方が正しいことが多い、そう思い直して出かけることにした。

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