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龍帝記  作者: 久万聖
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王都ガロア

 すでに陽が傾いてきた頃、


「あれが王都ガロアです。」


 ジゼルがリュウヤ以下3名に伝える。

 湖のほとり建設された都市ガロア。

 夕陽に映える美しい建造物群。


 地球の中世欧州の建造物に似ている、そんな感想をリュウヤは抱く。


 "湖に着水しろ。派手に、な。"


 シヴァに念話にて指示する。


 "いいのだな?"


 "ああ。"


 シヴァはリュウヤのリクエスト通りに派手に水飛沫をあげながら着水する。リュウヤはその水飛沫を魔力により障壁を作り、自分とジゼルを守る。

 ふたりの背後では、声にならぬ声をあげるふたり。ずぶ濡れになったようだ。


「ジゼル殿だけでなく、私たちも守ってくださると良かったのですけど。」


 とても恨みがましく苦情の声をあげる。


「てっきり、自分たちで魔力障壁を作ると思ってたからなあ。」


 すっとぼけるリュウヤ。

 ちなみに縄でぶら下げられていた愚王は、気絶して湖に浮かんでいる。

 リュウヤは湖面に降り、ジゼルとふたりの従者にも湖面に降りるよう促す。


「俺から離れると、湖に沈むからな。」


 愚王ことラムジー四世は、首から上を湖面に出したまま、リュウヤに引っ張られている。

 気絶から覚めたラムジー四世は、文句を度々つけようとするが、その度にリュウヤは縄を持つ手を緩めるため沈みそうになってしまい、何も言えずにいる。


「水浴びでもしていろ。派手に、な。」


 声に出してシヴァに言う。

 他の三人には、シヴァがニヤリと笑っていたように見えた。



 シヴァとリュウヤたちの姿を、フィリップ、ウリエの両王子は視認している。

 派手な着水と、その後の派手な水浴び。水浴びの度に巨大な波が襲ってくるが、城壁の手前で見えない障壁により防がれている。龍の背から降りてきた者が、わざと障壁を作り防護している。

 その意図をふたりは見抜いている。

 完全なる示威行為。

 数は少なくとも、この王都ガロアを破壊することは簡単にできる、あの行動はそう言っているに等しい。

 しかも、あの黒く輝く身体を持つ龍・・・。


「始源の龍、復活したのか・・・」


 フィリップ王子が呟く。

 始源の龍が復活したならば、ラムジー四世が出兵の名目としていた"龍人族の保護"は使えない。始原の龍以上に龍人族を守護できる存在など居ないのだから。

 本来なら"即時撤退"なのだが、始原の龍がここにいるということは・・・。


「最悪、全滅もあり得るか。」


 フィリップの呟きにウリエも頷く。

 ここ数十年は衰えていたが、伝説にうたわれる力が本当なら、1万5千の軍の全滅もある。そう考えると胃が痛くなる。


「それにしても、堂々と姿をさらすものですね。」


「そりゃそうだろう。我々に対する示威行為というだけじゃないからな。」


 イストール国民へのデモンストレーション。王宮が再び出兵を決めたとしても、始源の龍を見ていた国民がそれを掣肘する、そんな狙いがあるだろう。

 数度の波が襲ってきた後、湖面を歩いている人影を発見する。


「彼らを迎え入れよ。」


 おそらくは、停戦交渉のために来たであろう彼らを迎えるべく、フィリップは指示を出した。

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