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龍帝記  作者: 久万聖
225/463

集結

PV2千オーバー。


びっくりしました

ラスタ村に集結しつつある龍王国(シヴァ)軍は、リュウヤの想定をはるかに超えた規模になっていた。


せいぜい3千。

それがリュウヤの想定だったのだが、現実はというと・・・。


リュウヤの近衛部隊500と龍人族100、ドゥーマ率いるドヴェルグ隊500。

テオダート指揮下の魔術師隊100。また、暫定的にテオダートの配下に組み込まれている人間族の兵士1千。


パドヴァからグィード指揮の2千。


ここまではわかる。パドヴァは現在属国扱いになっているため、軍を派遣してくるのは理解できる。その指揮官に、グィードを据えるのもわかる。


問題はここから先の、集結しつつある者たちである。


エルフ隊2500。


この地にエルフってそんなにいたっけ?

そう思っていると見知ったエルフが進みでる。


「お久しぶりでございます、リュウヤ陛下。」


たしかこのエルフの名は、


「ドルアだったな。」


トライア山脈の北側に住むエルフの部族長のひとり。


だが、山脈の向こう側のエルフがなぜここに?


いや、確かに山脈の北側の大森林も飛び地として、龍王国の領土になってはいるが・・・。


「デックアールヴの族長エサイアス殿より、大規模な戦いがあると聞き、志願者を募り馳せ参じました。」


ああ、あの影の薄いデックアールヴの族長からか。

だけど、あちらに戦いがあるなんて伝えた覚えはないのだが・・・。


ここでふと気づいて、スティールを呼ぶ。


「エストレイシアから何か聞いているか?」


「はい。族長にも伝えているから、そちらからも派兵があるだろうと。」


そう言って周囲を見回し、


「私も、これほどの者たちが集まるとは思いもしませんでした。」


なるほどと思う。

向こうのエルフたちには、彼らなりの思惑があるのだろう。


「お前たちの勇戦を期待している。」


そう伝えると、ドルアは一礼してリュウヤの前を辞する。


次に現れたのは、これまた北側の大森林から来た両アールヴの代表である。

500名ずつ、合わせて1千。


「私はイルマリと申します。我が族長ルーディより、陛下のお力になるよう命ぜられ、馳せ参じた次第であります。」


「ルーディは息災か?以前、会ったときは相当な深傷(ふかで)を負っていたと記憶している。」


昨冬前、エルフたちの攻勢により命に別状はないものの、かなりの傷を負っていた。


「「はっ!傷は癒えておりますが、なにぶん被害が大きかったため、その対応に駆け回っております。」


「駆け回れるというのはなによりだ。」


イルマリが一礼して辞すると、今度はデックアールヴの挨拶だ。


「カッレと申します、陛下。」


「先年の戦いの折、エストレイシアの側にいた者だな。覚えているぞ。」


「は、はい!同じ隊の末席ではございますが、共に戦う栄誉をいただきました。」


顔を覚えられているということが嬉しいようだ。


「カッレに尋ねるが、向こう側よりこれほどの援軍、頼もしい限りではあるが、統治に影響はないのか?」


トライア山脈北側の統治は、基本的にデックアールヴに任せている。


「はい。エルフたちは、労働による賠償はリョースアールヴたちにのみ残っている状況です。」


随分とエルフたちは頑張ったようだ。


「ただ、労働力のかなりの部分を賠償に回したために、収入がかなり落ちてしまっているようでして・・・。」


その分を、戦いによる褒賞で賄いたいということか。


「それと、先年の寛容な対処への感謝の機会、また陛下への忠誠を示す機会としているようでございます。」


そこまで気にする必要もないのに、リュウヤはそう思うのだが、恩を受けた側としてはそうはいかないのかもしれない。


カッレが退がると、今度はドワーフたちだ。


いや、カッレたちデックアールヴまではわかる。


だが、なぜドワーフたちが2千もいる?

しかも、それを率いるのが国王バトゥ自身とはなんの冗談だ?


「派手に遊んでいると聞いてきた。俺たちにも一枚噛ませろ。」


バトゥの背後に控えるラダに視線を送ると、疲れた顔をして大きく首を振っている。


どうやら引き止めようとしたが、引き止められなかったということらしい。


「わかった。援軍に感謝する。」


「おう!俺たちが先鋒を務めるからな、お前たちに出番はないやもしれんな。」


ガッハッハと大笑いしてバトゥは自軍の元に向かう。


リュウヤはラダを呼び止め、


「どういうことだ?」


そう尋ねる。


「アールヴとエルフたちが、通行許可を求めてきたんです。」


山脈を越えるよりも、ドワーフの国を通過した方が早いため、彼らはそうしたのだろう。


「そうしたら、あの人数でしょう?」


しかも完全武装している。


「そこで何かあったのかと聞いたんです。」


そこで今回のオスト王国との戦いを知り、去年の援軍の借りを返すと、援軍の派遣を決めたのだという。


「そこでなんで国王自らとなるのだ?」


「リュウヤ陛下が、自ら来たからですよ、前回。」


あの時は、敵であるエルフの規模がわからなかったこともあるし、リョースアールヴの状況から緊急性が高いと判断したのだが。


「向こうは王自らが来たのだ。だから今回は余が自ら行くのだ、と。」


なるほど。状況はよくわかった。だが、自ら先鋒を宣言するということは、


「もしかして、バトゥ王は血の気が多いのか?」


「カルドゥハルの歴代国王の中でも、一番かと。」


ラダはため息をついている。


「ま、まあ、よろしく頼む。」


リュウヤはそう言って、ラダの肩を叩くのであった。







輜重隊を含めると1万5千近い人員が、オスト王国に向かって出撃する。


ここでさらに合流してくる者達がいる。


その旗を見ると、


「イストール王国軍だな。」


リュウヤが呟く。


一年と少し前、実際に戦った相手の旗だ。忘れようがない。


そして、現在では友好国でもある。


イストール王国軍から、伝令の印である白い信号旗を持った者が接近してくる。


「あれはジゼルか。ならば指揮しているのはデュラスか。」


リュウヤの前に現れたのは、ジゼルであり、あの軍の指揮官はデュラスだった。


「オスト王国との戦い、援軍として派遣されました。」


ジゼルはウリエ王子からの書状をリュウヤに手渡す。


書状に目を通したリュウヤは、


「援軍に感謝する。」


そう答える。


「お前たちを扱き使えとの、ウリエ殿下からの頼みだ。覚悟しておけよ。」


「はっ!承知しております。」


ジゼルは大きな声で応じていた。

通算でも、10万超え。


読んでくださる方々に、ただただ感謝。

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