転生
実質、プロローグその2です。
ひんやりとした感覚が背中から伝わってくる。
ひんやりとするようなところで寝てたっけ?
そう疑問を感じ、眼を覚ます。
薄暗く、そして天井がやたらと高い。
ここはどこだろうと、ゆっくりと起き上がり、周りを見回す。
祭壇のように思われるが、確証はない。
「目を覚まされたぞ!」
「巫女姫様を呼べ!」
祭壇の下から声がする。慌ただしく動いているようだ。祭壇から降りるべく体を動かすが、違和感がある。
手が小さく、華奢だ。手だけじゃない。足もそうだ。いや、体全体が小柄で華奢になっている。思わず頭を掻くが、そこでもおかしなことに気づく。お洒落と無縁な自分の髪型は、短めのスポーツ刈りのはず。それが長い。長髪にしたことなど、ただの一度もないのに。髪を辿ると背中まである。
これはおかしいと、改めて自分の体を見る。
胸が少し膨らんでいるような・・・。
まさか・・・ね?
股間に手を伸ばしてみる。あるはずのものが、無い。そして、無いはずのモノがある・・・。
落ち着け、いいから今は落ち着いて、今までを振り返ろう。
確か、女の子を助けて、代わりにトラックに轢かれたはず。少なくみて時速60kmの大型トラックに、ほぼノーブレーキで轢かれた。
うん、生きてるわけないよな。そんなのに轢かれて生きていられるのは「アンブレイカブル」の主人公か「ウルヴァリン」くらいのものだ。そのどちらでもない自分が生きているわけがない。
うん証明完了。Q.E.Dというやつだ。
ということは、ここはどこだ?
あの世とやらかな?あの世とやらに行ったら性別が変わるなんて聞いたことがないのだが。
とりあえずは祭壇から降りて、外に出てみよう。ここがどこかを判断するためにも情報が欲しい。
動きだそうとした時、ギギィッと、扉が開く音がする。
薄暗い中にいるせいか、開いた扉から入る光がとても眩しく感じられる。
その光の中から人影が見える。
そして、その人影から声が発せられる。
「お目覚めになられましたか、異界の方」
異界?異世界のことか?体は、今までの自分の体じゃないよな?
魂だけこの世界に来た?
ようするに、転生というヤツなのか?