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龍帝記  作者: 久万聖
163/463

過去 1

この地を出て行った者たちの話です。

約100年ほど前。


始源の龍の力も衰えが顕著に現れ、大地は地味を失い、荒涼とした姿を見せていた。


時の龍の巫女は、始源の龍の復活に消極的であり、若者たちはこの地に未来を描くことが難しくなっていた。


すでに多くのドヴェルグがこの地を去っており、最盛期には2万人いたドヴェルグも、この時には5千人を割り込んでいた。


「ここはもうダメだ!この地を出て、新しい土地を目指すべきだ!!」


そう訴えたのが、ギイとアイニッキの長男ダグだった。


この当時、ダグはすでに一定以上の実績を持っており、それなりの人望があった。

そしてなにより、現在の状況こそがダグの言葉に説得力を持たせていた。


「馬鹿者が!我らはこの地にて、始源の龍の恩恵を受けてきたのだ!その恩を忘れてこの地を捨てるなどできん!!」


それがギイを中心とした、長老衆の言葉だった。

だが、いくらギイたちがこの地にて、始源の龍の恩恵を受けてきたことを説明して説得しようとしても、ダグと彼に感化され先鋭化した若者たちは止まらなかった。







「それに感化された龍人族の若者たちも同調したと、そういうことか。」


「はい。」


今でこそ、この地は移住を受け入れる側だが、当時は逆だったということだ。

自分がこの地に来た時の様子を思い出せば、ダグとやらの主張も理解できる。

食料生産も、点在するオアシスでしか期待できず、大した量も作れない。

未来など想像すらできなかっただろう。


「それで、ギイたちと喧嘩別(けんかわか)れでもしたのか?」


「そうなのですが、そこに龍人族も者たちも同調しまして・・・」


「その中に、サクヤに近しい者もいた。そういうことだな?」


皆が頷く。


「その、サクヤに近しい者とは、どのような間柄なのだ?」


「サクヤ様の兄君に当たられるお方です。そして、シズカ殿の婚約者でもあられました。」


大きな眩暈(めまい)を覚える。

龍人族は王制ではなく、はっきりとした族長制でもないから、サクヤの兄といってもそういった身分があるわけではない。

だが、シズカの婚約者って・・・。


「そのことをサクヤは知っているのか?」


「まだ幼かったですので、はっきりとは覚えていないと思います。」


このすぐ後に、サクヤの父親も亡くなっているため、詳しいことは知らないだろうとのこと。

母親の方は、サクヤを産んでまもなく亡くなっているとのことである。


「それにしても、シズカの婚約者か。」


シズカがサクヤの側にいるのは、それが理由なのかもしれない。



「話の腰を折ってしまったな。続きを頼む。」


「わかりました。」


ドゥーマらの話は続く。


今後、かなり凄惨な話が出てくる予定です

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