知育玩具
祝、PV5万オーバー!!
朝。
朝食会にて猫人族の少女シュリも元気な姿を見せる。
「サクヤさま、りゅーやへーか、かんびょうしていただき、ありがとうございます。」
たどたどしいながらも、リュウヤとサクヤを見つけたシュリは、感謝の言葉を述べる。
「もう大丈夫ですか?頭が痛いとかは、ありませんか?」
「はい!だいじょうぶです!!」
シュリは元気よく返事をする。
朝食会。
通常であればリュウヤとサクヤの他は、フェミリンス、ミーティア、ギイ、アイニッキ、アデライード。リュウヤの側仕えとなっているタカオとマテオ、サクヤの側仕えのトモエとシズカ。それ以外では子供たちが数人加わるくらいなのだが、今日は違う。
昨日、到着したばかりの獣人族の子供たちも参加している。なるべく早く、この地に馴染めるようにとの配慮からでもある。
他にも、リュウネやパドヴァの子供たち。
同年代の者たちと接する機会を増やし、偏見を無くそうという目的もある。元々、この周辺国では偏見は少ないとはいうが、念には念を入れる。
「レティシア。頼まれていたものの試作が、いくつかできた。時間のある時にでも、取りに来るといい。」
子供たちのための教育機関は、次の春に開校予定である。そのための教材作成を、レティシアは担当しているのだ。
そのためのアドバイスをリュウヤも時々、行なっている。その際に、遊びながら発想力や想像力を高める、いわゆる"知育"について話したところ、レティシアがおおいに興味を示したのだ。
それに役立ちそうなものを、あちらの世界での知識を活かして試作品を作成した。
「ありがとうございます。」
レティシアは礼を述べると、午後に取りに行く旨を伝える。
ミーティアと話し、時間の調整をする。
朝食会は、前日の報告を兼ねたものだが、前日が獣人族の移住団歓迎式典だったため、報告されることはほとんどない。
そのため、龍王国の主要閣僚と獣人族との顔合わせで終わる。
食後は、いくつかのグループに分かれての見学に。
ヴィティージェとレティシアについたグループと、リュウヤについたグループは午後、例の知育玩具を最初に体験することになる。
試作させたのは、オセロ、ジェンガ、トランプ、ジグソーパズル、将棋、チェスの6つ。
本当は、レゴブロックなども試作したかったのだが、プラスチックがないため、ひとつひとつ木で作成しなければならず、恐ろしく手間がかかるだけでなく、その重さも相当なものになってしまうため断念する。
さて、チェスや将棋はこの世界にも似たものがあるようだが、始める年代が早いのではないかとの疑義が出され、今回は見送り。
トランプやジグソーパズルは、紙で製作したものを蝋でコーティングしている。ジグソーパズルは100ピースで、絵柄は五つほど用意している。
トランプも簡単なゲーム、ババ抜きや七並べを教える。
だが、子供たちに好評だったのはオセロとジェンガだった。シンプルでわかりやすいルールがうけたようだ。
ただし、ジェンガの崩れる音が大きく、他のゲームをしている者たちからのクレームの声も大きかった。
そんな頃、森の外周部の開拓集落の入り口には、ドヴェルグが10名来ていた。
「どうなってんだ?話には聞いちゃいたが、ここまで変わるなんて・・・」
開拓集落の周辺には延々と広がる小麦畑。
更に向こうには放牧されている羊が見える。
かつてのこの地では考えられない光景だ。
呆然と立ち尽くすドヴェルグたちを、
「入り口でボサッと立ってんじゃないよ!!」
荷車をひかせた馬の手綱を持つ恰幅のいい女性が、ドヴェルグたちを怒鳴りつける。
「あ、ああ、すまん。」
慌てて道を開ける。
「まったく忙しいってのに・・・」
ブツブツ言いながら、その女性は去っていく。
荷車には大量に積まれた野菜があり、この地には豊かな実りがあることがうかがえる。
ドヴェルグたちは、自分たちの知るこの地との違いに愕然としていた。
自分の予想を遥かに上回る方々に読んで頂けていることに、ただただ感謝。