表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
龍帝記  作者: 久万聖
13/463

復活

やっと融合しました。

長かった、

 黒い光の奔流に飲み込まれても、まだ龍弥は自我を保っていた。


「これはなんなんだ?」


 黒い光、これはなんなのか?

 こんな時でも好奇心というものはわくものらしい。


 "これは我が魔力。一時的に器となる肉体を失ったからな。"


 なるほど、新たな器ができるまでの間、一時的に魔力が外に溢れているだけか。


「?」


 依代の少女から自分の魂が切り離されるのを感じる。

 これでひとまずホッとする。あの少女は生きることができるのだと。

 ふと巫女姫の方を見る。彼女は崩れ落ち、涙を流している。


「まったく、この馬鹿は。」


 全て漏らす必要はないだろう。全てが終わった後、"元の世界に戻した"とでも言えば、それでみんなハッピー。win-winだったろうに。


 魔力の流れは、自分をシヴァの魂へと導いていく。


「なあ、シヴァ。」


 "どうしたのだ?"


「なんで俺だったんだ?」


 魂の融合が始まる前に、最大の疑問を口にする。


 "そんなことか?それはお主の魂と最も波長が合ったからだ"


 魂の波長?相性みたいなものなのだろうか?


 シヴァの魂に近づいていくと、気づく。シヴァの魂は傷だらけだった。何に傷ついてきたのだろう?


 シヴァの魂に触れた時、その理由がわかった。

 孤独だったのだ、シヴァもまた。

 混沌より生まれ、誰もいない中を孤独に過ごしてきたのだ。

 孤独、それが自分とシヴァを繋ぐものなのだろう。


 ゆっくりと、着実に融合は進んでいく。


 なんだか、眠たくなってきたように感じる。魂が眠くなるってなんだ?と、ツッコミを入れたくなるが、眠気に抗えそうにない。これが融合する、いや、シヴァの魂に吸収されるということなのだろう。


 深い、とても深く覚めぬ眠りついていく。



 どれほどの時が経ったのかわからない。ただ、巫女姫は崩れ落ちたまま、泣いていた。


 魔力の奔流がおさまったのはわかっていたが、生贄となったリュウヤを想うと涙が止まらない。全てを知ったうえで受け入れたリュウヤ。あの穏やか過ぎる顔を忘れることはできそうにない。




「巫女姫。」


 声をかけられ、見上げる。

 ひとりの男性が依代の少女を抱いて立っている。


「ひどいなあ。この娘を頼むって言ったのに。」


「リュ、リュウヤさま!?」


 巫女姫の目が驚愕に見開かれる。


「な、なぜ・・・。」


「俺にもよくはわからないんだけど。」


 どうやら3人目になれたらしい。

 巫女姫は驚愕に見開かれた目でリュウヤを見つめ、そしてリュウヤの背後を見る。そこには若々しい姿をした始源の龍がいる。復活を果たしたようだ。それならなぜリュウヤが?


「疑問は色々とあるとは思うけど・・・。」


 龍弥はそこで言葉を切る。

 その続きを待つ巫女姫に、


「まずは服を用意してくれないかな?」


 復活したばかりの龍弥は全裸だった。

 そのことに気づくと巫女姫は顔を真っ赤にし、その様子を見ていたシヴァは大笑いしていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ