復活
やっと融合しました。
長かった、
黒い光の奔流に飲み込まれても、まだ龍弥は自我を保っていた。
「これはなんなんだ?」
黒い光、これはなんなのか?
こんな時でも好奇心というものはわくものらしい。
"これは我が魔力。一時的に器となる肉体を失ったからな。"
なるほど、新たな器ができるまでの間、一時的に魔力が外に溢れているだけか。
「?」
依代の少女から自分の魂が切り離されるのを感じる。
これでひとまずホッとする。あの少女は生きることができるのだと。
ふと巫女姫の方を見る。彼女は崩れ落ち、涙を流している。
「まったく、この馬鹿は。」
全て漏らす必要はないだろう。全てが終わった後、"元の世界に戻した"とでも言えば、それでみんなハッピー。win-winだったろうに。
魔力の流れは、自分をシヴァの魂へと導いていく。
「なあ、シヴァ。」
"どうしたのだ?"
「なんで俺だったんだ?」
魂の融合が始まる前に、最大の疑問を口にする。
"そんなことか?それはお主の魂と最も波長が合ったからだ"
魂の波長?相性みたいなものなのだろうか?
シヴァの魂に近づいていくと、気づく。シヴァの魂は傷だらけだった。何に傷ついてきたのだろう?
シヴァの魂に触れた時、その理由がわかった。
孤独だったのだ、シヴァもまた。
混沌より生まれ、誰もいない中を孤独に過ごしてきたのだ。
孤独、それが自分とシヴァを繋ぐものなのだろう。
ゆっくりと、着実に融合は進んでいく。
なんだか、眠たくなってきたように感じる。魂が眠くなるってなんだ?と、ツッコミを入れたくなるが、眠気に抗えそうにない。これが融合する、いや、シヴァの魂に吸収されるということなのだろう。
深い、とても深く覚めぬ眠りついていく。
どれほどの時が経ったのかわからない。ただ、巫女姫は崩れ落ちたまま、泣いていた。
魔力の奔流がおさまったのはわかっていたが、生贄となったリュウヤを想うと涙が止まらない。全てを知ったうえで受け入れたリュウヤ。あの穏やか過ぎる顔を忘れることはできそうにない。
「巫女姫。」
声をかけられ、見上げる。
ひとりの男性が依代の少女を抱いて立っている。
「ひどいなあ。この娘を頼むって言ったのに。」
「リュ、リュウヤさま!?」
巫女姫の目が驚愕に見開かれる。
「な、なぜ・・・。」
「俺にもよくはわからないんだけど。」
どうやら3人目になれたらしい。
巫女姫は驚愕に見開かれた目でリュウヤを見つめ、そしてリュウヤの背後を見る。そこには若々しい姿をした始源の龍がいる。復活を果たしたようだ。それならなぜリュウヤが?
「疑問は色々とあるとは思うけど・・・。」
龍弥はそこで言葉を切る。
その続きを待つ巫女姫に、
「まずは服を用意してくれないかな?」
復活したばかりの龍弥は全裸だった。
そのことに気づくと巫女姫は顔を真っ赤にし、その様子を見ていたシヴァは大笑いしていた。