表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cooooooooool!!!!~変態どもに囲まれた俺の心霊体験聞く?~  作者: アホ太郎
第一夜 【エレベーターが止まった】
5/19

ロリコン登場

 信じられない光景に、桜の目が据わっていく。



「は、はは……。三十階まで来ちゃいましたよ……。このデパート、意外と大きかったんですね。どうやって圧縮されていたんでしょうか」


「いやいやいや、圧縮しないし大きすぎだから! 高層ビルより大きくなってるよ!?」



 なんとかこの事態を打破しようと、非常ボタンを押したり、開閉ボタンを連打したりしてみたが、何も効果はなかった。


 この事態にどうすることもできず、全員立ちつくすしかなかった。そして、エレベーターがようやく止まる。


 ――ランプは《四十四階》を示していた。


 チンという音と共に、扉が開く。

 中は暗闇そのものだった。辺り真っ暗で、何も見えない。まるで、闇だけがそこに広がっているようだった。そしてどこか、焦げたような臭いが広がってきた。肌がチリチリするような、異様な空気がする。



「こここここれは、生と死の境界線!? 邪悪なるネクロマンサーが私たちを消そうと動きだしたというのか!? やつめ! 私たちの情報をどこで――!」


「秋村さん、正気に戻って!」



 今の異常事態に頭がパンクしたのか、桜がわけのわからないことを言い始めた。

 勝二は一旦冷静になろうと、深く深呼吸をする。



「おおおお俺、このエレベーターから脱出したら、結婚するんだ」


「お兄さんもしっかりするのです!」



 無言で立ちつくす勝二たち。だが、静寂の中、何かの音が聞こえてきた。最初は遠くの方から。次第にどんどん大きくなっていく。


 ――ペタ、ペタ


 素足で床を歩くような、だが、人が歩いているにしては動きがおかしく、まるで異常者がふらつきながら向かってくるような、異様な音だった。



「……だ、誰かが近づいてくるのです」



 恐怖を感じている愛実が、勝二の服をギュッと掴む。勝二は無言で、やってくる何かにゴクリと唾をのみ込んだ。


 やがて、向かってくる何かがエレベーター内の光で照らしだされる。


 ――生気のない、生きているかも怪しい異常な人間だった。


 頭から血を流し、胴体らしきものは焼け焦げ、原形がないほど全身真っ黒。肌は剥がれ落ちている。男か女かもわからない、まるで燃やされた死体のようなそいつは、ゾンビのような足取りでこちらに向かってくる。


 桜から乾いた笑みが漏れた。



「なななななんでしょうね、あの人。お手洗いでも探しているんですかね。きっと漏れる寸前で意識が朦朧とし、あんな生気のない目をしているんでしょうね」


「それどんな状況!? あきらかに死んでるよ、あの人!? 糞尿以前に血がダダ漏れなんですけど!?」



 勝二は急いで閉ボタンを押す。

 しかし、何度押してもドアが閉まらない。



「だ、ダメだ! このボタン壊れてる! い、いやだあああぁぁぁ! こっちくるなあああぁぁぁ! トイレは回れ右ですよおおおぉぉぉ!」



 そうこうしているうちに、やつがエレベーター前まで迫ってきた。愛実が焦り、



「だ、誰か簡易トイレを持ってないのですか!? それさえあれば――!」


「あったところで無意味だからね! そもそもそんなもの持ってるやついないだろ!」



 隣にいる桜が頭抱えて悲痛な声を出す。



「しまった! 今日は持ってきてないわ!」


「あんた普段、鞄の中になに入れてんだよ!?」



 やつが目前まで迫っていた。



「ここここ来いや、オラア! 彼女いない歴=年齢であり、柔道の黒帯を持った友人がいる俺が相手になってやる! かかってこいや!」



 桜から「それあなたには無関係じゃないですか!」という声は無視し、勝二は格好だけでもそれっぽく構える。



「ややややってやる! 放課後、毎日家へ帰る部にいる俺をなめるなよ!」


「それただの帰宅部!」


「きゃあ!」



 だが、やつは勝二をスルーし、なぜか愛実の腕を掴んで闇の中へ引きずりこもうとしてきた。

 愛実の柔らかい肌に、やつの汚い手が触れる。



「やつめ、俺に恐れをなして弱い者から攻めてきたか! 卑怯な!」


「足をガクガクさせながら何言ってるんですか!」


「愛実ちゃん! す、すぐに助けるからな!」



 急いでやつから愛実を引きはがす――はずが、どんな力をしているのか、ビクともしない。

 桜も一緒になって引っ張るが、愛実は徐々にエレベーターから離れ、闇の中へ引きずり込まれていく。



「こ、この人、トイレに必死すぎだろ! まったく動かないぞ!」


『塩だ! 坊主の気色悪い塩を使え!』



 もうだめかと思ったそのとき、幽霊のおっさんが勝二の鞄を指差して叫んだ。

 瞬時に桜が動き、鞄の中から塩を取り出した。無我夢中で塩袋を引き破り、



「くらえ! 海よりいでし白い悪魔よ! ソルトブリザアアアァァァド!」



 無理やりに破いたため、辺り一面に塩が錯乱する。そのまま、大層な技名を叫び、塩袋をやつにぶん投げた。


 桜の投げた塩はやつに命中する。



『ウヴァアアアアアアアアアアア!』



 やつは目に見えて怯み、この世のものとは思えない悲鳴を上げていた。これはいける!



「今だ! みんな、かかれ!」



 勝二は素早くやつから愛実を引きはがし、大声を張り上げた。

 その掛け声で一斉にみんなが攻撃していった。


 勝二はやつの顔面をタコ殴りに。



「このロリコン野郎が! くたばれ!」



 血まみれだったやつの顔面は、よりいっそう酷いものとなっていく。



「女の敵! 最低! 幼い少女の心に傷が残ったらどうするのよ! この変態! 死ね、ロリコン! もげろ!」



 桜はやつの腹にボディブローを。



「……」



 愛実は無言でやつの股間を蹴りあげていた。


 全身フルボッコにされ、白目を向き、血の泡を吹きながらやつが倒れていく。と同時に、再びエレベーターが動きだした。

 やつを置いて扉が閉まり、さらに上の階へと移動していく。



「はあ……はあ……やりましたね」



 髪を乱し、息を荒くしながら、桜がどこか誇らしげに呟く。

 勝二たちは全員、勝ち誇った表情で顔を見合わせ、勝利の雄叫びを上げた。



「やった! やったぞ! 俺たちはロリコンゾンビ野郎に勝ったんだ!」


「やったのです!」


『いや、テメエらやりすぎだろ!』



 全て見ていたおっさん幽霊は、思わずツッコんでいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ