表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒューマン・ビーング  作者: マーブ
8/35

別れ

第8章(別れ)


 ISSではジェリーを含め、クルー5人、全員が観察用窓に、釘付けになっていた。


 地球の異常事態を、見始めてから数十分が、経過していた。全員、隊長ローレンスの命令で、船外活動用の宇宙服を着ていた。

 窓から見える地球は、まるで映画でよく見る、核戦争によって滅びるシーンと、同じだった。もちろん、これを見ているクルー達は、核戦争が起こってしまったと、何の疑いもなく信じている。


 しかし、実際は核戦争が起こって、地上で核爆発が起こっているのではなかった。


 地球に存在する核が、いっせいに何かの力によって、核分裂反応を起こし、その結果、あらゆる所で核爆発を起こしているのだ。


 だが、ここのクルーは、アメリカがロシア、あるいは中国に向け、核兵器で攻撃したのか、それとも、ロシアか中国がアメリカに先制攻撃をして、全面核戦争になってしまったのだと、信じ込んでいた。


 「皆の気持ちは分かる。だが、いつまで見ていても仕方がない。俺達には、止めることも何も出来ない」

 隊長ローレンスは全員の目を、見据えて言った。


 さらに、 

 「今、一番大事な事は、ISSを復旧する事だ。復旧出来れば地上との通信が、とれるかもしれない。辛いだろうが・・・・・・・」

 隊長ローレンスはこう言ったものの、NASAはもう、破壊されてないだろうと思っていた。


 地上との交信は、今さら無理だろうと、言う気持ちが本音であった。


 「でも隊長・・・・・・」

 ジェリーは地球にいる母が心配だった。


 「ジェリー気持ちは分かる。俺も家族が心配だ」

 隊長ローレンスは、そう言って下を向いた。


 が、すぐに顔を上げて、

 「今、地球に行けたとしても、どうにもならんだろう! もう、やってしまったんだ! もう!」

 隊長ローレンスは、大声で怒鳴ってしまった。


 ジェリーのせいで、核戦争が始まった、わけではないが、隊長ローレンスも、ここにいるクルー達と同様に、どうにも抑える事が出来ない、気持ちがあるからだ。


 「ジェリー、すまん。つい、言い過ぎた」


 「隊長、いいんです」

 隊長ローレンスの気持ちがジェリーにも、伝わったいた。


 その時、

 「パーン」

 微かだが、何かが破裂するような、音が鳴った。


 同時に非常灯が消えかけた。


 「今の音は何だ!」

 隊長ローレンスは言った。


 宇宙服のヘルメットをかぶっていて、やっと聞こえる程度の、小さな音だ。

 皆が、敏感になっていた。

 そして皆、お互いの顔を見合った。


 「嫌な予感がする。全員、手袋を着用」

 隊長ローレンスが言うと、隊長ローレンスを含む全員が、手首に巻いていたテープを急いで剥がし出した。


 「パーン、パーン、パーン」

 今度は明らかに、大きな音と振動を、全員が感じた。


 「今度は何だ!」

 ジェリーが言った。


 すると、目の前に浮いている、剥がしたテープが動き出した。


 「隕石が当たったのか?」


 ロシアの宇宙飛行士、ミハイルがまさかという目で、皆を見て言った。


 「急いで手袋を着用しろ!」


 隊長ローレンスの緊張した声が響いた。


 剥がしたテープは、機械室のあるサービスモジュールの方向に、ゆっくりと流れて行った。


 そのテープの様子を見ていたテリーが、


 「穴があいたのか! 隕石か、スペースデブリが当たったのか!」

 テリーの言葉に、全員が緊張した。


 「デックと私は、このテープが流れて行くサービスモジュールを見てくる。このテープの流れる速度を見れば、大きな穴は多分、開いていないだろう。念のため、他のクルーはここで待機してくれ!」

 隊長ローレンスの、冷静な命令の中にある、張り詰めた緊張感が、クルー達、全員に伝わった。


 そして静かに、クルー全員の、命に関わる危険が迫っていた。


 突然の停電による、ISSの危機は、一時的に脱したが、船体に穴が開く事は、真空の宇宙空間では死を意味する。


 隊長ローレンスとデックは、軽く床を蹴って機械室のある、サービスモジュールに向かった。


 すると、

 「隊長、大変だ! ドアが吹っ飛んでいる!」

 機械室の手前で、デックが大声で叫んだ。


 機械室のドアが、まるごと無くなっていた。と言うか、ちぎれて吹っ飛んだようだ。


 空気もかなり漏れている。


 強い空気の流れを感じる。


 これ以上、近づけない。


 どれほどの穴が、開いているかは分からない。

 うかつに中に入ると、開いた穴から宇宙に、放り出されかねない。


 「デック、これ以上、機械室に近づくな!」

 隊長ローレンスの声が、デックのヘルメットの中で大きく響いた。


 「早く引き返せ!」

 隊長ローレンスが躊躇なく、デックに命令した。


 空気が勢いよく、吸い出されていて危険だと、即座に判断したのだ。

 デックと隊長ローレンスは、吹き飛ばされないように手すりにフックをかけ、その場を急いで離れた。


 サービスモジュールにある機械室は、クルー達が宇宙服なしで呼吸出来る、唯一の場所である。ジェリーとテリーが、機械室にある空気のパイプから、少しづつ空気を出るように工夫して、機械室で、クルー皆が呼吸出来るようにした。一時的な、救命ボートであった。


 そこに穴が開いて、しかも、宇宙空間に空気がどんどん、出て行ってしまっている。皆で運び込んだ、空気の入ったボンベも、吹き飛ばされて、なくなっていようだ。それに、各クルーが着用した宇宙服の空気残量は、8時間を切っている。


 クルー達の命は、あと僅かしかもたない。


 そして、

 「ドカーン」

 ISSが大きく揺らいだ。


 船内に浮いているあらゆる物が、いっせいに、隊長ローレンスとデックの目の前を、通過して行った。


 ISSに何か大きな物が、衝突したようだ。


 今までと違う、強い力でデックと、隊長ローレンスが、機械室の方向に引きこまれて行く、2人のロープが勢いよくピンと張った。


 切れそうだ。


 次の瞬間、デックのフックが外れてしまった。


 デックが機械室に飛ばされて行く、隊長ローレンスが後ろを振り返るが、デックがまるで木の葉の様に、くるくる回りながら、機械室に吸い込まれて行った。


 「デーック!」

 隊長ローレンスの悲痛な声が、クルー達に響き渡った。


 「隊長! 何が起こった!」

 ジェリーの声だ。


 「隊長! 穴が開いたのか!」

 テリーだ。


 「隊長、船外にいろんな物が飛び出している!」

 ミハイルが叫ぶ。


 デックが、機械室に開いた大きな穴から、くるくると回りながら、ISSから、真っ暗な宇宙空間に、放り出されて行く、見る見るうちにデックの姿が、小さくなって行った。


 デックが、宇宙空間に吸い込まれる姿を、窓越しに、待機していたクルー達も見た。


 「隊長!」

 デックの叫び声が聞こえる。


 しかし、どうにもならない。


 「デーック!」

 隊長ローレンスの叫び声が、皆のヘルメットに響いた。


 その間にも、ISS内に僅かに残っていた、空気が、どんどん無くなっていった。

 そしてとうとう、船内気圧がゼロになってしまった。


 デックは隊長ローレンスを、呼ぶ声を最後に暗黒の宇宙空間に、吸い込まれて見えなくなった。


 「隊長、一体、デックに何が!」

 テリーが叫んだ。


 「デックが飛ばされた!」

 隊長ローレンスの声が、かすれていた。


 「デ、デックが・・・・・・」

 テリーの沈んだ声が、小さく聞こえた。 


 気圧の急速な減少で船体に、それも隊長ローレンスとデックが向かった機械室付近で、大きな穴が開いた事は、観測用の窓、キューポラのあるモジュールで、待機していたクルー達にも分かっていた。機械室付近から、宇宙空間にデックと、大量のものが、飛び出しているのが、見えたからだ。

 船内には、残ったあらゆる物が散乱し、宙に浮かんでいた。そして非常灯だけが、まだついていた。


 今や、宇宙服無しでは生きていけない。


 船内は宇宙空間と同じ、真空になってしまったからだ。 宇宙服に残された空気の残量は後、数時間だった。


 隊長ローレンスはクルー達のいる、キューポラに向かった。

 途中、隊長ローレンスはクルー達と合流した。


 「すまん、俺れがいながら・・・・・・」

 隊長ローレンスは頭を深々と下げクルー達、皆に謝った。


 「・・・・・・」

 クルー達は無言の返事を、隊長ローレンスに返した。


 しかし、デックを失った悲しみに、ひたっている時間はなかった。

 さいわいにも、隊長ローレンスの命令で、船外活動用の宇宙服を着ていたために、クルー達は助かった。もし、着ていなかったら全員、死んでいた。

 しかし、宇宙服の空気にも、限りがある。空気を補給しなければ、呼吸が出来なくなって、死んでしまう。クルー全員が助かるためには、このISSを捨て、サービスモジュールにドッキングしている、2隻のソユーズ宇宙船で、地球へ脱出するしかない。


 「皆、よく聞いてくれ」

 隊長ローレンスは、この非常事態に対応するため、デックを失った悲しみを、抑えこんだ。そして頭を切り替え、いかにして、この状況下でソユーズ宇宙船を使って、脱出するかを考えていた。


 「緊急脱出の方法を考えよう」

 隊長ローレンスは単刀直入に切り出した。


 「・・・・・・」

 残ったクルー達は、即座には返事が出来なかった。


 あまりにも状況が、悪過ぎた。


 しばらくして、

 「2隻のソユーズ宇宙船がドッキングしているが、電源が無いとどうしようもない。それにソユーズが動くかどうかもわからない」

 テリーがはっきりと言った。


 「電気が無ければ、ISSからソユーズ宇宙船を切り離す事さえ出来ないぞ!」

 ミハイルが一番の問題点を指摘した。


 隊長ローレンスを含むクルー全員は、黙り込んだ。


 ソユーズ宇宙船は2隻あり、それぞれ3人ずつ搭乗できる。ソユーズ宇宙船の構造は、ISSとドッキングするための軌道モジュール部分と、クルーが搭乗する帰還モジュール部分、そして通信機器や姿勢を保つためなどのエンジンを、搭載した機器・推進モジュール部分の3区画からなっている。


 帰還時には、大気圏の手前で軌道モジュールと機器・推進モジュールを切り離して、帰還モジュールだけが地球に戻ってくる。

 通常時なら、ソユーズ宇宙船2隻で全員が、地球へ帰還する事が出来る。しかし、今、一番の問題は、電源が無いとソユーズ宇宙船を、ISSから切り離す事すら出来ないのだ。


 「手動で切り離しは出来ないんですか?」

 ジェリーがクルー皆に、問いかけた。


 「出来ない事はないが・・・・・・」

 隊長ローレンスが少し控えめに言った。


 「我々の手で、ISSとドッキングしている軌道モジュールを切り離す事は多分、出来るだろう。しかし、宇宙空間で、しかも数人で、切り離し作業をする事になる。数人でだ」


 隊長ローレンスの、言わんとする事を、皆は悟った。


 つまり、地球へ帰還出来るのは一人か、あるいは2人だけに、なると言う事だ。

 それ以外の者は、ISSに残る事になる。


 「隊長、了解しました。サービスモジュールに行きましょう!」

 ジェリーがクルーを即すように言った。


 実際、時間がない。


 この宇宙服で呼吸出来るのは後、数時間だ。


 キューポラから、ソユーズ宇宙船のあるサービスモジュールまでは、それほど遠くはない。船内にはいろんな物が散乱して浮いている。船内気圧がゼロ、真空になった事に恐怖感が襲ってくる。いつもTシャツ1枚で過ごしていたが、今は宇宙服無しでは生きられない。ISSが死んでしまった事を、ひしひしと感じる。

 果たしてソユーズ宇宙船を、切り離す事が出来るだろうか、そしてソユーズ宇宙船は正常に機能するだろうか、不安が次々に、湧き出て来る。


 ジェリーは不安な気持ちをぐっと心に押し込んで、先に進んだ。きっと、皆も同じ気持ちだろうなと思った。

 サービスモジュールに着くと、やはり同じように、いろんな物があたり一面に浮いて漂っている。近くには、デックが吸い出された機械室がある。

 デックの叫び声が今も、耳から離れない。


 「非常灯だけはついているな」

 テリーは周りの様子を見ながら言った。


 「ミハイル、ソユーズが起動出来るかどうか、見て来てくれ」

 隊長ローレンスが、ロシア製のソユーズ宇宙船に一番詳しい、ミハイルに頼んだ。


 ソユーズ宇宙船のドッキング部分にあたる、軌道モジュールのハッチは安全のため、常にしっかりと閉めている。ミハイルはハッチをゆっくりと回した。シューと音がする。ハッチの向こう側には空気があり、気圧が保たれている証拠だ。


 「ソユーズは大丈夫そうだ」

 ミハイルは思った。


 そして軌道モジュールのハッチを開け、中に入った。 

 奥には帰還モジュールがある。


 宇宙服を着ていると、背中に付いている生命維持装置がそこら中にあたって、動きがとれなくなる。


 「クソッ」

 生命維持装置は大事だが、ミハイルは覚悟を決めて、力任せに前へと進んだ。そしてどうにか、帰還モジュールの前にたどり着いた。


 ミハイルは祈る様な気持ちで、慎重に帰還モジュールのハッチを回した。ここでもシューと空気の音がする。帰還モジュールにも、損傷が無い証拠だ。


 「隊長、帰還モジュールも無事のようです」

 ミハイルは帰還モジュールに、損傷がない事を、まず隊長ローレンスに報告した。


 帰還モジュールに入ると、まず、ライトのスイッチを入れたが、ライトが点かない。ISSから供給されている、バックアップ電源で動く状態だから、ライトが点かないのは、あらかじめ分かっていた。ミハイルはバックアップ電源を切り、祈る様な気持ちで内部電源に切り替えた。これでライトが点かなければ、地球への帰還は出来ない。


 しかし、

 「点かない、ダメだ」

 ミハイルは全身の力が抜け、無気力感を感じた。


 他のスイッチを入れたが、反応は無い。

 何度か、ON、OFFを繰り返したがだめだった。


 「隊長、ダメです。内部電源に切り替えましたが動きません」

 ミハイルのこの一言で、帰還は出来ないと、全クルーは希望をなくした。


 だが、この状況下でも、隊長ローレンスはあきらめなかった。


 「ミハイル、ブレーカーを確認しろ!」

 隊長ローレンスのこの一言でミハイルはハッとし、配電盤の蓋を開けた。


 「メインのブレーカーが落ちている!」

 配電盤の一番大きなブレーカーがOFFの位置になっていた。


 ブレーカーを数回、ON、OFFを入れなおし、内部電源に切り替えると、船内のランプが点いた。そして続いて、他の落ちているブレーカーもONにした。


 計器類のメーターが動きだしている。

 順調だ。


 しかし、肝心のコンピュータが、動いていない。

 それにコンピュータに、関係する計器も全く動いていない。

 ブレーカーを何度か入れなおしたが、やはり、コンピュータは全く反応しない。

 ダメか、船内ランプが点いた時、一瞬希望が湧いたが、ISSもそうだったように、コピュータが動かない。


 「隊長、ダメです。電源は生きていますが、肝心のコンピュータが動きません」


 「了解した。でも、あきらめるな」

 隊長ローレンスは返事を返した。


 何か秘策があるようだ。


 「ミハイル、戻って来い」


 「了解」

 隊長ローレンスの命令を聞くと、ミハイルは、這うようにして、ソユーズから出て、ISSに戻った。


 ミハイルが戻ると、

 「空気の残量を教えてくれ、私は6時間」

 隊長ローレンスは冷静に言った。

 「6時間半」

 「7時間」

 「5時間」

 テリー、ジェリー、ミハイルが報告した。


 酸素の残量が一番多く残っているのは、ジェリーだった。


 「ミハイル、地球帰還に必要な、おおよそのスケジュールを言ってくれ」

 隊長ローレンスは淡々と言った。


 ミハイルは一瞬、ためらったが、ミールで帰還するための最低限必要な、作業を話すことにした。

 それもコンピューターを使わないで、手動で帰還する方法を考えた。現状ではとてもコンピュータは使えなかった。

 しかし、コンピューターなしでは、自殺行為に等しいと思ったが、隊長ローレンスの、帰還させるという固い意思を感じ取り、今、考えられる最善策を模索した。


 隊長ローレンスの秘策は、全て手動での大気圏再投入だ。


 そして各クルーは自分が後、どれだけの時間、生きていられるか再確認しても、もう動揺はしなかった。


 「初めにい言いますが、帰還出来るのは一人だけです」


 ミハイルのこの言葉に誰もが、少し動揺した。


 少なくても、2人は地球に、帰れるだろうと思っていたからだ。


 「まず、帰還モジュールに1人乗り込みます」

 すると、隊長ローレンスは間髪入れずに言った。


 「帰還モジュールには、空気残量の一番多い、ジェリーが乗ってくれ、皆には申し訳ないがチャンスは一度だけ、空気残量が多い程、生き残れる確率が高いと思う。操縦士でもあるジェリーに、ぜひ乗って欲しい」


 ジェリーは内心、複雑な気持ちになって、皆のヘルメットの中にある目を見回した。


 しかし、その目は既に覚悟が出来ており、ジェリーが帰還する事に同意していた。

 ミハイルは話を続けた。


 「次に、ドッキング部分の軌道モジュールを、手動で切り離します。手動による切り離しは、ISS内部とISS外部、両方で、切り離し作業を行います。詳細は切り離し作業時に説明します。この作業が、最も時間を食います」


 「どれぐらい、かかる」

 隊長ローレンスが質問した。


 「はっきり言って分かりません。今まで電源が無い状況下で、手動による軌道モジュールを、切り離す訓練は、地上でも受けた事がありません。こればかりは出たとこ勝負です。出来るだけ早く、済ませたいです。それにまだまだ、やることはあります。地球周回起動離脱や、帰還のための逆噴射、それにパラシュート、これが開かないと地上に激突ですから・・・・・・」


 「分かった。課題は多数あると言う事だな」


 「続けてくれ」

 隊長ローレンスの表情が厳しくなった。


 ミハイルは続けた。

 「もし、軌道モジュールを切り離すことが分かったら、僕が後ろの機器・推進モジュールに行って、側面のパネルを外して、メインエンジンを手動で、点火出来るように配線します。メインエンジンが点火しなければ、地球に帰還する事が出来ません。永遠に地球を回る事になります」

 ミハイルは、一息ついて続けた。


 「次に手動で、姿勢制御の噴射が出来るように、配線し直します。更にパラシュートも、開くようにします。これが開かないと、意味がありません。そして僕にまだ空気があればですが、地上に着陸するさいに、噴射するエンジンを何とかします。以上です。全ての配線は私がします。ソユーズ宇宙船は、私の国の船ですから」


 後は、時間との闘いだと言う、ミハイルの意気込みがひしひしと皆に感じられた。


 「あまり時間がない。始めるぞ。まずジェリーはミハイルに帰還モジュールの操縦方法を教えてもらえ、今までとは全て違うぞ、コンピュータなしだからな、頭にたたき込め、頼むぞミハイル、ジェリー」

 続けて隊長ローレンスは言った。


 「テリーと私は、ISS側から軌道モジュールの切り離し方を調べる。ミハイルは後でこちらに、合流してくれ。ジェリーは帰還モジュールに残り、そのまま待機してくれ。出来るだけ空気を消費しないようにしろ。俺達の事は心配するな。各自、通信機の電源は、入れっぱなしにしておいてくれ。以上だ」


 隊長ローレンスが話し終えると、各自持ち場に去って行った。


 状況は最悪であったが、希望はある。


 ISS内は暗黒の宇宙空間と同じ真空で、後、宇宙服で呼吸出来る、空気の残量も僅かだった。それ故、隊長ローレンス以下、クルー達は腹を据えて、事に当たる事が出来た。皆、それなりに死を覚悟したのだ。


 隊長ローレンスとテリーは、軌道モジュールのドッキング部分を見ていた。ハッチはISS側に二ヶ所あった。一番外側のハッチには、危険とはっきりとした赤い文字で、書かれている。ソユーズがドッキングしていない時には、このハッチの外が宇宙空間になる。


 宇宙服を来たままでも、ISSと軌道モジュールとの、通路であるトンネル部分に入るのは、広いので容易だ。ミハイルとジェリーは、既にその先にある帰還モジュールに入っている。


 しかし、宇宙服を着たまま、ドッキング部分から帰還モジュールでもある、ソユーズ宇宙船に入るには、かなりきつい。入り口が狭いのだ。普通に入ろうとすると、宇宙服の背中に背負っている、生命維持装置があたって入れない。生命維持装置の先端を、後ろから力づくで押さえて、もらいながらでないと、入る事は出来ない。ソユーズ宇宙船に入るにはもう一人、人手が必要だ。ミハイルが、ジェリーを帰還モジュールに入るのを、手伝ったのだろう。


 一旦、入ると一人で出る事は出来ない。ミハイルがジェリーに操作手順を教えている声が、無線を通して聞こえる。


 「手動で切り離す装置はこれだけのようですね」

 テリーはDANGERと英語で書かれている、厳重な長方形の箱に覆われた、赤く、大きな、丸いボタンを見ながら言った。


 表面のガラスの様なものを割って、押すようになっている。


 「電源がいるのか、いらないのか、それが問題だな」

 隊長ローレンスが、スイッチのそばに小さく書かれているロシア語を見て、ミハイルに聞かないと思った。


 「このレバーの上下で、大気圏突入角度が調整できるのだな?」

 ジェリーは確かめるように、ミハイルの目を見た。


 「そうです。これで突入角度調整用のスラスターが噴射します。ここにある数字が突入角度になりますが、コンピュータが動かないのでこの様に、数字は表示されません」

 ミハイルはジェリーの返事を待った。


 「つまり、感覚で、いや、重力のかかり具合だけで調整する事になるのだな?燃え尽きないように」

 ジェリーが言うと、


 「そうです。感覚だけが頼りです」

 ミハイルが真剣な目つきで言うとジェリーは、


 「燃え尽きないよう上手くやるさ!」

 笑いながら言った。


 「パラシュートは、この白いボタンを押して開けて下さい。手動で開けるためのスイッチです。ここにも電力がくるように、私が配線し直します。決してカプセルのスピードが速い時に、押さないで下さい。慌てないで、慎重に、そして冷静に、判断して下さい。速過ぎるとパラシュートはちぎれてしまいます。タイミングです。タイミングが大事です」

 ミハイルは、ジェリーに言い聞かせるように言った。


 「分かった、冷静にだな、冷静に」

 ジェリーも自分に言い聞かせるように、何度も繰り返した。


 パラシュートが、開かなければ何もかもパーだ。地上に時速800キロ以上で激突して、粉々になっておしまいだ。


 「このスイッチは着陸時に、ロケットエンジンを3秒間だけ点火するスイッチです。陸地に着陸する事を前提に作られた、ロケットエンジンです。ジェリーもお分かりでしょうが、今の状況では、着陸地点は選べません。海の上に着陸したり、もしかして、ビルの屋上に着陸するかもしれません。いずれにしても、あなたが判断してロケットエンジンを噴射して下さい。噴射しなくてもいい場合もあります。ただし時間の関係上、この噴射スイッチまで、作動させるように配線出来るかどうか、分かりません。でも、パラシュートだけは、必ず開くようにします。ただ、このスイッチはあてにしないで下さい」


 ミハイルが話し終えると、

 「ミハイルありがとう。操作の手順はよく分かった。でも、私だけがこのカプセルに乗ると言うのは・・・・・・」

 ジェリーは言葉につまった。


 「いいんだよ、ジェリー」

 ミハイルは微笑みを浮かべ、ジェリーの気持ちを察した。


 「最後にこのスイッチですが、これは自爆スイッチです。このスイッチは配線しません。必要ありませんから、無事、地球に帰還出来るよう祈っています!」

 そしてジェリーとミハイルは固い握手をした。


 ジェリーの瞳から、ひとすじの涙がこぼれ落ちた。


 すると、

 「ミハイル! こっちに来ててくれ」

 隊長ローレンスが、ソユーズ宇宙船のコックピットにいる、ミハイルを呼んだ。

 ジェリーを残してミハイルが行くと、


 「この緊急用切り離し装置は、電源が無くても作動するのか?」

 赤いボタンを見ながら、隊長ローレンスがミハイルにたずねた。


 「電源は内蔵しています。基本的には戦闘機の脱出装置と同じ構造です」

 ミハイルが答えると、


 「必ず、作動するのだな」

 「作動します」

 ミハイルのはっきりとした返事を聞き、隊長ローレンスは安堵し、次の作業へと取りかかった。


 「ミハイル、ここはいいから船外に出て機器・推進モジュールの配線をしてくれ、人手が必要ならテリーを行かす」

 「了解、隊長、船外作業に行きます」


 ミハイルはジェリーのいるコックピットに戻ると、

 「ジェリーはこのまま待機して下さい」

 「OK」

 ジェリーの返事を聞き、ミハイルは隊長ローレンスのもとに行った。


 「隊長、時間が迫って来ているので、ジェリーは帰還モジュールに待機させました。いいですね?」


 ミハイルは隊長ローレンスに念を押して聞いた。


 「そうだな、いい判断だ」

 隊長ローレンスは自分の空気残量を確認し、少し考え込み、


 「あまり、時間はないな」

 自分自身で納得したかの様に、頭を2、3回振って、


 「時間のある間に、ジェリーに別れを言っておこう」

 隊長ローレンスがこう言うと、側にいたテリーもうなずいて、


 「行きましょう」

 テリーの一言で決まった。


 「ミハイル、悪いがこちらにもう一度、ここに戻って来てくれ」

 船外活動に向かったミハイルを、隊長ローレンスは呼び戻した。


 隊長ローレンス以下、テリー、ミハイルがソユーズ宇宙船の入り口に集まった。     

 隊長ローレンスが、コックピットに座っているジェリーに向かって、

 「ジェリー、これでお別れだ」

 と言うと、ジェリーは分かっていたかのように、


 「隊長、お世話になりました。テリーにもミハイルにも、それにデックにも・・・・・・」

 ジェリーの胸の中に、熱いものがこみ上げてきた。


 「ジェリー、俺達がしっかり帰してやるから! 決してあきらめるな、生きて地球に戻れ!」

 隊長ローレンスが言った。


 隊長ローレンスの後ろでミハイルが敬礼し、船外活動に向かった。


 「ジェリー、地球の事、頼むな」

 テリーの言葉に一瞬、あの恐ろしい核爆発を思い出した。

 しかし、それは地球に無事戻ってからだと、自分に言い聞かせた。


 「了解。無事、戻れたらな!」

 ジェリーはテリーに微笑んだ。

 そんなジェリーにテリーも微笑み返した。


 「絶対に生きて戻れよ。さてと、仕事やるか!」

 テリーのこの言葉を聞いて、隊長ローレンスはテリーに指示した。

 「テリー、ここはまかせた。私はミハイルを手伝ってくる。ジェリー、ハッチを閉めるぞ! じゃ」


 「隊長、了解!」

 ジェリーはあらためて敬礼した。


 そして隊長ローレンスは、ソユーズ宇宙船の外側のハッチをゆっくりと閉めて、ロックした。


 ハッチが、しっかり閉まっているのをテリーが確認すると、

 「ジェリー、船内を与圧してくれ」

 ジェリーはOKと言うと、空気を出すバルブを回した。


 ヘルメットをかぶっていても、空気が出ているシューという音が2人にはよく聞こえた。テリーはジェリーの船外活動用の宇宙服を脱がすために、ISSとドッキングしている軌道モジュールと、帰還モジュールの間に、とどまった。


 シユーという音が、しばらくすると聞こえなくなった。

 船内が呼吸出来る程度に、与圧されているかどうかは、計器類が作動していないので、確認のしようがない。宇宙服の膨らみは、ほとんど無くなっていたので、呼吸するには十分な気圧になっているはずだ。

 ジェリーはゆっっくりと、グローブのロックを外した。カチッと音がした。宇宙服内の空気が吸い出されている様子はない。


 「テリー、与圧OK」

 テリーに合図を送り、ジェリーはヘルメットを脱いだ。テリーもヘルメットを脱いだ。


 「テリー、頼む」

 テリーがグローブを両手共に外して、ジェリーが宇宙服を脱ぐのを手伝った。

 ジェリーが宇宙服を脱ぎ終わると、周りにはヘルメットやグローブなどが漂っていた。


 「ジェリー、お別れだな」

 テリーは自然とジェリーに握手を求めた。


 テリーは後、数時間もすれば、宇宙服の空気が切れて死んでしまう事はもう、すっかり忘れていた。


 「テリー、ありがとう。グッバイだな」

 ジェリーはテリーの手のひらを、力強く握った。


 「ジェリー、地球に何があろうと地球を守ってくれ、頼むぞ!」

 そしてテリーは再びヘルメットをかぶり、グローブを身につけた。


 ジェリーの脱いだ宇宙服を両腕に抱え込み、テリーはハッチをまたぎ、後ろを振り返った。そして片手を振りながら、帰還船ソユーズの内側のハッチをしっかりと閉じた。


 「さよならみんな、そしてありがとう。必ず、生きて帰還するからな」

 ジェリーは残った皆に、最後の別れを言った。


 テリーは隊長達が開けっ放しにした、ISSのハッチから宇宙空間へ出た。


 ソユーズの機器・推進モジュールの右側面のパネルが、ワイヤーにつながれて浮いている。パネルが太陽の光を受けて眩しく輝いていのが見える。テリーはサンバイザーを下ろした。そしてふと、空気残量を見ると、残り3時間と表示されている。


 「ミハイルの残りは良くても1時間30分、ヤバイな」

 テリーはそう思いつつも、慎重にハーネスを移動させながら、隊長達がいる機器・推進モジュールへ進んだ。


 「テリー済んだか?」

 隊長ローレンスが、テリーの差し出した手を取って言った。


 互いに、サンバイザーで顔は見えないが、ジェリーとの通信のやり取りを聞いていたので、隊長ローレンスとミハイルは、ジェリーの気持ちを分かっていた。


 ジェリーとテリーは親友同士だからだった。


 「はい、いつでも切り離しが出来ます」

 テリーのヘルメットの中には、テリーが流した涙が浮いていた。顔は見えないが、テリーの震える声で、テリーの気持ちは手に取るように分かった。


 「よくやった、テリー!」

 ヘルメットを上下に、幾度も振りながら隊長ローレンスがテリーの肩をそっと、たたきながら言った。


 「ミハイル、大丈夫か?」

 テリーは空気残量の一番少ない、ミハイルを気遣った。


 「大丈夫、今、メインエンジンを、手動で点火出来るようにした。テストは出来ないけどね」

 ミハイルは冗談まじりに、陽気に答えた。


 ヘルメットの中では顔中、汗だらけのミハイルだった。 空気の残量は1時間を切っていた。しかし、やるべき事はまだまだあった。果たして、パラシュートを開かせる回路まで手をつける時間があるかどうか、分からなかった。これが開かないと意味がない。地上にカプセルが激突してジェリーが死んでしまう。

 急がなければ、何とかパラシュートが開くところまで空気よ持ってくれと、ミハイルは願った。


 テリーはふと、隊長ローレンスを見た。作業はミハイル1人でやっていた。ただ、じっと見ている事しか出来ない様だった。ソユーズ宇宙船の事は、ミハイルしか分からない。配線をいじるとなると尚更だ。視線を変えると隊長ローレンスの背後に、何か白いケーブルがある。  


 「あっ!」

 テリーは気付いた。


 「隊長、そのケーブルは!」

 テリーは白いケーブルを指さした。


 隊長ローレンスは苦笑いをしながら、

 「俺にはこれしか出来ないんだ」

 と言った。


  その白いケーブルは、宇宙服の生命維持装置に、空気を充填するためのケーブルだった。


 隊長ローレンスは残り少なくなったミハイルの、生命維持装置に自分の空気を、ケーブルを介して送るつもりだ。


 「隊長・・・・・・」

 テリーは後の言葉が出なかった。


 「これで少しは時間が、かせげるさ」

 隊長ローレンスそう言うと、大声で笑った。


 当然、ミハイルにもこの会話は聞こえていた。


 ミハイルは、手動でパラシュートが開く様に、配線の改造を始めていた。機器・推進モジュールに頭を深く突っ込んでいた。

 宇宙服が邪魔になるのだろう、背中の生命維持装置が、船体にきつく当たっている。


 「ミハイル、大丈夫か」

 テリーが心配してたずねた。


 「かなりきつい。宇宙空間でやる作業じゃないね」

 ミハイルが苦しそうに言った。


 「生命維持装置を、壊さないように気を付けろよ。お前だけが頼りなんだからな」

 テリーはミハイルの生命維持装置が、押しつぶされないように片手で、押さえつけながら、船体に少しでもミハイルの体が入るようにした。


 「テリー、実は空気残量がもう、あまりないんだ。残り7パーセントを切った」

 ミハイルは小さな声でテリーに言った。


 テリーには、そのミハイルの声が、怯えているようにも聞こえた。


 このミハイルの声は、隊長ローレンにも、聞こえていた。


 ミハイルだけでなく、誰しも空気が無くなって呼吸が出来なくなるのは、怖かった。たとえ、死を受け入れる決心をしたとしてもだ。


 「ミハイル、今、行く」

 隊長ローレンスの声だ。


 自分の空気を、あの白いケーブルを使って、ミハイルと共有する気だ。そうテリーは思った。


 ミハイルの後ろにいたテリーが、

 「隊長、私がやります」

 テリーは思わず言った。


 隊長ローレンスがテリーのそばに来て、


 「テリー、いいんだ。私がやる。それでも空気が足りなければその時はテリー、ミハイルを助けてやってくれ」


 隊長ローレンスの決心は、変わらなかった。


 「テリー、後ろに少し、下がってくれ」


 テリーと入れ替わりに、隊長ローレンスが、ミハイルの後ろについた。そして自分の宇宙服にある、空気取り入れ口にケーブルを差し込んだ。


 「ミハイル、このケーブルを差し込め! 空気を送る」

 隊長ローレンスが強い調子で言った。


 ミハイルは一瞬、ためらった。


 隊長ローレンスは死ぬ気だ。

 ミハイルには分かった。


 しかし、ミハイルはためらいを捨ててケーブルを手にとった。隊長の強い意思が、そうさせたのだった。


 ミハイルがケーブルを、差し込んだのを隊長ローレンスが見届けると次の

瞬間、


 「テリー、ミハイルとジェリーを頼むぞ!」


 そう隊長ローレンスが言うと、ヘルメットのサンバイザーを上げてニッコリと笑った。


 そして頭をお辞儀するように、少し下げた。


 次の瞬間、ローレンスはヘルメットのロック部分に手をやり、ロックを外した。


 「隊長! 何するんですか!」

 テリーが叫んだ。


 が、隊長ローレンスにはもう、テリーの声は届かなかった。

 隊長は目を見開いたまま死んでいた。


 一瞬の出来事だった。


 その顔は見る見る間に水分を失い、まるで痩せこけた老人のようになっていった。


 隊長ローレンスは自分を犠牲にして、残りの空気を全てミハイルに与えたのだ。

 「隊長なんてことを!」


 見る見るうちに、隊長の顔が変わっていくのを、見ながらテリーが言った。

 そばには、隊長が自ら脱いだヘルメットが、浮いている。 


 「ミハイル、隊長が死んだ!」

 テリーの悲しみに満ちた声を聞いて、ミハイルは涙をこらえた。


 しかし、

 「隊長! すみません!」

 ミハイルの悲痛な声が、テリーのヘルメットの中で響いた。


 命を犠牲にした、隊長ローレンスに、寄り添うように、ヘルメットが浮いていた。


 しばしの間、宇宙空間に沈黙が続いた。


 やがてミハイルが、


 「テリー、続けるぞ!」

 力強い声で言った。


 ミハイルのこの声で、ジェリーは感じ取った。

 生きている時間は残り少い。


 しかし、隊長ローレンスのとった行動のように、最後の最後の時まで、最善を尽くすと自分に誓った。


 通信の全てを聞いていた、ジェリーも、決意を新たにして言い放った。


 「隊長、絶対に地球に帰還します! 死んでも帰還します!」


 その声は無限に広がる大宇宙に、力強く響いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ