異常
第2章
核に異常が起こったのは、兵器としての核だけにとどまらなかった。
地球上にある核関連施設、とりわけ原子力発電所の原子炉にも、異常が及んだ。
地球規模の大停電により、原発もまた停電していた。
テロだと考える者もあるだろう。しかし、こんな仕業は到底テロリストなどには出来ない。もし、出来たとしてもせいぜい、核爆弾1発を大都市で爆発させる程度だろう。
地球上にある、全ての核を爆発させるのは不可能な事だ。
可能に出来るのは、人間以外の何かであろう。
それに、テロリストの言う革命や、ジハードにはならない。
何故なら、地球そのものが核によって、死んでしまうからだ。核の放射能によって自分達を含め、全ての人間と生物が絶滅するからだ。
テロリストはこんな事は望んではいない。
テロリストの目的は一言で言えば多分、自分達の考えを邪魔する政府や国に、罰を与えるためである。もっとも残酷なのは、なんの責任もない市民を、テロの対象にすることだ。テロの対象で殺害したいなら、テロを起こす理由を作った人物、その者に罰を与えれば、それで済むのだ。
普通の市民は政治の力、とりわけ権力などと言うものは、持ち合わせていない。 ほとんどの人が、国による政治、あるいは政策とは無関係である。テロの対象にするなら直接、権力を持つ人、あるいは責任ある人物にしてもらいたい。一般の市民を殺害しても、政治や政策を行った人物ではないのだから、見当違いもはなはだしい。それに、責任ある人物にとっては、ただの、他人ごとにすぎない。
痛くも、かゆくもないのだ。
それが現代の政治家だ。
一方、テロリスト自身にも、生活の場がある。家族のある者もいるだろう。ある意味、テロ行為は自分達の生活圏を土足で、侵略する者に対しての報復であろう。
自爆テロは、個人の命を犠牲にして、多くの人命を奪う行為である。日本の特 攻隊と同じ考えで、個人の命を犠牲にして多くを殺す、個人の命については、微 塵も考えていない。国のため、上から命令されれば何も考えずに、自分の命を差 し出す。これも自分の国、あるいは組織があっての自殺行為だ。自分が何のために死ぬのか、何の疑問も持たない。ただ、上の命令に盲目的に従うだけだ。
自分の死に値する組織、あるいは政府であるかどうかは大いに疑問が残る。
この点で、地球規模で起こっている事態は多分、人間以外に、原因があるとしか今は、考えられない。恐るべき事態は世界中に、広がっていくことになるだろう。殺りくを繰り返している人類への、何かのメッセージなのか、それとも、こんな人類は将来、自滅するからさっさと滅亡すべきと、何者かに攻撃されているのだろうか、その意思も意味も不明だ。