第三話
次の日、とりあえず休むわけにもいかないので学校に来たけど・・・
川口は何事も無かった様に普通だった。
適当にクラスメートに挨拶し、自分の席に着く。
「おはよう・・・」
隣の席から挨拶されたので挨拶を返そうとして・・・
うちのクラスには誰も座っていない席、
3年になって一度も見た事のないクラスメートがいる。
不登校と言う訳ではなくて・・・何でもエライ頭が良すぎて
通常の授業を受ける必要がなく学校内に専用の研究室まで用意されている天才がいるらしい。
らしいと言うのは・・・まぁ、見た事無いんですわ。
常に研究室に籠りっきりだとか。
そいつの席がまぁ、俺の隣なんだけど。確か・・・名前は・・・そう、『深山 美々』。
やけに『み』が多い名前だなって思ってた。
んでまぁ、その・・・俺の隣の席に初めて現れた訳だ。
挨拶、しなくちゃなんだけどさぁ。
ちょっとびっくりして固まっちゃいました。
そこに居たのは・・・見た目、どう見ても小学生。
しかも低学年?って位の女の子。昨日、貞操の危機を救ってくれた幼女だった。
「・・・はぁぁぁ・・・ほーれ、授業はじめるぞ~!席に着け~!」
担任の山友先生が来た。
この先生、話しやすい先生ではあるのだが・・・少々、やる気なさそうな感じ。
いつもため息ばかりついてだるそうにしている。
「・・・・おぃ、山野~?」
教室を一通り見まわしてからこちらを見て話しかけてきた。
「・・・はぁぁぁ・・・おまえなぁ、誘拐は犯罪だぞ?」
「へ?」
「だいたい、攫った子供つれて学校来るとか・・・はぁぁぁ・・・」
「ちょ!何言ってるんですか!!!」
「その幼女!」
「ちっがーーーーう!!」
思わず叫んだ。
「・・・はぁぁぁ・・・」
だからため息やめい、残念な奴見る目も!
「・・・せんせい・・・」
隣の幼女が手を挙げてた。
「・・・ん?」
「・・・ワタシ、誘拐された幼女ちがう・・・深山美々。・・・一応。クラスメイト」
「・・・・あれ?そうだっけ?」
「・・・そう、そして・・・弓弦の妻・・・・ぽっ」
「ちょっとまてーい!」
何言ってんのよ、この幼女!!
「・・・・・山野・・・・」
山友先生の冷たい視線・・・・
「はぁぁぁ・・・とりあえず爆発しとけ。んじゃ授業はじめるぞ~」
「さらっと流すな!!違うから!!」
「・・・はぁぁぁ・・・うっさいなぁ・・・おぃ、深山ぁ、旦那黙らせろ!」
「だから旦那じゃない!」
「・・・らじゃ・・・」
トテトテと寄ってきた深山。そのまま顔を抑えられ・・・キスされた。
「むぐっ!」
さらに首の後ろに手をまわしてきて抱きしめられる。
「むぐぐっ!!」
抱きしめられるっていうか・・・これ、首、しまってる・・・
そのまま意識飛んだ。
「・・・任務完了・・・」
「おっし、授業つづけるぞ~」
薄れゆく意識の中で思う・・・
誰か、俺の心配してくれよ・・・
結局、この日は授業の内容が一切頭に入ってこなかった。
まぁ前半は気絶してたし。
後半は・・・何故か膝の上に座る美々。状況が全く理解できず、授業どころじゃなかった。
昼休になり膝から降りた深山。
「・・・・ちょっと・・・・付いてきて。」
そう言って袖口をつかんで歩き出す。
とりあえず深山に連れられ廊下に出た。袖口を掴んだままトテトテと歩く深山。
・・・なんか、周りの視線が痛い。ひそひそ話声も聞こえる・・・
一旦、校舎から離れ「部活棟」と呼ばれる建物に入る。
そのままずんずん進み、4階の一番奥の部屋に入った。
「・・・ここ、ワタシの研究室。その辺、適当に座って・・・」
言われるままに近くのベッドに腰掛ける。
・・・何でベッドがあるのか疑問ではあるが・・・
部屋の中にはこのベッドの他に、事務用の机3つ分くらいある大きめの机、
机の上にはキーボード2台、切替器?みたいなのと雑然と積み上げられた書類の束と何やら難しそうな本、
足元にはかなり大き目なパソコン?みたいなのが4〜5台。
天井から吊り下げられた横に五つ、縦に二段の大きなモニター。
壁際には小さめのシンク。簡単な調理は出来そう。
それに冷蔵庫とか・・・ここで生活出来るな。
シンク前の踏み台・・・ちっちゃいから届かないっぽい。かわいいな・・・にのって
手慣れた手つきでコーヒーを入れてくれた。
運ぶ時、お盆に載せて運ぶ姿が危なっかしくてちょっとハラハラした。
「・・・昨日はあぶなかった。」
コーヒーで落ち着いたところで深山が話しはじめた。
「・・・山野君は・・・ワタシが守る・・・から・・・」
「ごめん、状況も理解できてないし、何のこと言ってるのかもよくわからないんだが・・・」
「・・・・」
少しの沈黙の後に信じられない話を深山は話しはじめた。
「・・・・山野君の・・・精子が狙われている。」
「・・・・へ?」
なんだよ、そのSFエロゲ的な展開は・・・
「・・・緊急連絡網って知ってる?」
「あぁ、あのどこの学校にでもある電話で緊急のお知らせとか伝える・・・伝言ゲームみたいなやつだろ?」
「ん・・・あれに三日前、暗示?というか・・・魔法・・・が流された。」
「・・・すまん、またわからん。なんだよ魔法って」
「ん~・・・この場合、強力な催眠術・・・とでも思っておけばいい・・・」
「・・・・・」
「『山野弓弦の精子を搾り取れ』と言う内容で・・・連絡網で・・・」
「連絡する内容、おかしすぎるだろ!!」
「・・・伝染性の付与された魔法・・・だったので一晩でクラスじゅうの女子に伝わった。」
「現実離れし過ぎてると思うんだが・・・」
「・・・でも、魔法は発動した。・・・その証拠が・・・昨日の川口・・・」
「・・・・・」
「・・・発動条件はいくつかあるみたいだけど・・・そのうちのひとつが『一対一にならない事』」
「・・・・・あれ?」
ふと疑問・・・今の状況、深山と一対一じゃね?
「・・・どうした?・・・」
「連絡網って・・・お前も受け取ったんじゃねぇの?」
「・・・ん。確かに。・・・でも、あんなのワタシには効かない。」
「・・・何を根拠に・・・?」
「・・・ワタシの携帯、そういう魔術とかブロック出来るように作ったから。」
そんなことできるのかよ・・・
感想で誤字を指摘して頂きましたので早速直しました。あちゃぁ、またやらかしたかぁ・・・IMEまっさらからやってるから誤変換とか多いなぁ・・・と思いつつも、ちゃんと見てくれてる人いるんだなっと嬉しかったり。実は初めてなんですよね、こういう風に指摘してもらったのって。ブックマークとか、評価とかもうれしいけど直接コメントがあるってこんなにうれしいとは思わなかった。ありがとうございました。
(゜Д゜)ノ