表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

逃げて決戦


 次が多分最終話かな、と思います。


 胎動する紫の壁に、大型モンスターが群雄闊歩するさまは、今までの魔王ダンジョンと同じ。


 しかし、今回ぼくが出た所は違う所だった。


 巨人のモンスターはおらず、変わりに、ドラゴンのようなモンスターがたくさんいる。


 前腕部が翼の飛竜(ワイバーン)に、体のところどころが燃えている炎龍(サラマンダー)。そして、腕が一切ない、神龍みたいな緑色の龍。


 他にも龍がたくさん。


 もうやだ。


 帰りたい。


 しかも。


 炎龍と目が合った。


 きえぇぇぇぇぇえ!


 こら! 鳴き声あげるな! ほら、他の龍にも気付かれちゃったじゃないか……。


 炎龍があげた鳴き声により、周りにいた全部の龍がこちらを向いて。


「ぎやぁぁぁぁAaaaAaaアアアァァぁああAAあAAああAaa!」


 ぼくは、逃げ出した。


 相変わらず選択肢は逃げる一択さ☆


 足元で炎の塊が()ぜる。


 それをジャンプしてかわすが、ジャンプした先には神龍の口。


 スキル???を発動すると、空中で体が捻られ、神龍の口の横ギリギリを通過して、地面に着地する。


 着地の勢いそのままに、龍達(ドラゴンズ)に背を向けて、走る。


 ピィィィィィイイイイイイィイィィイ!


 鳴き声と共に、飛竜(ワイバーン)が突っ込んでくる。


 膝を抱えて横に飛ぶ事でそれを回避、地面に転がる。


 ゾクッ


 背筋を粟立たせる怖気を感じ、その場から転がる。


 転がって起き上がるついでにぼくのもといた場所を見やると、そこには氷柱が出来ていた。


 白龍(スノードラゴン)までいますか……。


 死にたくない! それだけを心のよりどころに、ぼくは走る。


 ときに樹龍(フェアリードラゴン)(つた)のムチをかわし、ときに雷光龍(ライジングドラゴン)の雷を地面に転がって避けたりしつつ、ぼくは走り続けた。


 すると。


 知らないあいだに、魔王の間に閉じ込められていた。


『よくぞここまで来たな、小童(こわっぱ)よ! 「ピイイィィィィィイイィィ!」れがたかが小「キエェェェェエエエ!」う! だがハンデは「クルィィィィィイィイ!」さあ! かかって「キシャアアァァァッァアアアァア!」 先手は貴様にや「うわああああああぁぁぁあああわっわwぁああ!」!』


 魔王の言葉なんて聞いている余裕無かった。魔王が気の毒だ……。


 でも、ぼくにも悠長に魔王の言葉を聞いている余裕が無かった。


 なぜかって? そんなの見たら分かるだろう? 総勢三十くらいの龍達(ドラゴンズ)に襲われてるんだよ!


 毒龍(ポイズンドラゴン)の毒の霧をよけて、魔王の後ろに駆け込む。


 魔王の大きさは大体七メートルくらい。龍で比べると炎龍(サラマンダー)と同じくらい。


 魔王は確か、先手は譲る、といったはずだ。


 ならば、遠慮なく貰っちゃってください。


 三十もの龍の攻撃全部をね!


魔王リーストガリア HP13902/56000 MP∞ At4090 De2010 Sp480


 うわ、HP超減ってる!


 龍達すごい。


『ぬう、なかなかやるな(キシャァッァァア)小童(こわっぱ)! 我からもいかせて貰うぞ(ピエェェェェエエエエ)!」


 ドラゴンの声が被っているが、今度は魔王の下にいる為に、かろうじて声が聞き取れる。


 魔王が魔法を詠唱。


 闇色の塊がうまれ、ぼくに真正面から突っ込んでくる。


 確実にぼくより大きいそれを、地面との差約三十センチのところをスライディングで潜り抜けた。


 闇の塊は魔王の足に命中。


 魔王のHPが減少する。


 これはもしかしたら倒せるんじゃない? と、一瞬足を止めたのがいけなかった。


 ぼくの元に龍達の攻撃が集中する。


 まず一番に飛び込んできたのは飛竜(ワイバーン)


 こいつの攻撃は体当たり主体。自身のスピードに任せて突っ込んでくる。


 スキル???を発動し、膝を抱えてて前方に飛び、着地する。飛竜の頭の上に。


 そのまま飛竜の翼を掴み、振り落とされないように力をこめる。


 この手が離れたらぼくは死ぬんだ。


 そう思った。


          ☆☆☆


「よっ! ほっ!」


 飛竜の操作方法を覚えた。


 右の翼を掴んで動きを止めれば、右に曲がる。


 左を掴むと反対に。


 依然飛竜はぼくをふりおとそうと必死だが、ぼくも命がかかっている。必死なんだ。



 魔王の残りHPは3092/56000。


 龍達の攻撃は、開始当初より魔王に当たる事はなくなったものの、それでもぼくの飛竜さばきで、着々とHPを減らしていく。


 と。


『我、この世界の(ことわり)を改変する。光と闇を繋ぎ、世界を闇の支配化に、光は死に絶える―――』


 魔王が魔法の詠唱を始める。


『そして残った世界には、光の傷跡が残り、人々は闇に恐れおののく―――』


 待って! なんか超強そうな魔法が来た!


『神々よ、我は代償に魂を払わん。この身はてようと、世界を光の名の下の正義という傲慢(ごうまん)から解き放とう―――』


 魔王の声が滔々(とうとう)ととつむがれ続ける。


 何故魔王の声がこうもはっきりと聞こえるのか。


 飛竜の体の上から、眼下を見下ろして分かった。


 龍が動きを止めている。


 飛竜でさえも、今は空中で旋回しているだけでぼくを振り落とそうとしない。


『|《深淵に戻す魔法》《アビス・リターンズ・マジック》!』


 この東京ドームと同じくらいの大きさの魔王の間の光源(紫や黄色、赤の水晶)が光を失う。


 そして、今度は床が光を放ち始める。


 光としては明らかにおかしい黒い光。


 水晶は光を失い、大地は漆黒に輝く。


 ヤバイにおいがする……。


 下手すりゃ龍達もろともぼくも死ぬ。


 死にたくない。ぼくは再度そう思った。


 そして。


 黒の輝きが最高潮に達した時、光が凄い速度でせりあがり始めた。


 魔王をのみ込んで。炎龍ものみ込んで。樹龍ものみ込んで。雷光龍も毒龍も白龍も黒龍も―――


 全てを巻き込んで、黒い光は輝き続ける。


 当たれば即死の光。


 「死にたくない」から「死ぬわけにはいかない」、に認識が変わる。


 ぼくは呆けていた頭を振り、考える。


 現在、龍達を飲み込んだ部分に穴が空いている黒い光は高さが100メートルくらいにいるぼく――と飛竜――に迫ってくる。


「ぼくと一緒にあの黒い光に巻き込まれて死ぬか、それとも二人一緒に逃げ延びるのか、どっちがいい?」


 通じるかどうかは分からないが、飛竜に叫ぶ。


 ピェェェェエエェェエ!


 飛竜は一声鳴くと、ぼくの目を見て、頷くような仕草をする。


 そして、黒い光にあいた穴の中、死の待ち受ける場所へと、飛び込んだ。


          ☆☆☆


 結果、ぼくと飛竜は死ななかった。


 穴に入る で正解だったのだ。


 黒い光に空いた穴を下まで飛んでいくと、黒の光に身を焦がす龍がいた。


 この龍のおかげでぼくと飛竜は助かっているのだ。


 軽く黙祷。


 そして漆黒の光はせりあがりきって。


 唐突に光は消えた。


 後に残ったのは、ぼくと飛竜と。そして、魔王。


 水晶がまた光を放ち始める。


 魔王のHPは残り1。


 代償に魂を払うとか言ってたんだ、当たり前か。


 しかし、あと一が減らせない。


 なぜなら。


 ぼくにはもとより逃げるしか選択肢がなく、飛竜(ワイバーン)には体当たりしかない。


 魔王は瘴気を放っており、ぶつかったらダメージを喰らいそうだ。


「ねえ、ぼくにまだ見せてない技とかないの?」


 飛竜に聞くと、飛竜が若干笑ったようにぼくは感じた。確かにぼくは飛竜の笑い声を聞いたんだ。


 コォォォォぁあぁぁッァアアアアアッッ!!!


 飛竜の口元に気流が渦巻き、それが放たれた。


 技名を確認すると、飛竜の息吹(ワイバーンブレス)となっている。


飛竜の息吹(ワイバーンブレス)《暴風を擬似的に作り出し、敵にぶつける事で対象を切り刻む凶悪な魔法》


 それは、魔王であって魔王でない魔王の抜け殻を吹き飛ばし、魔王を倒した。









              「ぼくの、いや、ぼく達の勝利だ!」




 やっと魔王討伐だ!


 勝ったぜ!


 次で終わらせます、多分。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ