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逃げるだけ

 すいません、今少しずつ改訂中につき、途中でガラッと文体が変わります。


 (ここまでの改訂終了)と書かれているところまでが改訂終了したところです。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。

「ギャああああAAAAあああぁぁぁっぁぁぁあああああAAAAAA!!!!!」


 周りを囲む壁が薄紫に発光する、地下ダンジョン。そこに気づいたら迷い込んでいたぼくは、棍棒を持った人型の巨大モンスターに追いかけまわされていた。

 ゲームを始めたばかりで、右も左もわからない状態でここに迷い込んでしまったぼくのレベルは1。見る限り巨人は400くらいありそう。


 ぎゃー。甲高い悲鳴が思わず口から漏れる。


 いったいどうしてこうなった! 悪いのはぼくなのか!?

 時間はさかのぼる!


 ――――――――


 ――――――


 ――――


 ――


「このゲームはボクがのっとりました。あなた達は、このゲームがクリアされるまでログアウトすることが出来ません。そして、このゲームでのログアウトはげんじつせかいでの死につながります。どうやって殺すかなんて細かい事は気にしてはいけません。だって死んだらかんけいないんですから」


 大型VRMMORPG(いわゆる仮想空間のRPG世界に入り込んでゲームするアレ)『Magic and Sword Online』にログインして早々、『始まりの街』だか言うエリアで初期装備の確認と、走ったり跳ねたり跳んだり、アバターの動きを堪能していたら、唐突に動けなくなった。まるで時間が停止したかのように。

 どうやら、動けなくなったのはぼくだけではないようでほかのアバターも、ノンプレイヤーキャラクター――NPCでさえも、この世界にあるものすべてが動きを止めていた。

 そして脳内に響いてきたのがこの声だ。


 はあ? これって、ですげーむ……ってやつですか?


 

 デスゲームについては知っている。クラスの柳沢くんが、VRゲームが発売されることが決定した日からずっと教室で声高に話続けていたからだ。

 曰く、意識没入型ゲーム、VRゲームに閉じ込められて、そこでのゲームオーバーすなわち死、という究極のゲームのこと。

 曰く、『Magic and Sword Online』はデスゲーム化するという噂がある。

 らしい。


 これを毎日誰彼構わず登校してきた生徒たちに言うもんだから「柳沢はなぁ……死遊戯(デスゲーム)教の信者なんだ……!」がぼくたちの学校の、今年の流行語大賞候補にノミネートされているし、それに彼があんまりにも言うもんだから、気になって買った、という人もたくさんいる。

 かくいう僕だってその一人だ。


 もちろんデスゲーム云々について信じているわけではない。

 そんなもんあるわけない。

 ぼく含めクラスのみんながそう思っていた。



 怖いかと聞かれれば、そうかもしれない。

 しかし、それをはるかに凌駕する感情が僕の胸の内を占めていた。

 正直、まだデスゲームなんて信じていなかったのかもしれない。


 だから。

 身の程知らずにも。

 右も左もわからないズブの素人であるぼくが、「デスゲームキター!」と叫んで走り出した集団について行ってしまったのは。

 失策以外の何者でもなかった。


 もう少し考えて、始まりの街の宿で震えるプレイヤーたちのお仲間になっていたほうが僕にとっては良かったのだ、きっと。


          ☆☆☆


 先立つ物は装備品及びアイテム、さしあたっては金!

 金を稼ぐには、確かフィールドに無制限……ポップ……? するモンスターとやらを倒せばいいらしい。それは柳沢くんから聞いた。

 それでぼくは、どこかへ行くわけでもなくフラフラしている。

 ちなみに、デスゲームキター、と叫んで駆けていった人たちとは、とっくにはぐれた。


 と、早速低級モンスターでありRPG中の定番らしい、スライムが現れた。


 よし! 初バトルだ! 気張っていこう!

 と意気込んでみたものの、どうやって戦えばいいのかがわからない。


 周りを見渡してみても、広がっているのは時折吹く微風に揺れる、膝くらいまでの萌黄色の草が生える草原だけで、近くにプレイヤーもいなかった。普通に殴ったり蹴ったりすればいいのかな? と、とりあえず青紫色の、近くで見るとかなり綺麗なスライムに近寄ってみる。


====


『チュートリアル①:モンスターとの戦い方』


 フィールドに無限に湧出するモンスターたちと遭遇してしまったときの戦い方を説明します。


・コマンドの選択


 モンスターと戦いたいけど特に武道をやってるわけじゃないし、どうすればいい? と思うかもしれません。

 そんなときは、モンスターの右斜め上に浮かんでいる表示枠を見てください。


 コマンド

 △戦う

 逃げる

 スキル

 道具

 その他


 その中から、戦う、を選択してみましょう。


====


 ぼくの目の前に表示枠が現れたので、読む。


 ふむなるほど、こうやって戦うのか。


====


 コマンド

 △戦う→△殴る

     蹴る

  頭突き

  逃げる

  スキル

  道具

  その他


 それでは、殴るを選択します。


 こうやって選択すれば、敵モンスターが自分の攻撃が当たる範囲(リーチ)の中にいる時に、自動的に発動され、完璧なフォームで技が発動されます。

 それでは、実際にスライムの近くまで行ってください。


====


 五メートルくらいだった距離を一、二メートルにまで詰める。


 すると、ガクン、とジェットコースターの天辺のあの感覚を感じたかと思うと、自分の体が高速で動いた。


「きゃっ!?」


 つい、口から悲鳴が漏れるのも致し方あるまい。いや、本当に驚いたんだって。

 産まれてこのかた武道なんて嗜んだことはないし、運動神経が決していい方ではないぼくが、ヤンキー漫画みたいに綺麗なフォームで右ストレートを放っていたのだから。


 そしてぼくの拳を顔面(?)に受けたスライムは、ビチャビチャ、という音を立てて飛び散った。うぇぇ……。


====


 このように、モンスターと戦う時には、システムのアシストによってより戦いやすくなるようになります。なれないうちは、システムアシストを使うのも良いでしょう。

 このコマンドは、いま自分が何を装備、また何を持っているかによって変化します。いろいろ試してみるのも楽しいでしょう。


 また、システムアシストでの攻撃は固定ダメージですが、システムアシストに頼らない攻撃の場合はモンスターへ攻撃がヒットした場所、力の入れ具合によって攻撃力が変化します。

 少しずつシステムアシストを使わない戦い方にも慣れましょう。


 チュートリアル①:モンスターとの戦い方(完了)

====


 ベタベタするスライムを全身に浴びたのも一瞬で、すぐにスライムの残骸は光の粒子に分解されて、消えた。 

 ちょっと口に入った。うぇ……。



          ☆☆☆


 苦い思い出のあるスライムとは絶対に戦わないぞ! と無駄に決心してフィールドを駆けずり回っていると、見るからに気持ち悪い豚の顔をした人間? みたいなのに出会った。

 モンスターに視線を合わせると表示される名前は「ポークマン」。きっと序盤だからという理由で手を抜かれたに違いない。


 ついでに、モンスターを倒したことで解放された新機能「モンスターの生態」を発動、対象を「ポークマン」に。


==

・ポークマン

 名前考えるのめんどくさかった。あとここも。どうせこんなところ見るようなスキモノなんて少数だろうし、適当で良いと思うんすよ、どうでしょうか部長?

 あー、良いんじゃないですか?

 じゃあ適当に書きますねー。ブタです。

==


「なんで会話してるし! てか投げやりすぎるでしょ!」


 ブタです、って! なんで説明よりあんたらの会話文の方が長いんだ! 

 思わず声を荒げて突っ込んでしまった。


「ブルモォォォォ?」


 あー、気づかれちゃったみたい。



 気を取り直して、と。コマンドを選択。



 コマンド

 △逃げる

 スキル



 故障かな。戦うのコマンドと道具、その他のコマンドが無い。


 気を取り直して、一度コマンドを消す。そして、もう一度コマンドを開いてみた。



 コマンド

 △逃げる

 スキル



 そうだ、きっと見間違いに違いない。



 コマンド

 △逃げる

 スキル



 あ、あれかも。まだ最初の方だし、チュートリアルかなんかで、逃げるしか選べないのかもしれない。

 なんだ焦ったじゃんか。


 びっくりさせないでよ、もう。


 一度ポークマンから逃げる。

 そして、さっきから割かし近くに来てポークマンを狩っていた魔術師風のプレイヤーに話しかける。


「コマンドで逃げる以外の選択肢ってもうでますか?」

「? 最初からずっと出てますよ? 特になんかしたわけでもありませんし、みんな出てるんじゃないですか?」

「そうですか。ありがとうございます」


 えーっと。

 つまりアレだ。

 ぼくだけみたいだな、逃げる一択なの。


 バグか。

 妙に落ち着いた頭で、そう思った。

 いや、現実問題どうするの。


 戦えないよ。

 逃げる一択だもの。


 とりあえず一回街に戻ろう、と来た道を引き返す。

 ゲームというものは往々にして、各フィールドは個別に存在しており、それぞれが独立した空間である。つながっているように見えても、実際は境目のところでつながるように設定されているフィールドに過ぎない、と、VRMMO教教祖様である柳沢くんが言っていた。


 ぼくがなぜそんなことを思い出したかというと、なのだけど。

 

 ぼくが草原と街の境目を通り過ぎようとした時――――


                        ――――目の前が真っ暗になったからだ。


          ☆☆☆


 高いところから落ち続けるような感覚が数瞬。


 辿り着いた所は――――


     ―――大型モンスターが群雄割拠する、地下ダンジョンでした。


 なんと、バグはここまで深刻らしい。

 フィールド移動が本来行くべき場所に繋がらない。

 どんな無理ゲーですか。


「ぐるるるぉおおぁぁぁぁあアあAAaaアAAアアAA!」


 鳴き声は後ろから。

 恐る恐る振り向くと、そこには巨人モンスターがいて―――そして冒頭に戻る。



「ギャああああAAAAあああぁぁぁっぁぁぁあああああAAAAAA!!」


 周りを囲む壁が薄紫に発光する、地下ダンジョン。そこに気づいたら迷い込んでいたぼくは、棍棒を持った人型の巨大モンスターに追いかけまわされていた。

 ゲームを始めたばかりで、右も左もわからない状態でここに迷い込んでしまったぼくのレベルは1。見る限り巨人は400くらいありそう。


「うにゃぁぁぁぁ!?」

 

 甲高い悲鳴が思わず口から漏れる。


 依然として、ぼくのコマンドには逃げるとスキルしか表示されていない。

 走り続けていると、目の前に壁が現れた。行き止まりだ!?


 慌てて振り返って、巨人の振り回す棍棒を潜り抜け、背中の方へ回ろうとする。

 一撃目。間一髪かわす。目の前を棍棒が掠めていった。


 しかし、二撃目で、髪の毛に棍棒が当たりかける。……あぶない! マジで死んじゃう! 一撃死とかありえない! 


 三撃目は上から下に振り下ろす一撃。

 難なくかわすものの、棍棒を振り下ろした衝撃で、足元がぐらついた。


 やばい! 逃げられないかもしれない!

 脳裏に、一人目の犠牲者とかそんな言葉がよぎった。


 迫り来る棍棒を目の前に、死にたく無い、と、そう思った。


          ☆☆☆


 結果から言うと、死ななかった。

 巨人の棍棒がぼくに命中する――と思われた瞬間、コマンドのスキルがまるで「自分を選べ」とでも言うかのように発光したので、中にあったスキルを見もしないで発動したのだ。

 するとスキル???が発動した。名前は文字化けして読めないが、効果は敵の攻撃が当たりそうになった時に、間一髪でかわす事ができる。だと思う。多分。

 説明も文字化けしている為読めない。

 そして巨人を振り切って通路を進み続けると――



 魔王の間に出た。



 いや、だからどんな無理ゲー?

 「ゲームオーバー=現実世界での死」の等式が成り立つこのゲームで、LV1で魔王と遭遇って何!?


 死ねってか!? そうか!? 死ねってか!?

 魔王と戦ったら流石に逃げられそうに無いので、魔王の間のすぐ横にある階段をのぼる。

 ……こんな所に親切設計が! こんなん作るならバグ(選択肢逃げる一択+フィールドが上手く繋がっていない)直してよ!


 階段をのぼりきると、最初の原っぱに出た!

 帰ってきたよ、ぼく! と無駄に感慨を噛み締める。


 

 その後、何度試してみても、ぼくは街に入ることが出来なかった。

 どれだけやってもあの魔王のいるダンジョンに出てしまうのだ。しかも調べることにはあの魔王、ラスボスで、あれ倒したら全クリア。

 ま、攻撃できない僕には関係の無い話だね(ふんっ!)。

 そして、モンスターがいるフィールドしか行く事ができない(どの街に入ろうとしても、魔王ダンジョンに遭難)僕は、ふらふらフラフラと、あてども無くフィールドを歩いた。 

==

・スライム

 えっと、ここって何書けばいいんすか、部長?

 知らないよ。モンスターの説明っつってんだから説明書けばいいんじゃないんですか?

 えーなに、スライム? こんな感じ?

 1.ホウ砂の4%水溶液を作る。ホウ砂は薬局等で眼の消毒薬として粉末で入手できる。20℃の水に対する溶解度は4.7g/100g。

【注意】ホウ砂には毒性があり、多量に(5g -)飲むと嘔吐や下痢を起こす場合がある。

2.主成分がPVAの洗濯糊(通常、PVAの10%水溶液)と水を2:3の割合で混ぜ、PVAの4%水溶液を作る。このとき冷水ではなく熱湯を使うと次の反応がうまくいきやすい。

3.2を撹拌しながら、1の水溶液を少しずつ混ぜる(容積比10:1程度)。

4.べとつかなくなるまでよくこねる。

 あー、そうそう、なんかそんなんですよ。

==


「長い上にスライムの作成方法!? しかもこれおもちゃの(・・・・・)スライムの作り方……だよね!?」



――――――――――


 スライムの作り方について参考にしたのは、wiki先生です。


 (ここまでの改訂終了)

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