運命の輪・・・・
事務所に戻ったひろみを上司が詠んだ・
「田中くん・・・今年のKプロジェクトに君を推薦したから・・・」
上司はにこやかに言った。
Kプロジェクト
これは、社内で、いくつかのチームに別れ、3ヶ月間で一定の改善を行い、会社に貢献するものであった。
「Kプロジェクトですか?・・・」
ひろみは思わず呟いた。
「今年は、君の番だから・・・それとプロジェクトリーダーは、中村係長だ・・・」
ひろみは、愕然とした・・・
さっき、大嫌いと言ってしまった
あの中村さん?・・・
「まぁ、がんばって・・ 早速で悪いが、今日の15:00からミーティングが第3会議室であるそうだ。」
上司は、去って行った。
ひろみは、ふらふらしながら、自分の席に着いて、ため息をついた。
「田中さん、大丈夫ですか?なにか、あったんですか?」
後輩の村瀬が聞いてきた
「いや、なんでもない。大丈夫 」
そう答えたひろみだったが内心は
”どうしよう”
その言葉でいっぱいになっていた。
村瀬は、やはり様子がおかしいと思ったらしく・・・
「田中さん、やはり、朝からおかしいですよ・・・ひょっとして・・・」
ひろみは、思いっきり怒りたかったが、
「そうあれ・・よ。それにKプロに選ばれたから・・・ちょっと、気が重て・・・」
「すごいじゃないですか。がんばって、今年こそ、グランプリをとってくださいね・」
そう、毎年、ひろみが参加するチームは2位とまりだった。
「いつも勝つところ決まってるから・・」
去年も大塚がいる部署がグランプリだった。
そろそろ15時か
行かなきゃ・・
ひろみは、重い足取りで、第3会議室に行った。
第3会議室には、各部署から計6名集まって会議が始まった。
まず、中村が立ち上がり、挨拶を行った。
「皆さん、今年もKプロがはじまります。お互い短い期間ですが、がんばりましょう。今回、リーダをおおせつかった中村です。よろしく・・そこで簡単ですが。皆さんの自己紹介を行ってください。」
「藪です。」
男は、藪と山中・藤井・リーダ中村・・・
そして女は
宮部と田中
計6名で構成されていた。
それぞれの自己紹介が終わり・・
横から
「あの~ 田中さん・・」
と声がする
「あっ・・・すみません・・田中です・・・」
ひろみは簡単に挨拶を済ませた。
最後に、中村が
「われわれは、毎年、改善を主にやってきました。ほかの部署も同様です。しかし、技術面や効率面でどうしても、他部署には、劣ってしまいます。ですから、今年は、モチベーションを上げる改善を行いたいと考えています。・・・皆さんも、ご協力をお願いします。あっ・・この後、軽く顔合わせの会があります18:00に五右衛門で予約していますので、来てください。」
そう説明して会議は、簡単に終わった。
会議室を片付ける最中ボーっとしているひろみ
それを見つけた中村が声をかけた。
「田中さん・・」
中村の方を見るひろみ・・・
「田中さん・・・私は、気にしていないですよ。・・・」
「えっ・・・」
ひろみは中村を見上げた。
「仕事は、仕事でしょ?」
ひろみは、答えることができなかった。
「ところで、教えてほしいんだ、嫌われている理由・・・やはり服装?・・」
そんなのきまってるじゃない・・ひろみがそう思っていると
「オタクぽいところ・・・」
ひろみは思わずポロッと言ってしまった。
「すみません・・・つい」
「本音が・・・ですか?」
中村が聞き返してきた、ひろみは、やばいと思った。
しかし
中村の返事は、意外なものだった。
「う~ん。何度、同じ台詞で振られたことやら。」
その光景を見て
ひろみは、緊張の糸がきれ、少し笑顔が出た。
その笑顔を見て中村が笑いながら
「あっ、いいねぇ、その笑顔・・・」
「それは、どういう意味ですか?」
「さっきまで、暗かったから、本当に大丈夫かと思って・・ところで、もし、俺がかっこよくなったら、モチベーションはあがるかな?田中さんも宮部さんも・・・」
中村が聞いてきた。
「やってみないと、わからないど・・・」
ひろみは、半分以上無駄無駄!!と思っていた。
「じゃぁ、やってみて、わからないけど、まずリーダを変えようということを居酒屋で言ってくれないか?」
中村が頼んできた。
ひろみは、あいつが、恥をかくだけだし・・・と思い承諾した
「いいわよ」




