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1-5. 見習い女官、一人前の女官になる


次章からは、あの美貌の役人とのその後について触れていきます(*´ヮ`*)






朝を告げる鳥の声が王都のあちこちに響き渡り、メイメイはうんとのびをした。

今日も仕事だ。




王都に来てかれこれもう数か月が経った。

初めて出仕したときに浴びた柔らかな日差しが日に日にじりりと強くなり、空気は熱を帯びている。

 

その月日の分だけ前進し、メイメイは先日、ついに女官として独り立ちを迎えた。

 

新入りは三か月ほどの実務習得期間を経ると、よほどのことがない限り一人前と見なされる。

メイメイには王族居住区侵入事件(よほどのこと)があったものの、その後は彼女なりに頑張ったのだ。

 

 


見習い期間を修了する際には、二つの試験があった。

 

一つ目は、宮廷知識についての試験。

同期一同が集められ、無作為に当てられては答える方式だ。

 

「現在宮廷にお住まいの王族の方と最高位の文官、それぞれの人数とご衣装の基色は? ……メイメイさん」


「は、はいっ! えっと、王族の方は四名で濃い紫、最高位の文官は五名で、薄い紫色です!」


よりにもよって最初に当てられたメイメイは、一瞬鼓動を跳ねさせてから、たどたどしく回答をする。

勉強は案外楽しく自信はあったもの、さすがに緊張したのだ。


「よろしい。続いてアンリさん、王族の方の各尊称は?」


「はい、まず国王陛下は……」


続いてはさすがのアンリで、とても滑らかに正しい答えを述べた。

回答が済むとさりげなくこちらを振り向いて笑いかけられ、二人で安堵の目配せを交わす。


その後もこんな調子で続き、メイメイたちは無事試験を終えた。

昇級試験は書面で一人ずつ行うらしいので、なぜ見習いだけ集団かつ口頭なのかは謎に包まれている。



二つ目は、実務の習熟度を確認する試験。

こちらは個別で、メイメイの指定された実務は清掃作業だった。


一人で道具を用意し、指定された部屋を掃除し、控えの間に戻るという一連の作業は、なんとか不備なく完遂した。


「た、ただいま戻りました!」


「メイメイ……! お疲れ様、立派よ……」


試験を終えて控えの間に戻ると、メイメイはその場にいた仲間たちから拍手で迎えられた。

年齢だってそう変わらないのに、次第に親のように接してくれるようになった彼女らである。


一般的な社会活動や人付き合いについて、心境的にはまだつかまり立ちを覚えた赤子のようなものなので、とても助かっている。



そんなこんなを乗り越えて、無事正式な女官と認定されるに至ったというわけだ。

見習いの時はできなかった帯への刺繍も可能になり、しばらくは女官服に着替えるたびにほくほくと嬉しい気分になったものである。

 






その後メイメイは衛生課に配属され、今は実務専任の下級使用人をまとめる立場を任されている。

 

基本的に過ごす場所は、あの事件のきっかけとなった洗濯小屋の隣の棟だ。

もちろん、今は迷わずにたどり着くことができる。

 

 

「メイメイさん、白鳥棟の清掃終わりましたよ」

 

「し、白鳥棟(しらとりとう)……。ああ、東側の建物ですね。お疲れ様でした!」


使用人らが控えに戻ってくると、メイメイは地図や備品の一覧とにらめっこをしながら、次やるべきことを考える。


「あとは……、ええと、昨日洗濯小屋の外れかけていた入り口の扉を直してもらったので、周りが散らかっているかもしれません。そこを少しきれいにして、備品の確認をしてもらったら、今日はこれで終わりです!」


そうして拙く依頼をかけると、了解、と明るく請け負う声が返ってきた。


(今回はなかなか的確にお願いできたんじゃないかな……!)


メイメイが内心少し喜んでいると、彼らも和気あいあいと話し出す。

 


「ようやくあの扉直してもらえたんだね! 長いこと建て付け悪かったから嬉しいなぁ」

 

「開けるのにコツがいる扉なんて、とんだ欠陥品よ。……それにしてもメイメイさん、慣れてきたわねぇ。もう立派な女官さんじゃない」

 

「えー、本当ですか? 嬉しいです! でも、まだ建物の名前が全然覚えられていないので、今も復習していたんですよ」

 

「それはその内勝手に頭の中に入ってくるから大丈夫だよ。……それじゃあ、行ってきます」

 

「お気をつけてー!」


 

メイメイが受け持つ人たちも、とても優しい。


最初の頃は、頼りないところばかりを見せてしまい困惑させていたが、かえって庇護欲をかき立ててしまったようだ。

今は、メイメイが困っているとよく手助けしてくれる。


(皆さん、同じ年頃のお子さんがいるみたいだから、なおさら親身になってくれるのかも。見守る目が、昔からわたしを知っている領民たちのように穏やかだもの……)


 


さすがのメイメイも、このように恵まれた環境で数か月も過ごしていれば人にも慣れ始め、仕事の合間におしゃべりを楽しめるくらいの余裕も生まれてきた。

 

 

「まさか副教育官まで親衛隊入りするなんてね! 全然興味を持っているようには見えなかったのに」

 

「あはは、でもあの方って前からそんな感じらしいよ? だってこの間も――……」


一般女官専用のこぢんまりした控え室は、たいてい明るい笑い声で満ちている。

いっとう盛り上がる話題は、高位貴族の噂話や、ちょっとした秘密の打ち明け話だ。


時に明け透けな言葉で交わされる会話は特別な仲間意識を育み、その場にいるだけでも楽しい。



 

親切な人に囲まれてなんだかんだ楽しい日々を送っているよと手紙に書いたら、両親もとても喜んでくれた。


こうして今日もメイメイは、順調に宮廷生活を営んでいるのであった。





2026/4/1 一部修正いたしました!


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― 新着の感想 ―
あまり年齢の変わらない子たちから親のような視線を向けられるメイメイちゃん。 先輩がたの庇護欲をかきたてるメイメイちゃん。 きっと彼女の人柄が周囲をそうさせるのでしょうね(*´艸`) 最初は少し危なっか…
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