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21.令和22年2月7日 午後11時16分

ターゲットを選定するにあたり、まず初めに思い当たったのは、自殺志願者が集まるコミュニティだった。

掲示板、SNS、どこかに必ず、助けを求める声があると確信していたからだ。

だが、実際にその場所に足を踏み入れてみると、すぐに違和感を感じた。

私は「生」を感じることができなかった。


そこに集まるのは、どこか虚無に染まった者たちばかりだった。

「死にたい」「一緒に終わらせよう」という言葉が並ぶ中、その言葉の重みは空虚で、どこか生ぬるい。

彼らは、自分の死を本気で求めているわけではない。

ただ、死という言葉に縛られて、無力に生きることを止めているだけだ。

目の前に広がるのは、ただの無気力な存在でしかない。


私は思う。

「どうしてこんなにも力を抜いているのか?」

生きている者として、死に対してこんなにも無感覚でいられるものだろうか。

彼らには、生が欠けている。


私は、この場にいる「ヒト科の生き物」たちを、どこか遠くで冷めた目で見つめていた。

手を伸ばしても、触れることすら無意味だ。

彼らに、何の興奮も、支配の感覚も、快楽も見出せない。

ただ死にたいという無気力さが、私を無理に遠ざけるだけだ。


ならば、次はどこだろう。

この無力さを求めるのではなく、力強く生きている感覚を私に与えてくれる者──それが次に選ぶべき相手だ。

だから、私は彼らから目を背け、一歩引いて、次の候補に目を向けることを決めた。


樹海。

霊峰富士のたもとに広がるその場所には、言葉にできない空気が漂っている。

それは、常に死を感じさせ、静寂の中で時が止まっているかのような感覚を与えてくれる。

富士山を仰ぎ見た時、私はいつも、この場所に吸い込まれるような予感を感じていた。


何度も足を運んだことがある。

そして、そこには私の求める「空間」が完璧に整っている。

人の気配は薄く、誰もが立ち入らないような場所が広がっている。

そして、深い森の中でさえ、誰かの気配は感じられない。

まるでこの場所自体が、死を招く場所として意図的に選ばれたような、重い歴史を背負っている。


車を止めて、樹海の入り口を覗く。

深い緑の中に、光が差し込む隙間もなく、ただただ静けさだけが広がっている。

何もかもが静まり返り、まるでこの場所に来る者を全て吸い込むような、無言の圧力を感じる。


私がこの場所に来る理由は、ただ一つ。

誰もが通り過ぎるその境界線、踏み込む者がいないその先で、

生きている感覚を最も強く感じられるからだ。

ターゲットが最も不安を抱き、最も孤独を感じる場所。

それがここ、富士の樹海だ。


夜が更けるまで待つ。

また一晩、車の中で過ごし、朝を迎える。

寒い車内で身体を縮めながら、これから起こることを想像する。

誰かが来る、その瞬間を。


私は、待ち続ける。

何度でも、何度でも──

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