20.樹海
初めてのあの日から、私はその満足感をじっくりと噛みしめてきた。
血の温もり、肉の感触、声が詰まる瞬間──
それらすべてが、私にとっての最高の贈り物だった。
だが、過ぎたるものは興奮を冷ます。
そのことを私は理解している。
快楽は一度味わえば、その余韻が短くなる。
人は忘れることによって、再び強烈な感覚を求め、次の刺激を手に入れる。
その感覚を継続させるためには、単なる衝動を越えて計画を立てる必要がある。
次はもっと計画的に、もっと深く、もっと長く愉しむことが必要だ。
ターゲットは誰にするか。
最初はあまりにも偶然すぎた。
彼女の姿、立ち位置、動き──それらがすべて私の目に引っかかり、私の手が伸びた。
だが、偶然では物足りない。次は、私が選んだターゲットを「捕まえる」ことが必要だ。
捕まえる。それが次なる興奮だ。
では、どんな人間を捕まえるべきか。
選定基準を考え、条件を頭の中で細かく組み立てる。
年齢。
年齢は、肉体に触れたときの感触そのものに直結する。
30代から40代──それが理想だ。
肉体には限界がある。だからこそ、私はその絶妙なバランスを求める。
年齢層は、そのバランスを保つための最適解だ。
次に、家庭の有無。
この時の私は、まだ家庭の有無にはこだわっていなかった。
今回は、孤独を感じている男を選ぶことにした。
孤独感こそが、私にとって最も愉しめる調味料だからだ。
孤独な男は、他者との関わりを求めることが多い。
その欠落感に引き寄せられ、私が望む反応を返してくれる。
家庭がないからこそ、彼は簡単に「空白」を埋めたがるだろう。
その瞬間を楽しむために、彼を「誘い込む」必要がある。
社会的地位は、今は問わない。
彼がどんな仕事をしていようと、それは私にとって無関係だ。
大切なのは、その男の内面にある隙間だ。
その隙間に、私は足を踏み入れる。
私は知っていた。
次に選ぶべきは、孤独な男であり、彼を支配することこそが次なる愉悦だと。
そしてその愉悦の先に、また新たな「興奮」が待っていることを。




