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17.1件目を終えて

初めて、禁忌を犯した翌日。

私は自室で机に向かってその日のことを何度も何度も思い返していた。

禁忌を犯した罪悪感よりも、あんなに愉しい時間をすぐに終わらせてしまったことへの後悔のほうが大きかった。


何度も思い返していた。

表情、声、におい、温度。

どれを取っても、人生で一番私を興奮させてくれるものだった。


刃を当てた瞬間、彼女の顔に浮かんだ怯えと憎悪の入り混じった表情。

唇がわずかに震え、声にならない音が喉の奥で潰れていく。

それでも、ひと呼吸だけ長く残った吐息が、私の頬に触れた気がした。


においは鮮烈だった。

汗と恐怖が混じった皮膚の匂い、その下に流れる鉄の香り。

切り裂かれた途端に空気へ溶け出し、倉庫の冷気と絡んで重たく沈んでいった。

私はその匂いを胸いっぱいに吸い込み、肺の奥で保存するように留めた。


温度は確かだった。

指先に残るぬめりと熱。

刃を押し込むと、最初は生温かい抵抗があったが、深く進むにつれて急速に冷えへと変わっていった。

掌を伝うその落差に、私の脈が追いつけず狂ったように跳ねたのを覚えている。


そして、音。

筋が切れるときの湿った断裂音、関節が外れるときの小さな破裂。

遠くで鳴く鳥の声よりも鮮明で、世界がそれだけに支配されているようだった。

一つひとつが私を昂らせ、指の震えすら歓喜の一部に変わった。


二度と同じ形では手に入らない。

だからこそ、頭の奥で何度も反芻する。

記憶は劣化しない。むしろ反芻のたびに磨かれ、色を増し、音を澄ませていく。

昨日の記憶は、今日の私を支配し続けている。


今、思い返せばよくもまあ、あんな手口で禁忌を犯そうとしたものだ。

若さというのは恐ろしい。

当時の私もそう思ったのかもしれない。


そこからひたすら考えた。

自首するのか、続けるのか、逃げるのか。

考え抜いた結果、自首という答えにはたどり着かなかった。

いや、今でも辿り着いていない。

結果として私は今拘束されているわけだが、あの件がなければ、私は今も続けていただろう。


——そして、次に続けるための方法を、私は探し始めたのだ。

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