動き出す運命
「では、行ってきますね。 三十分ほどで終わると思うのですが、お暇でしたらその辺を散策でもしていてください、私は終わりましたらここで待っているので」
そして王宮の前でマーサさんと別れる。
店の出店許可は王宮での簡単な書類記入と現王女との謁見を行うことで取れるらしい。
なぜ出店許可を取るのに謁見など行う必要があるのかと思ったが、この国において店をだす通過儀礼のようなものらしく、真っ当な商売をすることを誓うそうだ
まぁこの国の最高権力者が16歳というのも驚きだ、いったいどれほどの重圧を背負っているのだろうな
ま、俺には関係ないけど
ひたすらに広い王の間、壇上の王座には一人の少女が腰かけている
左目は布で覆い隠され残った右目は鈍いエメラルドを思わせる
「次はなんだ?」
無機質な声が響く
「出店許可を求めに来た民との謁見でございます」
また、あれか
「なぜ店を出すことぐらいでいちいち王が謁見しなければならんのだ」
「因習でございます」
ならさっさとなくせっと無意味と知りつつそばに控えた男に言う
「昔からのことを変えようとすると、また叩かれますぞ?」
「そんなことわかっている、まったく・・・・・・・ままならない国だ」
「それが国というものでございます」
「はぁ・・・さっさとそのものを通せ」
男は頷き、そばに居る兵に指示を出す。
「ところで、そのものの名は?」
なんとなく聞いてみる
「マーサというそうです。姓は無いとのこと」
姓がない・・・・・・ということは貧民か?
「貧民に店が出せるのか?」
「はて、当てができたのではないでしょうかな?」
そうかっと言う・・・・・・いやまて・・・・・・・・・マーサ
どこかで聞いた名だ・・・・マーサ
「おい、そのマーサとかいう者のことで他にわかることはあるか?」
「そうですね、いままで病に付していたらしいのですが、ここ最近調子がよくなったので店を出そうと思ったそうでございますが、別段これと言って他にはありませんな」
病に付していた・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・
病
マーサ
・・・・・ふふふふ、思い出した。
マーサ・・・・・・
マーサ・クロイケル
いやまて、顔を見て見ぬことにはわからぬ、
さぁ!早く入って来い
私は謁見がこれほど楽しみに感じたことは無いぞ?
・・・・・・・・・・・・やはりな
入ってきたのは白髪の女
覚えがある
マーサ・クロイケル
わが国の官僚、ガーラ・クロイケルの妻だった女だ
不治の病にかかり、二、三年ほど前にあっさり捨てられた女
・・・・・・面白い
「名は?」
「マーサでございます」
「マーサよ、汝わが国の法にのっとり正しく商いを行うことを誓うか?」
「はい、誓います」
「いいだろう・・・・・ところでマーサとやら少し聞きたいことがあるのだが」
ここからが私にとっては本題だ
「は! なんでございましょうか」
「なに、わらわはおぬしの事をたまたま知っておってな、確か不治の病にかかっていたと記憶しているのだがどうじゃったかな?」
さて・・・・・・わらわの期待している答えを聞かせてくれよ?
「はい、そのとおりでございます」
「そうか、記憶違いでなくて良かった。しかしそれではわからぬ、確かその病はだんだんと体が動かなくなるのではなかったか? しかし現にお主はこうして自分の足で王宮に着ておる、はて、どういうことであろう?」
もったいつけて問いかける。
さぁ! 私の望む答えを!
「それは・・・・私の病が治りかかっているからでございます。」
「ほう! 不治の病が治りかかっていると?それはすごい どうしたのじゃ?」
さぁ! さぁ!
「腕の良い旅人の医者が助けてくれました。」
!!!!!!!!!!!!!!!!!!
私は身の中の感情の爆発を押し殺し、冷静さを取り戻す。
「そうか・・・・それはよかったな、いやもう下がってよいぞ、許可証は2ヵ月後取りにこい」
は!っといい消えていくマーサ
「至急あの女の近辺を調査し、その旅人とやらを探れ」
「わかりました」
男はそう言い王の間を出て行く
・・・やっとだ
・・・・・・・・・・やっと可能性を手に入れた。
この機会を・・・・・・・・私は決して手放さない
私が王になった理由・・・
その目的が果たせるのだから
さて
30話まで来てしまいました
がんばりました
なんか書いているうちに40話ぐらいで終わってしまいそうな気がしてきました。
ん~もうちょっといけるかな
ま、がんばります
そして感想ありがとう!
読者の皆さん
著者、がんばるので見捨てないで
でわ!