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生まれ変わったら『ししとう串』だった俺

作者: 白黒西瓜

初めまして、白黒しろくろ 西瓜すいかです。

短編にもチャレンジし始めました。

良かったら、読んでいただいて、感想などいただけると嬉しいです。


 そんな悲しい顔をしないでくれ、

 俺ももう18歳だ、小型犬でも長生きの方だ。

 楽しかったな、お前と一緒に暮らせて幸せだったよ。


 太っちゃうからってあんまりおやつくれなかったな、

 でも、それも俺のためか。


 嬉しすぎて嬉しすぎて、足に飛びついて腰を振ると、

『ダメだぞ。』って途中でやめさせたよな。

 でも、それも俺のためか。


 俺のために、いつもいろいろ考えてくれてありがとう。


 次に生まれ変わっても、沢山遊んでやるからな、

 俺、また犬に生まれ変わって来て、お前の所に戻ってくるよ。

 ほんのちょっとの、お別れだ、

 ああ、眠くなってきた……



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 ガヤガヤと五月蠅い音で目が覚めた、

 ここはどこだ?

 人間が沢山いる。

 皆、美味しそうに何かを食べている。

 鶏肉だ!!

 串にささった鶏肉だ!

 良い匂いだ。

 俺も食べたい。


 あいつも食べてたな、そんで、俺が欲しがると、

『ここは、たれがあんまりついてないから。』って言って、ひとかけらだけくれたな。


 俺は知っている、これが何かを知っている。

『や・き・と・り』だ!!

 俺も食べたい。

 ひとかけらじゃなくて、全部食べたい。


 あれ、体が動かない。

 どうやら、俺は犬じゃない何かになっているらしい。

 緑色の何かだ。


 隣の奴が声を掛けてきた。

『よお、ししとう串、新入りだな。』


『お前は誰だ?ししとう串ってなんだ?』


『俺は、プチトマトのベーコン巻だ、肉が付いている分、お前より尊い。』


『そうなのか?ししとう串ってなんだ?』


『お前のことだよ、ししとうを3つ串で刺して、焼いたものだ。』


『ふ~ん。』


 もう細かい話を聞くのが面倒くさくなって、それ以上『ししとう』が何たるかを聞くのを止めた。

 それを知ったところで、どうなるものでもない。


『お前、前世は何だったんだ?』


『前世?前世ってなんだ?』


『お前、人間じゃないな?』


『俺は、ポメラニアンだ、18歳のポメラニアンだ。』


『なんか、偉そうだな。お前、前世は犬だったのか。俺は、サラリーマンだった。普通の。』


『サラリーマンってなんだ?』


『人間だよ、働き盛りの。』


『ふ~ん。』


 興味がないので、話を遮ってみた。

 それでも、プチトマトのベーコン巻はしゃべり続けた。


『働き盛りだったんだけどな、がんになっちまってな。ちゃんと、健康診断に行っておけばよかった。』


『俺は、年に1回フィラリアの検査の時に、血液検査もしてもらっていた。だから長生きできた。』


『ほう、何歳まで生きたんだ。』


『37歳だ。』


『さっき18歳って言ってたよな。まあ、いい。割と俺たちは一緒に注文されることが多いから、よろしくな。あと、シイタケと、ウズラの卵も一緒になることが多いな。』


『シイタケ?ウズラの卵?それは何だ?鶏肉か?』


『そのうち、会うと思うから、その時教えてやるよ。』



「え、私、あんまりお肉とか食べないんです、ししとう大好き。ししとうでビール3杯いけちゃいます。」

 女の声が聞こえた、その女の口の中に俺は運ばれていった。



「ししとう3個、シイタケ1個、梅ささみ2個、やっぱり3個、つくね2個、以上で。」

 気が付くと、そんな声がした。

 俺はまた、ししとうとして、誰かのテーブルに運ばれていった。

 しかも3串、3串で俺。


『よお、ししとう串。プチトマから話は聞いたぞ、新入りなんだってな。』


『そうだ、俺がししとう串だ、お前は誰だ?』


『俺は、シイタケだ。よろしくな。』


『よろしく。お前がシイタケか。』


『お前、前世が犬なんだってな。初めて見たよ。前世犬の奴。しゃべるんだな。』


『ふ~ん。』


 この話も興味がなかった。でもシイタケは話を続けた。


『俺は人間だった、俳優だったんだ、結構有名だったんだぞ。』


『俳優ってなんだ?』


『そうか、お前犬だったから、知らないのか?俳優は、お芝居を職業にしている人だよ。』


『ふ~ん、年収はいくらだったんだ?』


『突っ込んだこと聞いて来るな、ピークの時は億行ってたよ。』


『億ってなんだ?』


『沢山って意味だよ。』


『ふ~ん。』


「ししとうって、たまに辛いのありますよね。あれ、なんなんですかね?ちょっと腹立ちます。」

 スーツを着た若い男が、そう言いながら、俺の体から串を引き抜き、箸で1つづつ摘まんで食べた。

「これ、辛くないっすよ。当たり!」


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 俺の、ししとう串ライフが3か月続いた、俺は、最近入って来た、焼きオクラに愚痴をこぼした。


『俺は、いつまでししとう串をやってなきゃいけないのだろうか?』


『ししとう串に飽きたんですか?結構、花形ですよ。ししとう串。』


『そうは思えない。肉でもないし。』


『確かにそうだ、焼き鳥屋はやっぱり焼き鳥が花形ですね、すいません、煽てるようなこと言って。てへ。』


『俺は、早く犬に生まれ変わりたい。』


『犬って、良いですか?』


『俺は、幸せだった! 少なくとも、ししとう串の時より遥かに幸せだった。』


『俺は、焼きオクラ幸せだな。何もしなくても、誰かが食べてくれて。美味しいって言ってくれる。もう、人間には生まれ変わりたくないです。このままオクラで良いです。』


『ふ~ん。俺は犬になって、また、飼い主の所に戻るって約束したんだ。あいつが待ってるんだ。』


『いいっすね、待ってる人がいるって。でも、その元飼い主さんも同じ気持ちなんですかね?』


『どういうことだ?』


『今頃、別の犬とか猫を飼って、そっちを可愛がってるんじゃないですか?』


『……そんなことない。……そんなはずない。あいつには俺しかいないんだ。』


『まあ、そう思ってるのが幸せってやつですよね。俺なんか、単身赴任中に奥さんに浮気されて、浮気だけならいざ知らず、そっちの男と子どもが出来ちゃって、もう俺離婚するしかないじゃんって感じで、ああ、ああ、絶対、あいつには俺だけだって信じてたのに、もう、何も信じないっすよ。』


『俺のあいつは、お前の奥さんとは違う。』


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 俺は、その後、いろいろなものに生まれ変わった。


 某ホテルのプリンアラモード

 ↓

 ミツバチ

 ↓

 シジミ

 ↓

 カブトムシ

 ↓

 オカメインコ

 ↓

 鮎

 ↓

 某コスト〇のティラミス

 ↓

 コンビニのシュークリーム


 どのくらいの月日が経ったのだろうか?

 もうすっかり犬に生まれ変わることなど諦めていた。


 食べ盛りの子どもたちからも、OLさんからも、中高年のおじさんたちからも、主婦からも、女子高生からも、日本国民の誰からも愛されている。


 まあ、シュークリームでいるのも悪くない、そう思っていた。


 そして、また、今日も目が覚めると自分はコンビニのダブルシュークリームとして130円で売られるのかと思いながら目を覚ました。


 ここはどこだ?

 ここは、誰かのお腹の中だ?

 懐かしい匂いがする。

 2か月ほどすると、俺は外に生み出された。


 俺は、犬に生まれ変われたんだ。


 ハッピーバースデー俺


 今回の俺は、女の子のキャバリアのようだ。

 キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル 名前が長い。


 俺は母親のおっぱいを飲んで、すくすく育った。

 もう、あいつが迎えに来てくれることなんかないんだろうな。

 ちょっと、寂しいけど、あいつはきっと幸せに暮らしてる、そう思うだけで俺は良い。


 今日は、俺をネットで見て気に入ってくれたという家族が、俺に会いに来る。


 シュークリームが好きそうな小学生の男の子が、やって来て、俺を見るなり


「可愛い、俺この子が良い。」

 そう言って、俺をむぎゅっとつかもうとした。


 男の子の母親らしき人が、


「乱暴にしちゃだめよ、優しくしてあげられないと、飼ってあげられないよ。」


「わかったよ、優しくするから、俺、絶対この子が良い。」


 そう言って、俺はその家族の元に行くことになった。



『俺も、この家族と幸せになるよ。』


 俺は心の中でそう呟いた。




 暫くすると、その家族が俺を迎えに来た。


 黒いワゴン車でお迎えが来た。


「この子か、可愛いな。昔、飼ってたポメラニアンに似てるな。」


「ポメラニアンじゃないよ、キャバリアだよ。お父さん、犬詳しいとか言ってて、全然ダメじゃん。」


「犬種が違うのは分かるよ、でも、お父さんが昔飼ってた、ポメラニアンに雰囲気が似てるんだ。」


「18歳まで生きたって言う?へー、ポメとキャバリアってどう見ても似てないと思うけどな。」

 そう言って、母親と子供が笑った。


「何となくだよ。何となく。」


 そう言って、父親が俺を抱き上げた。



 俺は、涙が出た。ただいま、俺帰って来たよ。

今回のお話はいかがだったでしょか?



呪術廻戦が好きなのですが、後5話で終わるって、、、

今年、終わりって話は出てたけど、ああ、終わっちゃうのかって思うと、本当に切ない。

でも、どんな終わり方するのか、終わりが楽しみでもある。

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